【お話を伺った人】
教員を経て、2019年に株式会社パセリに入社。入社後はSEO対策を中心としたWEBマーケティングに従事。専門サイト「日本語教師ナビ」のサイト担当者などを経て、現在は資格総合サイト「BrushUP学び」を中心にオウンドメディアを活用したWEB施策・PR活動の全般に携わる。教員免許(小・中・高)、ITパスポートなどの資格を保有。趣味は草野球とひとり旅。
会社員や主婦の経験が生きる職業なら目指しやすい!
資格を取りたい人のための「学び」の情報を紹介するのが「資格情報サイト」。
そのひとつ「BrushUP学び」は、スタートから25周年を迎える資格情報サイトのパイオニアです。
年間ユーザー数は950万人。常時300の資格、2500の講座を掲載しています。
「BrushUP学び」でデジタルマーケティングディレクターを務める三宅弘一さんは、ユーザーの分析を行うほか、資格取得を目指す人に会って直接話を聞く機会も多いそうです。
三宅さんによれば、「60代以降も働きたい女性が増えてきている」という昨今。
年齢を重ねていることがプラスになる職業を目指して、資格取得を考える人が多いとのことですが、「BrushUP学び」を訪れる40代、50代の女性に人気が高いのはどんな資格でしょうか?
三宅:OurAge世代が今後の働き方を考える場合、若い人たちと競い合わねばならないような職種だと、40代、50代で何かを学んで資格を取っても、なかなか就職が難しいかもしれません。
一方、これまでの「人生経験が強みになる仕事」であれば、40代、50代からでも資格をとって、仕事に生かすことができます。さらに、社会的な需要が高いといわれている職種であれば、資格取得後の仕事につながりやすいです。
例えば、今、40代、50代の女性に人気が高く、しかも、社会的需要も高まっている職業のひとつに「日本語教師」があります。
日本語が母語でない人に日本語を教える「日本語教師」という仕事は以前から存在していましたが、2024年4月に、「日本語教育機関認定法」が施行され、日本語教師の国家資格、「登録日本語教員」が創設されました。
これにより、「認定日本語教育機関」で日本語を教えるためには国家資格である登録日本語教員が必要になりました。
日本語教師の国家資格が創設された背景には、近年の在留外国人の増加に伴い、日本語教師の数、質を確保する必要性が高まっているという現状があると思います。
登録日本語教員の資格をとるには、専門の養成機関で学ぶのが一般的です。
そして、なぜ日本語教師の仕事に「40代、50代の女性の人生経験が生きる」といわれるのかというと、言語を教えるということは文法や発音を教えるだけではなく、その言語の背景にある文化や習慣も教えることだからです。
日本の社会で円滑に暮らすためのマナーや身なり、日本のビジネス社会で求められる言葉遣いや対応などを教えることも大切です。
そうなると、この年代の女性ならではの、長年職場で培ってきたビジネス経験や、ご近所付き合いや親戚付き合い、家庭での家族のサポートや子育ての経験が豊かであるということが、大きな強みになります。
また、非常勤講師として、1コマ単位で授業を受け持つといった働き方もあるので、60代以降も細く長く、やりがいを持って働けるという点も魅力のようです。
そして、近年もうひとつ、40代、50代の女性に人気が高く、需要の高い資格に「キャリアコンサルタント」があります。
これは、就職、転職、キャリア形成に関する専門的なアドバイスをする仕事の国家資格。
職場で多くの経験を重ね、自分自身も働き方に思い悩んだり、周囲の人のさまざまな生き方、働き方を見聞きしたりしてきたからこそできる、多様なアドバイスが大きな強みになります。
近年、政府は今後3年間で約33万人の転職を後押しすることを目標にしているとのこと。
こうした事情から、キャリアコンサルタントの需要は右肩上がりになるといわれています。
また、副業としてやフリーランスで活動しやすいという点でも人気です。
さらに、子育て経験が生かせる資格として人気なのが、「保育士」や「チャイルドマインダー」といった保育にかかわる資格です。
「保育士」は、児童福祉法で定められている国家資格のひとつ。
保育士の資格というと、高校卒業後に大学や短大、専門学校で学んで取得するものというイメージがありますが、社会人であれば、年に2回実施されている保育士試験を受験して合格することで、資格を取得することもできます。
通信制の大学で学んだり、養成講座を受講したりしたあと、受験するのが一般的です。
また、「チャイルドマインダー」は、英国発祥の家庭保育に関するスペシャリスト資格(民間資格)です。
個人で開業して自宅を保育場所として、家庭的な雰囲気の中で保育する「在宅保育」を行うほか、依頼者の家庭を訪問し、1対1の個別保育を行う「訪問保育」や企業内託児所などでも活躍するケースもあります。
保育士不足の今、これらの人材の需要は高いといわれています。
子どもにかかわる仕事には、自分自身の子育て経験を生かせるほか、「先輩お母さん」として、子どもを預ける母親たちからの共感・信頼を得ることができます。
そういった意味でも、これまでの人生経験が生きる仕事といえるのではないでしょうか。
医療・福祉・介護分野は女性の需要が高く、長く働ける
Q. 専業主婦の期間が長く「私にはキャリアがない」と悩む女性にとって、子育てや家庭での経験が仕事につながるというのは、とてもありがたいのですが、そのほか、専業主婦の期間が長くて仕事の経験があまりない女性が、「未経験で挑戦しやすい資格」はありますか?
