いし 春うらら、みなさんいかがおすごしでしょうか。
ぐうたらライターのいしまるこです。
根来 こんにちは、根来秀行です。春は心浮き立つ季節ですね。
いし たしかにそうなんですけど、春先ってやたら眠くなったり、なんとなく体や心が落ち着かないという声も多いですよ。
根来 春は気温の変動も激しく、また、子どもの入学・卒業、人事移動など、環境の変化からくるストレスも受けたりして、自律神経が乱れて心身の不調を招きやすいんですよ。
いし やっぱりー。いしまるこのぐうたらも、春のなせるわざなんですね!
根来 んー、それはなんとも言えませんが、心身の安定は自律神経が決め手であることはまちがいありません。折角なので今回は自律神経についてお話ししましょう。自律神経はアンチエイジング医療でももっとも注目されている分野のひとつです。最近、よく取り上げられていますが、中にはいい加減な情報もあるようなので、ぜひここで正しい知識を身につけてほしいです。
いし ではまず「自律神経とはなんぞや」というキホンのキからお願いします。
根来 承知致しました。とその前に、そもそも神経ってなにかわかりますか?
う…あまりの根本的な質問に絶句するいしまるこ。はたして答えは…?
いし うっ、当たり前のように使っている言葉だけに、いざ説明しろと言われるとむずかしいなあ。全身に張り巡らされていて、いろいろな刺激を感じとって、体のいろんなところに反応させるもの?
根来 おっしゃる通り、私たちの体にはさまざまな神経が網の目のように張り巡らされていて、体の各部分に連絡し、いろいろな情報を伝えたり機能を統制しています。神経は体を制御する情報ネットワークなんです。
いし ふむふむ。
根来 神経は脳と脊髄からなる中枢神経と、中枢神経と体の各部位を結び、情報を伝達する末梢神経に分けられます。そして末梢神経は、意識的に動かすことができる体性神経と、無意識のうちに働く自律神経の2つに分かれます。
いし 「体性神経」という言葉はあまり聞き慣れないなあ。
根来 感覚神経と運動神経のことですよ。感覚神経は目、鼻、耳、皮膚などの感覚器から受け取った刺激や情報を脳に伝える受信する神経。逆に運動神経は発信する神経で、脳からの指令を筋肉や骨、関節などに伝える神経です。
いし なるほど〜。
根来 そして本題の自律神経ですが、自律神経は自分の意思でコントロールできない内臓や血管、内分泌腺などを自動的に動かす神経のことです。
眠っている間にも心臓が拍動したり、食べ物を消化したり、呼吸したり、体温調節できるのは、自律神経が意識を介さず常に働いてくれるからです。
いし 自律神経は交感神経と副交感神経の2つに分かれるんですよね。
根来 その通り。この連載でも何度かお伝えしましたが、おさらいすると、交感神経は昼間、体を活動させるときに働きます。「逃走と闘争の神経」ともいわれ、興奮するとき、緊張しているときなどにエネルギーを出す指令をする神経です。
一方、副交感神経は、日没から徐々に優位になり夜間体を休め、リラックスさせ再生させるために働きます。エネルギーを蓄え、次の活動に備えるための神経です。
いし 「活動の交感神経」に「休息の副交感神経」。真逆の働きですね。
根来 はい。交感神経と副交感神経は、ひとつの器官に対して相反する作用をします。たとえば交感神経が優位になると心拍が早くなり、血管が収縮、興奮状態になります。副交感神経が優位になると、心拍がゆっくりになり、血管が拡張、リラックス状態になります。
いし 消化を促すのはイメージ的に交感神経と思われがちですが、実は副交感神経なんですよね。
根来 はい。ですから食後すぐの運動はNGで、副交感神経が優位になるよう、ゆったり過ごしたほうがいいんです。
健康な状態では、交感神経と副交感神経のどちらかが20〜30%ほど優位になる状態をシーソーのように繰り返し、ほどよいバランスを保っています。が、自律神経のバランスは、年齢とともに乱れやすくなってくるんですよ。特に、回復、再生に必要な副交感神経のほうが落ちやすくなるんです。
いし てことで、次回からは自律神経のエイジング問題について掘り下げていきますので、乞うご期待!
根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン