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3つの食物繊維をバランスよくとる/食物繊維の効率的なとり方①

体にうれしい働きをしてくれる食物繊維は、大きく3種類に分けることができます。今回は、それぞれ違った働きの食物繊維がどのようなものかをご紹介します。

 

お話を伺ったのは

青江誠一郎さん 大妻女子大学家政学部 食物学科教授

青江誠一郎さん
Seiichiro Aoe

大妻女子大学家政学部 食物学科教授。日本食物繊維学会理事長。雪印乳業技術研究所研究員などを経て現職。近著に『最強! 毒出しごはん』(河出書房新社)

 

働きの違ういろいろな食物繊維をまんべんなく!

 

食物繊維は消化されにくい栄養素なのに、体にうれしいさまざまな働きをしてくれます。

 

「それを十分に発揮するためには、異なる特性と働きを持つ、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、レジスタントスターチの3種をバランスよく摂取することが重要です」

 

この3種の中でも、特に意識しないと不足しがちになるのが、腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維レジスタントスターチ

 

「食物繊維の不足を解消するには、これらが豊富な食材を選んで、毎日の食卓にどう取り入れるかがポイント。また、調理方法や摂取するタイミングなどで、“効率よく摂取する”工夫も必要です」

 

漫然と食べていては不足しがちな食物繊維を十分に取り入れるには、“効率”が重要というわけ。まずはできることから、ぜひ実践してみて!

 

 

3つの食物繊維をバランスよくとる!

 

3種の食物繊維にはそれぞれに違った特性と働きがあります。大腸内でふくらみ、腸壁を刺激して便通をよくするのが「不溶性食物繊維」。善玉菌のエサになり、発酵して短鎖脂肪酸(下囲み参照)を産生するのは「水溶性食物繊維レジスタントスターチ」です。これらの総合的な働きがあってこそ、腸内環境が整い、全身の健康が維持できるのです。

 

短鎖脂肪酸って何?


酢酸や酪酸、プロピオン酸などの総称で、摂取した食物繊維やオリゴ糖などを、大腸内にすむビフィズス菌や酪酸菌などの有益な腸内細菌がエサにすることで産生される代謝物。作られた短鎖脂肪酸は大腸で吸収され、脳や全身にある受容体に信号を出し、多くの有用な効果をもたらします。食物繊維の幅広い働きは、この短鎖脂肪酸によるものが大きいのです。

 

腸内で働く3つの食物繊維

 

水溶性食物繊維

水に溶けてネバネバになり、糖質や脂質の消化吸収を阻害して、血糖値の急上昇を抑制。その高い吸着性から、コレステロールや胆汁酸などを吸着して体外に排出する働きも。また腸内細菌のエサになって発酵することで短鎖脂肪酸を産生し、これが脳や全身の受容体に信号を出して、健康に欠かせない働きをします。

 

不溶性食物繊維

水に溶けず、水分を吸収してふくらむのが特徴です。便の量を増やし、排泄を促して便秘を解消。有害物質を吸着して一緒に体外に排出するので、腸をきれいにしてくれます。また、食べたときに歯ごたえがあるので、嚙む回数が増えることで満腹感が得られ、腹もちもいいため食べすぎ防止にも役立ちます。

 

レジスタントスターチ

食物繊維と同じように働く難消化性デンプンで、近年、急速に研究が進み注目されています。水溶性食物繊維のように、血糖値の急上昇を抑えたり、腸内細菌のエサとなり短鎖脂肪酸を作るなどの働きをします。特徴的なのは、発酵するのが遅いために腸の最も奥の直腸まで届き、腸をまんべんなく元気にしてくれることです。

 

 

イラスト/斎藤直樹(ベリーマッチデザイン) 取材・原文/山村浩子

 

 

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