口のまわりには顔の筋肉の70%以上が集まっていて、口まわりの筋力が低下すると、唾液の分泌や噛む力にも影響。口臭や歯周病、歯を失うことにもつながります!
つまり、口の中のアンチエイジングを心がけることが、全身の美&元気をサポートしてくれるんです!
そんな口腔のアンチエイジングを目指している歯科ドクターたちに注目!!
一人目は10年前に口腔から体全体の〝均質な老化〞を目指して、歯科大学で初めてアンチエイジング外来を立ち上げた、斎藤一郎教授。
なぜ、〝均質な老化〞がアンチエイジングにつながるのか、じっくり伺ってみました。
「食べる」「味わう」「話す」「笑う」。
口腔のすべての機能をさびさせないことが大切。
目指すは〝均質な老化〞。歯を失ってからでは遅いのです!
「例えば、筋肉も骨も内臓も、どこも問題がなくても、
血管が老化していたら、脳卒中や心筋梗塞などで命を落としてしまいかねない。
それはとても残念なこと。
アンチエイジングとは、弱点を作らず均質な老化を目指すことなのです」
と、斎藤先生。
今年アラカンの斎藤先生がアラフィフにしか見えないのは、
顔の色ツヤがよく、スリムな体形はもちろん、話し方や立ち居振る舞い、
考え方にいたるまで、はつらつとした若さにあふれているから。
そんな斎藤先生の言葉だからこそ、説得力があります。
MyAge/OurAge世代は、口腔の加齢現象に悩んでいる!
2002年にドライマウス外来、2005年には日本で初めて歯科大学病院にアンチエイジング外来を開設、
以来10年間に5000人以上の患者が訪れ、しかもそのほとんどが更年期前後の女性と聞くと、
口腔の加齢現象に悩んでいる女性の多いことがわかります。
多くの人が、歯を失ったり口にトラブルがあると初めて老化を実感するけれど、
実はそこにいたるまでの間に、発せられていた老化のサインを見逃してしまっているのです。
「口は食べたり、おいしいと味わったり、人とおしゃべりしたり、
歌ったり、笑ったりと、消化器だけでなく、感覚器として、
コミュニケーションや感情の表現や表情など、さまざまな機能を持ち、
QOL(生活の質)を支えている大切な器官。
たとえ一本でも歯を失うとバランスが崩れて食べる力が衰え、
ひいては全身の老化につながります」
しっかり嚙めないと、唾液も十分に出なくなってしまい、
しかも唾液は女性ホルモンが分泌をコントロールしているので、
更年期以降の女性は、ドライマウスになりやすいのだとか。
更年期以降、口臭が気になったり、話しにくくなったりするのは、
実は女性ならよくあること。
精神的なストレスによってもドライマウスは引き起こされると聞けば、
ますます気になります。
「現代の食生活にも原因があります。
柔らかい食べ物が多くなった結果、
咀嚼力の低下を招いているのです」
歯や口に自信が持てないと、表情も乏しくなり外出も控えがちに。
引きこもりは、老化を早めてしまう原因といわれています。
「よく笑う人は老けません。
だから、僕は意識して笑顔を心がけています」
確かに斎藤先生の笑顔は素敵。
ほころんだ口元からこぼれる白く輝く歯こそ、アンチエイジングの鍵なのです。
斎藤先生自身がアンチエンジングのため継続している日常の習慣もいくつか教えていただきました。
気分よく仕事するためのアンチエイジング・ランチ
数年来、平日のランチはこのメニュー。
午後の仕事に気分よく向かえるよう、栄養バランスとカロリーも計算済み。
ベーグル½個、鶏ささ身のグリル、ゆで卵、スープ(この日はオクラともずく)、
無農薬トマトジュース、フレッシュベリー(冷凍)、
ベーグル用のエクストラバージンオリーブオイルはバリアーニがお気に入り。
「制約がある分、おいしさには妥協しない」がモットー。
デンタルケアグッズのレアものチェックも怠りなく
一日1回は、10分以上かけて歯を磨くのが日課の斎藤先生は、
歯ブラシはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスも使用。
新製品チェックも怠りません。
バラエティストアで見つけたこのアメリカ製デンタルフロスは、
あらかじめカットしてあり、狭い歯間にも入れやすいプラスチック糸の部分、
汚れを絡め取るスポンジ部分、こすり取るナイロン糸の部分がひとつになっている優れもの。
次回は、斎藤先生の勤務先である鶴見大学歯学部付属病院アンチエイジング外来での治療内容をうかがいます!
DATA
鶴見大学歯学部附属病院アンチエイジング外来
神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-3
☎045-580-8362
※アンチエイジング検査は予約制
撮影/板野賢治
小山志麻(ランチ)
取材・原文/鈴木美穂