進化型歯科治療に取り組む３人目の歯科医は、大人矯正の草分け的存在である加治初彦さん。
これまでトータル2000症例以上の矯正治療を成功させてきたそうです。
加治さんが、大人の矯正で横顔がきれいになることを目指している理由とは？
頭部全体を３Ｄでとらえ歯並びを整える
「歯並びを矯正すると、横顔がきれいになります」
と、断言するのは大人矯正にかけては日本における先駆者、加治初彦先生。
「矯正というと歯並びだけをきれいに整えると思われがちですが、
私たち専門医は、頭蓋骨全体の中で歯並びをとらえ、
いかにバランスよく無理のない嚙み合わせに整えていくかを考えて治療を行います」
確かに、あごが小さい人の八重歯を、無理に一列に並べて
かえって出っ歯になってしまっては、逆効果。
歯を抜くのは最後の手段ではあるけれど、
混雑した歯並びをきれいに整えるために、
場合によってはあえて抜歯することも。
「特に、中年以降になると歯周病が原因で歯が動き、
重なり合ってしまう叢生という状態になるケースが多いのです。
その場合、状況によっては歯を抜かないと、
きれいな歯並びに矯正することはできません」
若いときは歯並びに問題はなかったのに、
大人になってから出っ歯になってしまう例もあるのだそう。
「歯はもともと奥から前へ向かっていこうとする力が働くので、
歯周病で歯茎が弱ると、どんどん前歯が押されて出てきてしまうのです」
このように、大人になって歯列が乱れてくるのは、
歯周病や虫歯が原因であることがほとんど。
その場合はまず、歯周病や虫歯の治療をしてから
矯正をスタートさせることに。
「欧米に比べ、日本人はまだまだ歯周病の怖さを知らないせいで、
歯を失ってしまう率が高いのが実情です」
スウェーデンのカールスタットという町では、
歯科衛生士によるPMTC（プロフェッショナルメカニカル トゥースクリーニング）が
徹底されたおかげで、歯周病の罹患率は低く、
8020（ 80歳で自分の歯20本）がすでに達成されています。
「歯周病に対する知識が周知されていて、
町の人はきちんと定期的にクリーニングに歯科医院に通う。
正しい知識が健康を守るいいお手本です」
人は99％、口を閉じているもの。
そのときどのように見えるかで、その人の印象が決まってしまいます。
「歯列を本来あるべき位置に戻してあげるのが、大人の矯正。
口元がすっきりするので、自然とEラインが真っすぐになり、
横顔が美しくなるのです」
歯並びに悩みがあるなら、
大人の矯正を検討してみる価値はありそうです。
横顔美人の条件は真っすぐなEライン
横顔美人の条件は、
鼻の先端とおとがい（あごの先端）を結んだE（エステティック）ラインの内側に唇がくること。
実は日本人の口元の平均値では、
Eラインから下唇が２㎜出ているのだとか。
欧米人に比べ、口腔の奥行きが短い日本人は、
Eライン上に唇がくるのが理想的。
加治さんご自身のデンタルケアグッズも教えてご紹介いただきました。
1.柔らか歯間ブラシ No.1／小林製薬
2.クリアクリーン シトラス／花王
3.ソニッケアー フレックスケアープラチナ／フィリップス
4.薬用リステリン クールミント／ジョンソン・エンド・ジョンソン
電動歯ブラシを使用している加治先生。
「初めて使うときは、歯科衛生士に使い方を教わって。
間違った使い方では歯にダメージを与えてしまうおそれがあります」
次回は現在行われている歯科矯正の方法について、詳しくうかがいます。
DATA
加治矯正歯科クリニック
撮影／板野賢治 イラスト／かくたりかこ
取材・原文／鈴木美穂
