ミラクル免疫力をつけると、老けない!
この連載では、書籍『ミラクル免疫力をつけると、老けない!』(白澤卓二著・小田真規子メニュー製作、集英社刊)から、免疫力をアップしてアンチエイジングライフを叶えるレシピなどをお伝えしています。最終章では、ミラクル免疫力をつける生活習慣をご紹介します。
第4章
ミラクル免疫力! をつける生活習慣
■ミラクル免疫力をつける運動について■
一日15分のウォーキングまたは軽度の運動で十分効果が!
免疫力を上げるには、適度な運動も大事です。運動が体にいいことは誰でも知っていますが、どの程度の運動を週に何回ぐらいするのが最も健康にいいのでしょうか?
台湾国立衛生研究所のチパン・ウェン博士らが台湾人を対象に行った研究調査があります。博士らは、ほとんど運動しない人、一日15分程度の運動しかしていない人、WHO(世界保健機構)が推奨する週150時間程度の中等度以上の運動をしている人、約41万6000人を平均8年間追跡し、死亡率およびがんの発症率を比較・検討しました。その結果、アジア人の場合は、一日15分程度の運動でも十分に健康増進効果があることが確認されました。運動の時間は少なくても、毎日続けるほうが健康長寿には重要だと強調しています。
運動の強度としては、息のあがるような運動はおすすめしません。運動によって呼吸が速く浅くなった状態では、末梢血管まで血液がいかず血流が悪くなり、免疫力も低下します。健康増進のための運動なら、ゆっくり深い呼吸をしながらできる運動が最も理想的です。ウォーキングとジョギングなら、ウォーキングがいいし、ほかにも、ヨガや簡単に汗をかけるホットヨガ、ピラティスなどは、女性におすすめの運動です。
■ミラクル免疫力をつける睡眠について■
ぐっすり眠れていますか? 質の高い睡眠のために
ミラクル免疫力をつけるには、食事と同じように睡眠も大事です。睡眠不足あるいは心地よい睡眠がとれなければ、自律神経が乱れ、確実に免疫力は低下します。
外来で診療していると、患者さんに「睡眠時間はどれくらいとるのが最もいいんですか?」とよく聞かれますが、睡眠時間が大事なのではなくて、睡眠の質が最も大事なのです。睡眠には、レム睡眠(体は休息中だが、脳は活動している浅い眠りの状態)とノンレム睡眠(大脳が休息している深い眠りの状態)があって、眠りにつくとまず深い眠りのノンレム睡眠に入り、約1時間後から今度は眠りが浅くなり、レム睡眠に入ります。レム睡眠は約10分間続き、一晩に何回かくり返されます。最初の深い睡眠がとれなかったり、レム睡眠を阻害すると、何時間寝てもスッキリせず倦怠感が残るこことがわかっています。まず最初の深睡眠でぐっすり眠り、その後うまくレム睡眠のリズムが整うと、起床時に「熟睡できた」という感覚が持てます。
質の高い睡眠を得るには、枕選びも大事です。加齢とともに頸椎の柔軟性が減ってくるので、枕の高さが合っていないと負担が大きくなり、肩こりの原因にもなります。ハーブの枕や抱き枕などいろいろ試して、自分に合った枕をぜひ見つけてください。
■更年期障害や鬱を予防する食習慣について■
更年期障害にも効く! ミラクル免疫力をつける食べ方
更年期障害や鬱を予防する食事と、ミラクル免疫力をつける食事に大きな違いはありません。ミラクル免疫力をつける食事を心がけていれば、更年期もラクに過ごせる可能性が高いでしょう。しかし、次のことには注意しましょう。
閉経後、カルシウム量を上昇させる役割を担うホルモン、エストロゲンの分泌が急激に低下し、骨粗鬆症になる女性が多く見られます。大豆製品に含まれるイソフラボンは、体内でエストロゲンと似た働きをするので、意識して摂取しましょう。また、骨の主成分であるカルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDの摂取も心がけるといいでしょう。
また、更年期には鬱になりやすい傾向があります。鬱はセロトニン不足で起こる病気で、セロトニンはトリプトファンという必須アミノ酸から生成されます。トリプトファンは体内では生成されない物質なので食品から摂る必要が。カツオ、マグロ、ハマチ、豚肉の赤身などに多く含まれます。トリプトファンの生成には、ビタミンB₆、ナイアシン、マグネシウムなど微量栄養素も必要なので、多種類のミラクルフードの摂取も大事。亜麻仁油、くるみなどに含まれるオメガ3脂肪酸の摂取も、鬱を改善することがわかっています。サラダやジュースなどに取り入れて。
次回・最終回は、ミラクル免疫力をつける生活習慣②認知症予防・寝たきり予防・美肌を作るために、についてのお話です。
『ミラクル免疫力をつけると、老けない!』(集英社 1,100円+税)
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-333127-5&mode=1
撮影/奥谷 仁 編集・構成/遠藤励子