かつては一般に「オイルは肥満の原因」というイメージがありました。だから「オメガ3系オイルが体にいい!」と聞いても、ピンとこないという人も多いようです。「そもそもオメガ3系オイルとは何か」「なぜとるべきか」など専門家であるYUKIEさんに詳しく聞きました。
YUKIE さん
Q オイルは太るから
できるだけ控えるべきでは?
A オイルは細胞膜を作り、体の調子を整えるなど、
全身の健康にかかわる大切な働きをします。
オイル、すなわち脂質は三大栄養素のひとつ。活動エネルギーになるほか、重要な機能がふたつあります。ひとつは、私たちの体を構成する60~100兆個もの細胞を作る働き。肌、髪、内臓、血管を作る材料になります。そして、もうひとつが体の調子を整える働き。免疫システムや神経・ホルモンの働きをスムーズにしてくれます。つまり、オイルは私たちの健康維持に必要不可欠なものなのです。さらに、オイルには脂溶性ビタミンやポリフェノール類などアンチエイジングに役立つ成分も豊富です。
Q 数あるオイルの中で、なぜ
「オメガ3系オイル」がいいの?
A 体内で合成できない「必須脂肪酸」のひとつであり、
美と健康に役立つさまざまな機能を持つからです。
「オメガ3系オイル」とはオメガ3系の脂肪酸を多く含むオイルのこと。脂肪酸とはオイルを構成する成分で、ひとつのオイルは複数の脂肪酸で構成されます。そのひとつが「オメガ3系」。
α-リノレン酸や魚介類に含まれるDHA、EPAなどが「オメガ3系」に分類されます。「オメガ3系脂肪酸」は、体内で合成できないため、必ず食事からとる必要のある「必須脂肪酸」です。細胞を柔軟にして肌や血管を若々しく保つ、脂肪を燃焼するなどの働きを持っています(下図参照)。
オメガ3系脂肪酸の種類
●α(アルファ)-リノレン酸
おもに植物オイルに含まれます。血中の中性脂肪を抑制し、血栓を予防。アレルギー予防や高血圧予防の効果でも注目。体内で一部がDHA、EPAに変換されます。
●ドコサヘキサエン酸(DHA)
魚介 類に多く含まれ、血液を健康な状態に保つほか、脳の機能に大きく関与。脳関門を通過できる数少ない脂肪酸で、脳の細胞膜に多く存在し、脳の活性効果が期待されます。
●エイコサペンタエン酸(EPA)
魚介類に多く含まれ、おもに血管の健康を守る働きがあります。血小板の凝集抑制効果による動脈硬化予防や、血中の中性脂肪減少効果による高脂血症予防が期待されます。
次回もまた「オメガ3系オイルがなぜいいのか」、引き続きYUKIEさんに聞いていきます。
撮影/ケビン・チャン スタイリスト/中野径恵 構成・原文/瀬戸由美子