いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。
ハーバード大学医学部教授・根来秀行ドクターによるカラダ年齢若返り企画第7弾「副腎年齢を若返らせる!」の2回目ですよ。
根来 こんにちは。根来秀行です。
前回予告した通り、ストレスと副腎の関係についてお話したいと思います。
いし 肉体的にも精神的にもストレスフルな更年期世代は、副腎環境が悪化しやすいのでは?
根来 そうですね。自律神経的にも、40代頃からリラックスに導く副交感神経が上がりにくくなり、興奮を促す交感神経が優位になるため副腎にも負荷がかかりがち。副腎がホルモン制御しにくい状態に陥りやすいのは確かです。
いし やっぱり。
根来 ストレスで副腎機能が低下している状態を、アメリカでは「アドレナル・ファティーグ」といいます。
いし アドレナル・ファティーグ?
根来 日本語に訳すと「副腎疲労」です。ちなみに、副腎は英語でアドレナル・グランド、「アデレナリンの分泌腺」という意味です。
いし へぇー、初めて聞きました。副腎機能が低下するということは、副腎で作られるホルモンに影響が出てくるということ?
根来 ええ。特に問題なのはコルチゾールです。
いし コルチゾールは抗ストレスホルモンですね。
根来 そうです。慢性的にストレスがかかったり、体に炎症が起きたりすると、副腎は体を守るためにコルチゾールを出し続けなければならず、副腎に大きな負荷がかかります。そして厄介なことに、コルチゾールが分泌されると、老化の原因となるフリーラジカルが大量発生するのです。
いし 体がさびついちゃう。
根来 ただ、体はよくできたもので、副腎皮質からはコルチゾールとセットで強力な抗酸化作用を持つDHEAも分泌され、体を酸化から守ってくれるんです。
いし DHEAは性ホルモンのもとになるマザーホルモン。閉経後はDHEAから変換されるエストロゲンが、更年期をサポートしてくれるんですよね!
根来 その通りですが、40歳を過ぎるとDHEAの量も低下してきます。
なので、慢性的にストレスが続くとDHEAも枯渇してきて、コルチゾールの分泌を抑制できず、体の酸化が進んでしまいます。
いし ひゃあ、老化が加速する〜。
根来 コルチゾールの大量分泌に連動して、アドレナリンやノルアドレナリンも過剰に分泌されます。そのため、ますます緊張や興奮が極まって、イライラして怒りっぽくなったり、寝つきが悪くなったりと悪循環に。ほかにも、高血圧、高血糖、胃潰瘍、筋力の低下、脳の海馬の萎縮なども招きます。
いし 記憶力を司る海馬が萎縮すると、認知症のリスクが高まるのでは?
根来 はい。さらに進むとコルチゾールが枯渇してエネルギーを作れず、ストレスと闘うことも逃げることもできません。気力を失い、強い疲労感で今まで通りの生活が送れなくなることもあります。
いし うわ〜、そうなったら大変。どうしたら副腎を守れますか?
根来 ホルモンは自律神経と連携して働いているので、自律神経の働きが落ちると、副腎のホルモン分泌も乱れます。
ストレスをためず、規則正しい生活を送って、自律神経を安定させることが、副腎機能を上げる大きな鍵となります。
いし 次回は「副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)」について、さらに詳しく教えていただきます。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン