麺屋武蔵のベジラーメン、スープのおいしさの秘密に迫る!
こんにちは! 野菜料理家の庄司いずみです。
前回の記事で、あの人気ラーメン店、麺屋武蔵総本店で期間限定、ビーガンOKのエビベジタンメンを展開していることを紹介しました。
あまりにもおいしくて、もう一度食べたいのもありましたが、特にスープが驚くほど深い味わいなのと「日によって味が違う」という麺屋武蔵代表の矢都木さんの言葉に誘われて、しつこい私はもう一度、味を確かめに足を運んだのです。
前回の写真と同じと思うでしょうか。
ところがです! 飲んでみると確かに、味が微妙に違うのです。
最初に訪れたときより、野菜の甘みが強く出ている感じ。それでいてスッキリクリア。微妙な違いなのかもしれませんが、「使う野菜でスープの味が変わる」とはこのことか、と驚きました。
というわけで、今回はなんと! スープをとっている厨房に突撃取材をさせていただきました!
お店からすぐの場所にある、秘密の厨房に入れていただけるだけで、私にとっては大事件。その上、図々しくも、根掘り葉掘り作り方を伺い、味見までさせていただいて、たいへん勉強になりましたし、大感激だったのですが……。
途中でふと我に返り、矢都木さんに「そういえばこれ、企業秘密ですよね、書いちゃダメですよね」とお尋ねしたところ「秘密じゃないからかまいません!」とのお返事。
なんて太っ腹! これもきっと、使っている素材や、そこから生み出される味に絶対の自信があればこそ、なのでしょう。
また「日々変化、日々進化していますから。明日は違うやり方になっているかもしれないし」とも。
ということなので、もしかすると今日は変わっているのかもしれませんが、とにもかくにも私が目撃したのは、次のような手順でのスープのとりかたでした。
まずこちら。乾物やきのこ軍団です。ダシ昆布やドライトマト、干ししいたけ、ドライポルチーニ、白まいたけなど。
見てください、この贅沢なドライトマトの量を。この素材たちは水出しでダシをとるのだそうです。
そして、今回のエビベジタンメンの味の決め手となるベジブロス。ダイナミックにも玉ねぎは丸ごとゴロゴロ、こんなにもたくさん! そして根菜類。エビベジタンメンの具材に入っている野菜の端材も入っています。これを数時間かけてじっくりと煮出します。
この時に塩をほんの少々加えることで、野菜のうまみがじっくりと引き出されるとか。
お次はこちら。ブロッコリーやカリフラワーの葉っぱでしょうか。青菜の端切れやかぶの皮なども加え、さらに煮だします。
入れ方にもコツがあり、沈めるのではなく、葉野菜はふんわりと。蓋をするようにのせるのです。こうすることで、ベジブロスの風味を守っているのだそうです。
そしてこれが最後の決め手です。
麺屋武蔵さん独特のやり方、追い鰹ならぬ、追いにんじんです!
人参を薄切りにしてカラカラに干したにんじんを、追い鰹と同じ要領で最後に加えてダシをとるのです。
これで、にんじんの甘みやうまみ、風味が加わって味が完成するのです。
この要領でとったスープがエビベジタンメンとなるわけですが、「で、味付けはなにで?」と聞いてびっくり。
なんと! 使う調味料は塩だけなのだとか。
「軽く焼いてはいますが、特別な塩ではなく、普通の塩です」とのこと。
塩だけであんなに深く、複雑な味になるなんて!
これが、麺屋武蔵さんのエビベジタンメンの具材であり、スープともなっている野菜たち。海老原ファームのエビベジです。
私も海老原ファームさんには何度か足を運びましたし、海老原さんの野菜作りへのこだわりや情熱もよく知っています。エビベジのおいしさに惚れ込んでもいます。
そのまま囓るだけでおいしさにうなる野菜ではあるのですが、手をかけることで、野菜のおいしさをこれほどまでに引き出せるなんて!
前回の記事で書いたトッピングの具材のこと──、野菜の種類によって揚げたり、炒めたり、茹でるなど、下ごしらえを変えることもそうですし、スープもここまで丁寧に作るとは。
麺屋武蔵さんの真摯に素材と向き合う姿勢には頭が下がります。
私も野菜料理家を名乗っているからには、もっと野菜と真剣に向き合わなくては。
ベジブロスも毎日とっていますが、家庭でも、もっとおいしく仕上げる方法があるはずです。私なりに試行錯誤し、完成したらまたこの連載でも書こうと思いますが……。
惜しみなく秘密を明かしてくれた麺屋武蔵さん、ありがとうございました。
それはともかく、エビベジタンメンの展開期間は残りわずか。GW明けまで続けるかも……とは聞いていますが……。まだ未体験の方は急げ急げ!
野菜のおいしさにきっと心が震えますよ。
庄司いずみ
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