肉好きミーナ、タンパク質摂取の分量は足りているかもしれませんが、効率的にとれているかどうかは別問題。効率よく活用するには、野菜の「ビタミン」「ミネラル」が必須だそう。また、日本人は伝統的に食べてきた大豆などの植物性タンパク質を消化する酵素が十分に備わっており、とても相性がよいのだそう。食物繊維もとれる植物性タンパク質と動物性タンパク質、バランスよくが肝心ですね。
筋トレ効果を最大限高めるなら、食事も大事!
タンパク質をもっと上手にとろう!
筋肉量をアップするには食事も重要。食事作りもトレーニング項目のひとつと考えて! 筋肉の材料であるタンパク質をしっかり摂取するのはもちろん、体内でより効率的に筋肉がつくられるような食事スタイルを身につけましょう。
ここでは、4回に分けて効果的なタンパク質のとり方を、多くの一流アスリートの食事指導を手がける石川三知さんに教えていただきました!
今回は、こだわるべきこと、調理法の工夫など、タンパク質に関してのさまざまな情報についてです。
栄養指導をしていただいたのは
石川三知さん Michi Ishikawa
profile
スポーツ栄養アドバイザー。ボディリファイニングプランナー。
「OfficeLAC-U」代表。
陸上の末續慎吾選手、スピードスケートの岡崎朋美選手、
フィギュアスケートの荒川静香選手、髙橋大輔選手など、
多くのアスリートやチームを栄養面でサポート。
著書に『身体を引き締める食べ方1:1:2』
(マガジンハウス)など
「良質なタンパク質」を
“さまざまな食材“からとることが重要!
最もこだわるべきは「質」。
アミノ酸スコアの高いものを積極的に
効率よく筋肉になりやすいのは、9種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれた「アミノ酸スコアの高い食品」(下記の表参照)です。
なぜなら、必須アミノ酸が体内で利用される際、含有量に差がある場合は、最も含有量の少ない必須アミノ酸のレベルに制限されてしまうからです。つまりいくら突出して多く含まれている必須アミノ酸があっても、それは利用されずに排出されてしまいます。
また、必須アミノ酸のひとつ「ロイシン」は、筋肉を合成するようにシグナルを送る働きをするため、特に重要な必須アミノ酸。肉類、チーズ、大豆食品に多く含まれます。
「肉」は良質なタンパク質源。
部位を選び、調理法にも注意
肉のアミノ酸スコアは100。良質なタンパク質源として、積極的にとりたい食品です。ただし、その際に気をつけたいのは脂質のとりすぎです。
「部位はできるだけ脂身の少ない、赤身を。鶏肉なら胸肉やささ身。豚や牛ならヒレやもも肉をチョイスして」
おすすめの調理法は「蒸す、焼く、煮る、炒める」の順。揚げ物は避けて。また、肉を焼いたり炒めたりする際に、無意識に使っている調理油も余分な脂質。フッ素樹脂加工の調理器具を使うなどしてカットしましょう。
食物繊維は脂質の吸収を抑える働きがあるので、肉を食べるときは、食物繊維豊富な野菜もたっぷりとって!
効率よく活用するには、
野菜の「ビタミン」「ミネラル」が必須
タンパク質は家にたとえるならば、中心となる材料である木材。木材だけがあっても家は建てられません。くぎや塗料などの部品や、木材を削ったり切ったりする、のこぎりやかんなが必要です。筋肉もタンパク質だけではつくることができないのです。
「タンパク質の代謝に必要なビタミンB群をはじめ、タンパク質の働きをサポートするビタミン・ミネラルも重要。肉や魚、卵、乳製品、大豆などの、良質なタンパク質源となるおかずに、野菜、きのこ、海藻を組み合わせて」
また、筋トレ時には、エネルギー源として糖質も必要。体内の糖が不足すると、エネルギー不足になり、筋肉のタンパク質が分解されて、エネルギーとして消費されてしまいます。
「植物性タンパク質」は日本人と相性抜群。
「動物性タンパク質」を組み合わせて
納豆などの大豆食品は、私たちが積極的にとりたいタンパク質源です。
「なぜなら、私たち日本人は、伝統的に大豆を利用した食品を多く食べてきました。よって日本人の体には、大豆タンパク質を消化する酵素が十分に備わっており、消化吸収の負担が少ないと言われています」
しかも、肉などの動物性タンパク質には食物繊維がほとんど含まれていませんが、大豆には豊富。食物繊維不足に陥る心配もありません。
さらに注目したいのは、大豆をはじめとする植物性タンパク質のアミノ酸組成のパターンは、動物性タンパク質とは大きく異なるという点。「両方のタンパク質を組み合わせると有効です。一方のタンパク質に不足しているアミノ酸を、もう一方のタンパク質がカバーしてくれます」
納豆に卵を合わせる、などはとても理にかなった食べ方と言えます。
タンパク質は体内でアミノ酸に分解される
タンパク質は、アミノ酸の玉がネックレス状につながったもの。それが、胃から十二指腸、小腸へと進む過程で酵素によって分解されて、アミノ酸になり、小腸の毛細血管から吸収されて肝臓、心臓など体全体へ送られ、細胞の材料となるほか、さまざまな働きをします。
自然界には数百種類のアミノ酸が存在しますが、人体を構成するタンパク質の材料となるのは20種類です。そのうち9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれ、人の体内で合成できないため、食品からとる必要があります。
次回は、より効果的に筋肉量がアップしたり、効率のよいタンパク質のとり方などについてご紹介します。
監修/石川三知 イラスト/Jasmine Fulford 図表製作/ビーワークス
構成・原文/瀬戸由美子