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猛暑を過ごした体にやさしい宮崎名物「冷や汁」。温かいご飯にかけて召し上がれ!

山田玲子

山田玲子

料理研究家

浜田山・麹町にて料理教室「Salon de R」を主宰。女性の美と健康を考えた、おしゃれなメニューを数多く提案する。

また、「食することは人の輪なり」をモットーに、国内はもとより、NYやヒューストン、スペイン、韓国、シンガポールなど、海外でもレッスンを開催。各地で食を通じて人々と交流を深めている。

近著に全文英訳付きレシピ本『おにぎりレシピ101』(ポット出版)がある。

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フルーツ、黒毛和牛、黒豚…宮崎県は食の宝庫!

 

宮崎県に行ってきました。今回訪れたのは小林市と都城市。小林市は、宮崎県の南西部に位置し、熊本県・鹿児島県と隣接しています。豊富な湧水に恵まれ、霧島山の麓に広がる肥沃な土地と温暖な気候から。さまざまな食材が育まれる「水と食の宝庫」です。

霧島神宮

(南九州最大の霧島神宮は、宮崎県と鹿児島県の県境に位置します)

 

年間を通してフルーツが多く栽培されており、中でもマンゴや金柑が特産品として有名です。また、生産されている野菜の種類も多く、畜産も盛ん。日本一ともいわれる黒毛和牛「宮崎牛」をはじめ、宮崎ブランドの黒豚や、みやざき地頭鶏も有名ですね。

 

そして、都城市では、新著に関する味噌の取材で、味噌蔵を訪問しました。麦味噌をはじめ、発酵をベースにした食文化が豊かな地域です。そんな、おいしい食材いっぱいの宮崎県。チキン南蛮、地鶏の炭焼きなど、名物料理がいろいろありますが、今年の夏は本当に暑かったので、やはりこの料理、「冷や汁」が印象に残りました。ということで、今日は冷や汁をご紹介することにします。秋口には温かいご飯にかけて食べるのがおすすめ!

 

冷や汁

冷や汁の起源と言われる食べ方の記述が残っているのが、鎌倉時代の書物「鎌倉管領家記録」。「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷や汁をかけ参らせ候」と記されています。そして、この食べ方が僧侶などによって全国に広まり、風土として適している地域、宮崎に残ったと言われています。

 

農作業で忙しい夏の暑い時期に、手軽に食べられる料理として伝えられています。時間のないときでも、さらさらっと手早く食べられて、食欲の落ちる暑い時期にも口当たりがよくて食べやすいというのは、昔の人の生活の知恵でもあるのでしょう。

 

さて、冷や汁と言えば、欠かせない野菜が「きゅうり」。きゅうりは宮崎県の特産物であり、きゅうりの生産高は宮崎県が全国1位だそうです。

 

「きゅうりには栄養がない」と思っている方も多いようですが、きゅうりに含まれる栄養としてまず挙げられるのがカリウムです。カリウムには、利尿作用があり、摂取した余分な塩分を排出する働きをもっているため、むくみの解消に役立つといわれます。また、薬膳の考え方では、きゅうりは体にこもった熱も放出して、体を冷やす働きを持つ食材とされています。昔から、「暑い日にはよく冷えたきゅうりを!」と言われ、夏バテにもよいと言われるのはそのためでしょう。

 

ひとくちに冷や汁と言っても「レシピや味つけは家庭の数だけある」と言われているくらい、さまざまな冷や汁が宮崎には存在するようです。宮崎の知人に話を聞き、食べた冷や汁の記憶をたどりながら、レシピを作ってみました。味噌は焼いたほうが、ちょっと手間がかかりますが、香ばしくておいしいです。今回は宮崎で購入した「麦味噌」を使ってみました。

麦味噌

温かいごはんを使用するか、冷やご飯を使用するかは、家庭によって異なるようですが、私が今回、宮崎県内でいただいた冷や汁は、温かいごはんに冷たい汁をかけるスタイルでした。それがとてもおいしかったので、温かいごはんを使うレシピをご紹介したいと思います。

 

冷や汁

冷や汁

 

 

【材料】(作りやすい分量)

あじの干物:1枚
豆腐:100g
味噌:大さじ2
きゅうり:1本
みょうが:2本
大葉:2枚
だし汁:2カップ
ごはん:茶碗に2杯
すりごま:適宜

【作り方】

①あじの干物を焼き、身をほぐす。豆腐は水気をきってざっとほぐす。

②味噌はアルミにのせ、グリルかオープントースターで焼く。

焼いた味噌

③きゅうりとみょうがは小口切りに、大葉はみじん切りにする。

④冷やしただし汁で、②の焼いた味噌をよく溶かす。

⑤④に③の野菜類と、①の焼いてほぐしたあじの干物、豆腐を加えて混ぜる。

⑥温かいごはんを椀によそい、⑤をかけ、すりごまをふる。

 

 

9月に入っても残暑の厳しい日が続きそうで、まだまだ油断禁物ですね。食べやすくて栄養もしっかりとれる冷や汁で、体力回復を!

 

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