老後資金のように、10年以上先に必要となるお金は投資信託など運用商品を利用して効率よく増やしたい。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんに詳しくお伺いしました。
教えてくれた人
山中伸枝さん
Nobue Yamanaka
ファイナンシャルプランナー。FP相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。わかりやすい説明で、個人相談のほか講演会やメディアでも活躍。『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数
10年以上先まで使う予定のないお金
老後資金のように、使う時期が10年以上先のお金は、増やすことを心がけて。特に年金見込額が支出予想額を下回る場合、ここの補強を。
「初心者におすすめなのは、値動きが異なる国内外の株や債券、不動産への投資を組み合わせた『投資信託』を、10年以上の長期で、積立という形で購入すること。
本来投資は、価格が安いときに買い、高いときに売るのが最も利益が出るのですが、いつ安くなり、いつ高くなるかは誰も予測できません。そこで、長期間、特定の商品を毎月一定額買い続けることで取得価格をならし、大損のリスクを避けるのです」
例えばAという投資信託を毎月3万円積立購入する場合。1口の価格が3万円の月は1口、1万円なら3口、5000円なら6口購入でき、平均取得額は1口9000円に。
となると、価格が9000円以上のときに売却すれば利益が出ます。また、4~5年といった短期投資だと、その間ずっと景気が悪く、Aの価格が下落し続ける危険性がありますが、10年以上の長期投資なら、どこかで好況に転じ、価格が上がる可能性が大。
「投資の基本は分散・積立・長期。これを踏まえつつ、iDeCoやつみたてNISAなどの制度も利用し、着実にお金を増やしていきましょう」
●8資産投資バランス型投信とは
特定の株や債券への投資が単品メニューだとしたら、株や債券、不動産(REIT)など複数の投資先を組み合わせた投資信託は多彩なおかずを少しずつ詰めた幕の内弁当。
特に8資産バランス型は、日本経済が悪化しても新興国は好調とか、株が下がっても債券は堅調など、値動きが異なる8つの投資先を均等に組み込んでいるので安心感が大
●積立×長期投資によるメリット例
上のグラフは、とある投資信託に毎月3万円ずつ、10年間投資した結果。景気によって投資信託の基準価格に上がり下がりはあるものの、価格が高いときは少なく、安いときは多く購入していることもあって10年で資産は倍以上に!
イラスト/サンダースタジオ 取材・原文/村上早苗