三宅:未経験の女性も活躍しやすく、長く働ける職業ということで人気なのは、医療・介護・福祉関連の仕事ですね。
例えば、「登録販売者」は、薬局やドラッグストアで一般用医薬品の販売ができる専門資格です。
「登録販売者」の資格を取ると、一般用医薬品の9割以上を占める第2類・第3類医薬品の販売が可能になります。風邪薬・解熱鎮痛剤・整腸剤などがこれにあてはまります。
登録販売者になるには、都道府県で実施される登録販売者試験に合格する必要があります。
また、試験合格後、勤務先の店舗がある都道府県に販売従事登録申請を行うことで登録販売者としての業務がスタートできます。
登録販売者は国家資格に準じた資格ですが、未経験でも受験可能です。
ドラッグストアで働く薬剤師は不足しており、厚生労働省が発表している令和4年度の有効求人倍率は2.2倍と、需要の高い仕事といえます。
また「医療事務」や「介護事務」は未経験の採用も比較的多く、長く働ける仕事といわれています。
資格がなくても働ける病院は多いようですが、未経験であれば、資格を取得することである程度知識をつけておけば採用に有利になりますし、自信にもつながるでしょう。
「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」は、人手不足がいわれている介護の仕事に役立つ資格。
また、仕事に役立てるためだけでなく、自分の家族のために介護の勉強をしたいということで、資格を取る人もいます。
なお、こうした学びには費用がかかるものですが、「教育訓練給付」と呼ばれる、学びたい人を支援してくれる制度があります。
政府は「リスキリング(学び直し)推進のための「教育訓練給付制度の拡充」に力を入れています。
「教育訓練給付制度」とは、雇用保険に一定期間加入している人であれば、厚生労働大臣が指定する講座を修了した場合、受講費用の一部を支給される仕組みです。
専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があり、それぞれ対象となる人の条件や給付率が異なりますので、雇用保険に加入している人は、厚生労働省のサイトの「教育訓練給付制度」を一度チェックしてみるとよいのではないでしょうか。
学び直しで得た仕事、新しい自分が、残りの人生をより豊かにしてくれる
Q. ここまで、就職に生かしやすいという観点でお話を伺ってきましたが、さまざまな資格の情報に触れ、資格取得に挑戦する人たちを多く見てきた三宅さんが考える、大人の「学び直し」の最大の魅力は何でしょうか?
三宅:40代、50代の女性がこれから資格を取得して、60歳以降の仕事に生かすとなると、やはり、今までに自分の積んできたキャリアや社会経験、家庭で培ったスキルと関連のある資格というのが、いちばん次の仕事につながりやすいと思います。
でも、だからといって、それだけが資格取得の目的かというと、そうではないと思うんです。
私が考える「資格取得を考えるうえで最も大切にすべきこと」というのは、「資格を通じて、理想の自分を実現できるかどうか」だと思います。
資格を取ることがゴールではなく、資格を取ったあと、どんな自分になりたいのか、その自分の姿をイメージできるかが重要です。
特に、「定年・60歳以降の学び」ということになれば、これからの人生をまだまだ楽しみたいと考える人が多いと思います。
こうした「楽しみ」を後押ししてくれるもののひとつが、資格ではないでしょうか。
私たちのサイトから、資料請求の際に寄せられる「資格取得を考える理由」というコメントで、40代、50代の人に多いのが、「今まで挑戦したいと思ったことがあったのに、会社員としての仕事や家庭では家事、育児、介護などで忙しくて実行できなかった。でも、ようやく今、学べる状況になった。そして、学んだことをこの先10年20年と仕事として生かし続けていきたい。やっと、なりたかった自分になるのだと思うとワクワクします」といったようなコメントです。
若い頃に達成できず、置き忘れていたものを取り戻してもう一度挑戦するという感じですね。
昔、何かに夢中になったときのようなワクワクした気持ちを、もう一度持つことができるということが、資格取得に向けて学び直しをする、最大の魅力だと思います。
もし、こうした「60歳からワクワクできるものが見つからない」ということであれば、資格情報サイトをちょっとのぞいてみてください。
拾い読みでもいいので、なんとなく見ているうちに、「お?」っと興味が湧く資格や講座があるかもしれません。そうしたら、クリックしてどんなものなのかを読んでみる。
そんなちょっとしたことから始めてみるのもよいのではないでしょうか。
★年間ユーザー数は950万人。常時300の資格、2500の講座を掲載!
株式会社パセリが運営する、資格情報サイト。
1998年5月のサイトオープンから25年以上にわたり、「学びたい」「自分を磨き幸せを実現したい」という人を応援。
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全国各地の資格養成講座を網羅し、取り扱い数は6万7,000件以上。
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取材・文/瀬戸由美子