歯科医として、日本初のアンチエイジング外来を開設した
鶴見大学歯学部教授の斎藤一郎さん。
”均質な老化”がアンチエイジングにつながるという斎藤さんですが、
アンチエイジング外来ではどのような治療が行われているのでしょうか？
自分の老化度を正しく知って〝均質な老化〞を目指す
鶴見大学歯学部附属病院アンチエイジング外来では、
病気になってから治療するより、病気を未然に防ぐ予防医学に力を入れています。
血液検査などの各種検査を行い、加齢の兆候や老化による症状を早期発見し、
適切な治療はもちろん、生活指導を行うことで、
健康で過ごせる年齢を延ばすのが目的。
例えば、遺伝子検査では、どのような病気になりやすいかをあらかじめ知ることができるので、
食事の内容や生活習慣などの改善を図ることができます。
”口腔の老化度”、”全身の老化度”、”免疫の老化度”についても、
以下のような指標からチェックします。
口腔の老化度
検査項目は５つ。
（１）歯の数、
（２）左右の奥歯の嚙む力、
（３）歯周ポケットの深さ、歯石、歯茎からの出血の状態、
（４）口の周囲の筋力や舌の働き、
（５）唾液分泌量や口腔内のカンジダ菌数を測定。
結果をグラフにし、大きな正五角形に近づくほど、健康で若々しいといえます。
データをもとに、カウンセリングで弱点を克服するためのアドバイスを受けます。
全身の老化度
５つの指標をもとに、全身の老化度をチェックします。
（１）骨年齢、
（２）筋肉の質と量、
（３）血管の弾力や血流量、
（４）神経細胞の働き、
（５）ホルモンの分泌量を測定し、
体の酸化度（さび具合）と抗酸化能（さびさせない力）の状態を正しく把握します。
そのデータをもとに老化や生活習慣病の予防に役立てます。
免疫の老化度
細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入するのを防いだり、
がんをはじめさまざまな病気に打ち勝つ力、免疫力。
私たちの健康を守る免疫力は、個人差があり、しかも加齢により低下。
口腔内のトラブルも、免疫力が低下していると現れやすくなります。
体内で防御の役割を担っている免疫細胞の状態を調べて対処することで、
免疫力を高め健康度をアップ。
定期的にチェックすることで、
改善による効果や、新たな注意点などを確認し、
最終目標として〝均質な老化〞を目指します。
口腔の若さが体の若さに密接に結びついていると言われる今、
アンチエイジング外来は、私たち世代の希望の光。
受診者のリピート率が高いのも、うなずけます。
歯科大学病院で初めてのアンチエイジング外来
歯科というと、クレゾールのにおいや冷たい金属の機器が思い浮かびますが、
鶴見大学歯学部附属病院のアンチエイジング外来は、一般の診察室からは離れた個室。
明るくゆったりとした雰囲気で、受診者がリラックスして検査を受けられます。
検査結果は電子カルテで保存され、カウンセリングにも活用。
外来主任の梁洪淵先生（写真上）は、
健康づくりに欠かせない食材や運動にも詳しいアンチエイジングのスペシャリストです。
DATA
鶴見大学歯学部附属病院アンチエイジング外来
神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-3
☎045-580-8362
※アンチエイジング検査は予約制
撮影／板野賢治 小山志麻〈病院内の写真〉
取材・原文／鈴木美穂
