「ロコモにならない宣言」
いつまでも美しい姿勢で、元気よく歩くために!
転ばぬ先の「美骨レッスン」
あなたは、自分の命が果てるそのときまで、元気でいる自信がありますか?
女性の平均寿命は今、86歳。でも健康寿命と呼ばれる「日常生活に制限のない期間」は、そこからマイナス13歳ともいわれています。
ロコモティブシンドローム(=運動器症候群)になると、要介護や寝たきりの生活に突入するスピードが加速。自分が思い描く人生を最後まで全うするためには、足腰の骨を衰えさせないように、OurAge世代からの生活を見直すことが重要です。
さあ、強くて美しい骨を手に入れるために、レッスン開始!
今回は、骨代謝疾患の専門医でもある細井孝之先生に、骨の健康や今注目されている「ロコモティブシンドローム」について教えていただきます。
リスクを排除し、寝たきりにならない!
ロコモ対策は今日から真剣に。
私たちの世代が、今まさに知っておきたい骨のこと
いつまでもイキイキと活動的な生活をしたい! それは誰もが思うこと。そのキーになるのが〝骨〞の健康です。OurAge世代だからこそ知っておきたいこと、実践したいこととは?
「ロコモティブシンドロームって何?」
高齢化が進み、社会問題になっているのが介護のこと。寝たきりになる原因として、今注目されているのがロコモティブシンドロームです。決して他人ごとではない、運動器の老化はすでに始まっています。
健康寿命を延ばすことが
これからの課題
ロコモティブシンドロームという言葉をご存じでしょうか? 和名は運動器症候群。
「私たちの体には機能ごとに、気管や肺といった呼吸器、血液を運ぶ心臓や血管の循環器、食べ物を消化吸収する胃や腸の消化器などがあります。運動器は私たちが体を動かすための器官で、その核になるのは、筋肉、骨、関節です。
これらの運動器のいずれか、または複数に障害が発生することで、運動機能が低下して、歩行や日常生活に支障が生じる状態をロコモティブシンドローム、略称をロコモと言います」(細井先生)
骨、関節、筋肉、神経系に故障が起こり、痛みが出たり動きが悪くなると、移動機能が低下。こうして要介護の状態へと発展します。
*加齢に伴う筋量・筋力の低下のこと。「加齢性筋肉減少症」とも言います。
メタボリックシンドローム=メタボでお馴染みの、内臓の健康も大切ですが、いつまでも動ける体でいることも、クオリティ・オブ・ライフのために、とても重要です。
「確かに平均寿命は延びていますが、健康で日常生活を送れる〝健康寿命〞はそれに追いついていません。その差は男性では10年弱、女性は13年ほどあると言われています」
平均寿命と、健康上に問題がなく生活ができる健康寿命には差があります。特に女性には13歳近くも差が!
つまり長生きしても、寝たきりだったり支援や介護が必要な状態。その大きな原因が運動器の障害であることで、ロコモ予防の重要性が今とても注目されています。
40代も後半になると、親の介護問題が浮上し、戸惑う人が少なくありません。そんな最中、自分のロコモは〝まだ先のこと〞と思っていませんか?
「骨や筋肉の量のピークは20〜30歳。特に女性は骨の健康にかかわる女性ホルモンが低下する40代半ばから、骨量が急速に減少します」
足腰、関節などに違和感を覚える人が増えるのもこの世代。実は、運動機能の低下が表れてくるこの時期に、適切な対応をとることが、ロコモ予防にはとても大切なのです。
腰や膝の痛み、片脚で立って靴下が履けない、小さな段差でつまずく…など、思い当たる人は要注意! 年齢を問わず、今からの対策が必要です。
「ロコモ対策の2大柱は運動と食事です。日常的に運動習慣のない人、逆にスポーツのやりすぎも関節の故障につながります。やせすぎは骨や筋肉が弱いケースが多く、肥満は腰や膝の関節に大きな負担が。ロコモ予防には、適度な運動と、骨を丈夫にする栄養を積極的に摂取することが大切です」
痛みやだるさなどの、運動器の衰えのサインを見逃して放置すると、運動器疾患を発症することも。
「骨粗しょう症、変形性関節症、変形性脊椎症などです。痛みや体の可動域が制限されることで、外出がおっくうになり、家にいることが増えることで、運動器の衰えがさらに進行する。この悪循環に陥ることにより、要支援・要介護の人が増えていくのです」
痛みが出たり、動けなくなる前に、できるだけ早いタイミングで生活習慣を見直すこと。ロコモ対策はアワエイジ世代に必須の課題なのです。
自立度が低下して、要支援・要介護になる原因の第一は、運動器の障害です。ロコモ予防が叫ばれている理由がここにあります。
次回からは、骨粗しょう症にならないための骨の健康の基礎知識について、Q&A形式でご紹介していきます。
撮影/小山志麻(細井先生) イラスト/かくたりかこ
取材・原文/山村浩子