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料理家・発酵マイスターの榎本美沙さんが使う、こだわりの酒、しょうゆ、みりん! かぼちゃの煮物のレシピも紹介

発酵食に造詣の深い料理研究家の皆さん愛用の発酵調味料のご紹介。今回は、YouTubeやInstagramでも大人気の料理家・発酵マイスターの榎本美沙さんに、和食作りの基本となる、酒、しょうゆ、みりんを教えていただきました。日々の料理に取り入れれば、我が家の定番おかずが、ぐんとランクアップすること間違いなしです。

榎本美沙
榎本美沙さん
料理家・発酵マイスター
公式サイトを見る
Twitter Instagram

発酵食品、旬の野菜を使ったシンプルなレシピが好評で、雑誌や書籍へのレシピ提供、イベント出演などを行う。NHK「あさイチ」をはじめテレビ出演でも注目される。 YouTube「榎本美沙の季節料理」はチャンネル登録者数 30 万人を突破。Instagram、夫婦でつくるレシピ紹介サイト「ふたりごはん」も人気。 最新刊『榎本美沙の発酵つくりおき』(家の光協会)が2023年12月発売予定、その他著書に『からだが喜ぶ発酵あんことおやつ』『からだが整う 〝ひと晩発酵みそ〟』(ともに主婦と生活社)、『ゆる発酵』(オレンジページ)など多数。

 

心と体を整える発酵食の魅力を多くの人に伝えたい

料理家・発酵マイスターとして、大活躍中の榎本美沙さん。会社員時代も多忙な毎日を送っていたそうです。

 

「そんな慌ただしい日々の中でも、味噌汁が大好きで、毎日欠かさず飲んでいました。野菜たっぷりの味噌汁を飲むと、体調も整いますし、気持ちもほっと落ち着きました」(榎本さん)

 

 

その後、料理家になり、味噌を使ったレシピ開発に多く携わったことで、発酵にいっそう興味を持ち、発酵食の仕事を多く手がけるようになったとのこと。発酵マイスターの資格を取り、発酵食の魅力を多くの人に伝えるべく、日々、発酵の研究と新しいレシピ開発に励んでいます。

 

榎本さんが発信しているYouTubeやInstagramは、発酵食を使ったシンプルなレシピと、ほっこりと気持ちが温かくなるような丁寧な季節の手仕事が人気を呼び、現在、YouTubeのチャンネル登録者数は30万人、Instagramのフォロワーも11万人を超えるまでに。

こうした、多くの人に支持される人気の秘密は、なんといっても画面からあふれてくる、榎本さんの発酵愛です。

 

そこで今回は、そんな発酵愛あふれる榎本さんが厳選、おすすめする基本の調味料、3品を教えていただきました。

 

他の料理酒にはない、素材の味を引き出す旨味とコク

1品めは、料理に欠かせない酒。「大木代吉本店」の「こんにちは料理酒」です。

 

大木代吉本店の創業は、慶応元年(1865年)。現在の福島県矢吹町にあたる地で、初代代吉が酒造りを始めて以来、つねに時代に先駆けた酒造りに挑む、開拓精神あふれる酒蔵です。

看板商品ともいえる「自然郷」は、「純米酒」という言葉もなかった1970年代に、四代目大木代吉が「米だけを原料とする本来の酒造り」を目指したことから生まれました。現在も愛好家の間で広く長く愛されている純米酒です。

 

そんな大木代吉本店が造る「こんにちは料理酒」は、多くの料理人が好んで使用しています。 栄養の宝庫である酒粕を取り入れることで、旨味とコクがたっぷり詰まったプロ仕様。「素材を引き立てる料理専用酒」を探し求めていた食品会社社長の依頼に応え、アミノ酸度を上げる酒質設計の見直しなど、試行錯誤の末に誕生したそうです。

 

榎本さんも、「他の料理酒にはない旨味とコクがたっぷりあります。香りをかぐだけでも旨味が強いのがわかると思います。肉や魚の臭み消しにはもちろん、少量使用するだけで素材の持ち味を引き出してくれます。蒸し物や炊き込みご飯、鍋物、炒め物など、幅広くいろいろな料理に使えて、どれも深い味わいに仕上がります」と絶賛。

 

こんにちは料理酒
大木代吉本店

 

