便秘をこじらせると20年後に骨盤底筋疾患を招く心配も。日頃の生活習慣を見直して、自分に合う便秘解消法を見つけましょう。
教えてくれたのは…
山名哲郎さん Tetsuo Yamana

秋田大学医学部卒業。JCHO東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター部長。日本大腸肛門病学会専門医、指導医。便秘などの排便障害、痔疾患、骨盤底疾患(直腸瘤・直腸脱)、大腸がんなどの診断・治療に取り組み、直腸瘤には後腟壁形成術、直腸脱には腹腔鏡下直腸固定術を行う。おもな著書に『スーパー便秘に克つ!』(文藝春秋)など
松峯寿美さん Hisami Matsumine

東京女子医科大学卒業。東峯婦人クリニック名誉院長。日本産婦人科学会専門医。女性専門外来の先駆けとして、妊娠・出産、更年期、老年期まで、婦人科系QOLを保つ医療を実践。骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術を行う。おもな著書に『50歳からの婦人科 こころとからだのセルフケア』 (高橋書店)など
排便時は前かがみのポーズがおすすめ
排便時にロダンの〝考える人〞のようなポーズをとると、直腸と肛門の角度が広がり、便が出やすくなるのを知っていますか? 洋式トイレの便座に背筋を伸ばして座ると、直腸から肛門までの角度はほぼ直角になります。この姿勢だと肛門が閉じている状態になるため、便が出にくくなります。一方、前かがみの姿勢をとると、骨盤底筋が自然と緩んで、便が出やすくなるのです」(山名先生)
このとき、かかとを軽く上げると、便意に合わせて腹筋をかけやすくなります。ただし、いきむのは数秒程度にして、長くいきまないように注意。もしも便が出ないときは無理に出そうとしないで、次に便意を感じたときにトイレに行きましょう。
便意を感じたら我慢しない
女性が便秘しやすいのは、家族の介護や仕事など、さまざまな事情で我慢してしまうケースが多いから。でも、排便反射が起きて、「トイレ に行きたい!」と思ったときに排便しないと便意が遠のき、排便習慣が乱れがちになることが多いのです。「便意を我慢して排便サイクルが乱れたときは、次に便意を感じたときに逃さずにトイレに行くことが大事です。そして、『今日はいいうんちが出た』という日は、自分の食事内容の何がよかったのか、振り返ってみてください」(松峯先生)
乳製品や飲み物など、「私に効く食べ物はこれ」というのが何品目かあると安心です。いざというときに試してみましょう。そして便意を感 じたら、そのタイミングを逃さないことが肝心です。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/大石久恵