いし あっという間にいつしか季節は秋から冬に……。
たいへんご無沙汰しております。ぐうたらライターのいしまるこです。
連載をお休みしていたのは理由があって、さぼっていたわけではありません。
実は、根来教授の新刊の構成・編集にあたっていたのでございます。
根来 みなさん、お元気でお過ごしですか? 根来秀行です。
僕の新刊は12月5日に発売される予定です。テーマは「毛細血管」。
最高の一冊になりましたので、どうぞお楽しみに!
いし みなさま、よろしくお願いいたしまーす!
さて、本の宣伝はこのくらいにして、そろそろ本題に入りましょう。今回のテーマは、じゃじゃん!「肝臓年齢を若く保つ」ですよ。
根来 了解です。肝臓はアンチエイジングのキモですからね。
いし 肝臓はキモなんてシャレてる〜。
根来 真面目な話、本当に重要なんですよ。肝臓はお腹の右上一帯を占める、約1.2kgの人体最大の内臓器官です。
いし 1.2kgというと、電話帳くらいの重さですね。重たいわ〜。
根来 はい。肝臓は数千種もの酵素を分泌して、小腸で吸収されたさまざまな栄養素を代謝、貯蔵するほか、胆汁の生成や分泌、解毒や排泄など生命維持に必要な多くの働きを行なっています。複雑な化学反応によって、多様な働きをしているため「体内の化学工場」ともいわれます。
いし 体内の化学工場は老朽化しないんですか?
根来 40代〜50代になると肝臓にも一定の老化が始まります。
いし やっぱり。
根来 ただし、肝臓は組織の7割が使えなくなっても、残り3割で機能を補うことが可能なんです。
いし えっ、たった3割で!?
根来 そうなんです。たとえば、手術で7割切除されても、その後再生して元の機能を果たす、優れた再生能力を秘めているんです。
いし へぇ〜、7割切られても機能を維持する働きものなんですね。
根来 そうなんです。肝細胞の老化が進んでも、疲れやすい、食欲が出ない、シミが出やすくなるといった程度で、ギリギリまでふんばります。
いし 大したがんばりやさんだ。
根来 そんな働き者の肝臓ですが、8割以上細胞が破壊されるとキャパオーバーに陥ります。
いし キャパを超えるとどうなるんでしょう?
根来 そこまでくると一足飛びに命にかかわってしまうんです。
いし 肝臓の病気って、いきなり大病にかかるイメージがあったけれど、肝臓が黙々とがんばって、ぎりぎりまで持ちこたえていてくれるからなんだ。
根来 はい。自覚症状が出づらいので「沈黙の臓器」と呼ばれます。
いし それで、ついつい肝臓に無理させてしまうんですね。
根来 睡眠不足やストレス、食生活の乱れ、アルコールのとりすぎなど、肝臓の機能を低下させるような生活スタイルを続けていると、老化しているぶん、若いころよりずっと負担がかかりやすいので油断は禁物ですよ。
いし 気をつけます!
根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン
(「肝臓年齢を若く保つ」は次回に続きます。お楽しみに!)