微生物が生きる木桶ともろみ蔵で、手間と時間をかけて醸す「再仕込みしょうゆ」

次に榎本さんが紹介するのは、「ヤマロク醤油」の「鶴醤」(つるびしお)です。

 

「木桶仕込みのしょうゆ造りが今もさかんな小豆島で、通常の『倍の原料』と『倍の歳月』をかけて造られる再仕込みしょうゆです。その魅力はなんといっても、その『まろやかさ』。濃厚なのに塩辛くない。まずはそのまま少しなめてみてほしいです。お刺身はもちろん、焼いたお肉にも負けない、深みのある味わいです」と榎本さん。

 

「鶴醤」の製法は二度仕込み。1~2年熟成させた生しょうゆを、「仕込みの塩水」の代わりに使用して再度しょうゆを仕込み、さらに2~3年熟成させます。塩分として塩の代わりに、かどのとれた生しょうゆを利用することで、深いコクと香り、まろやかさが生まれます。
原料を贅沢に使い、歳月をかけて自然の力でゆっくり育てることで生まれる味わいです。

 

ヤマロク醤油はすべて木桶仕込み。また、もろみ蔵は100年以上前(明治初期)に建てられたもので、国の登録有形文化財(第37-0182~0184)に指定されているとのこと。木造平屋で、床は土間、壁は土壁。そこに、多くの酵母菌や乳酸菌たちが暮らしています。こうした環境が、木桶以上に、しょうゆ造りに大きくかかわっているとのこと。加えて、小豆島の山々と海からの乾いた風と温暖な気候によって育まれた、まさに自然の恵みが凝縮したしょうゆです。

 

「鶴醤」(つるびしお)
ヤマロク醤油  

 

契約農家の米を自社で精米、製麹。伝統製法を守る心が生む信頼の味

最後は「角谷文治郎商店」の「有機三州味醂」です。

 

「料理に深いコクを与えてくれる、『伝統製法のみりんならでは』の奥深い味わいです。 料理に使用すると、上品ながらも、しっかりと深いコクが出るので、たれに使うほか、炊き込みご飯に加えたりもします。また、年始の黒豆を煮る際は、砂糖を使用せず、このみりんだけで煮るのが我が家の定番。すっきりとした甘味と、コクのある仕上がりになります」と榎本さん。

 

「有機三河味醂」の原材料は、もち米、米麹、米焼酎の3つのみ。蒸したもち米を、麹と焼酎と一緒に仕込み、長期間の熟成を経て、瓶詰めします。

また、使用する米はすべて国産の有機米。厳選された国内指定産地の、長いつき合いのある生産者が丹精込めて育てたもち米を自社で精米。焼酎も、みりん仕込みに合うよう、香り高い焼酎を自社で製造しています。

 

そして、伝統的な製法で醸造。蒸したもち米、米麹、米焼酎を仕込んで「もろみ」にし、熟成に約3カ月、さらに1年以上の熟成。この間、三河の気候風土の中、麹菌の働きによって甘味と旨味が育まれます。火入れ殺菌などの処理を行うことなく、じっくりと時間をかけて醸すことで、伝統的な三河みりんの味を守り続けています。


有機三州味醂
角谷文治郎商店

 

そして今回は、上記のしょうゆとみりんを使って、かぼちゃの煮物を紹介していただきました。他の野菜にも応用できるレシピ。おいしいしょうゆとみりんだからこそ味わえる、ほっとする滋味あふれる煮物です。

 

【レシピ】

かぼちゃのレンジ煮

材料(作りやすい量)

かぼちゃ(ワタと種を取ったもの) :400g
A
しょうゆ・みりん・水:各大さじ1

黒いりごま :大さじ1

 

作り方

① かぼちゃは皮つきのまま種とワタをスプーンで取り除いてひと口大に切り、耐熱ボウルに入れる。
②①のボウルにAを加えて軽く混ぜ、ふわりとラップをかけて、電子レンジ(600W)で約5分加熱する。
③かぼちゃに竹串がすっと入るくらいに柔らかくなったら、全体を混ぜ、ラップをかけたまま粗熱を取る。
④黒いりごまを加え、あえる。

 

★ポイント

・かぼちゃは、加熱後にしばらくおいておくと、冷める過程で煮汁を吸い、しっとりと仕上がります。
・冷蔵庫で3〜4日保存可能です。

 

 

撮影/榎本美沙 取材・文/瀬戸由美子

 

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