多機能ツボBEST10実践編、3回目です。更年期に多い「多汗やのぼせ」。その症状の出方にあわせたツボ押しの方法です。ミーナのまわりの、症状に悩んいる人たちに教えねば。
どのツボを選んで、どう押せば効く?
症状の原因にアプローチしたツボ選び
「頭が痛いなら頭のツボでしょ」「肩コリには肩にあるツボよね」と思ってしまうのは、私たち素人の考え方。 東洋医学のプロは、その症状を起こしている原因にアプローチしてツボを選びます。
島田先生のセレクトは、これまで紹介した手と足のツボ10個だけ!
島田流の押し方は2通り
東洋医学では「虚」に対しては足りないものを補う(補法)、「実」に対しては滞っているものを流す(瀉法)という考え方で治療します。ツボの場合、補法は弱い刺激、瀉法は強めの刺激のこと。強い・弱いの2通りの押し方を使い分ければ効果は確実にアップ!
補法(=ヤワヤワ押し)、瀉法(=グリグリ押し)の使い分けに注目して実践してください。
今回ご紹介するのは、更年期に出やすい症状別にツボの組み合わせを替えて改善に効果を発揮する、【多汗・のぼせ】のツボです。
【多汗・のぼせ】は、女性ホルモンが減少して起こる、更年期特有の症状。タイプを3つに分け、最も有効と思われるツボを組み合わせています。
自分に当てはまるのはどの症状ですか?
■首から上、特に顔がほてる
■冬でも暑いと感じる
↓
●のぼせが強いタイプ(気逆)
気の停滞が悪化すると、上から下への通常の気の流れが逆転して気逆の状態に。そのため、のぼせやほてりが強く出るようになります。
島田セレクトは…
太衝は気の停滞を改善し、血海は上に上った気を下ろすためにチョイス。停滞(=実)を取り除くため、どちらも瀉法「グリグリ押し」で。
■暑くないのに汗をかく
■汗が出ると止まらない
↓
●汗が多いタイプ(気虚)
汗をコントロールするのも気。気が不足すると、暑くないのに汗が出て止まらなくなり、さらに気を消耗するという悪循環に陥ってしまいます。
島田セレクトは…
合谷は汗が止まらない症状(=実)を改善するため瀉法「グリグリ押し」で。後渓は全身の陽気のバランスを整えるのに補法「ヤワヤワ押し」を行います。
■急に頭に血が上った状態に
■顔がカーッと紅潮する
↓
●ホットフラッシュタイプ(心腎不交)
〝心〞は体内の陽を、〝腎〞は陰をコントロールしてバランスをとっています。そのバランスが崩れて起こるのがホットフラッシュと考えます。
島田セレクトは…
神門は〝心〞の状態を、太渓は〝腎〞を整えるために、三陰交は女性の生理に関する調節のためにチョイス。いずれも補法「ヤワヤワ押し」を使います。
監修:島田 力さん Tsutomu Shimada
profile
「スクール・トリートメント・カフェ気流」代表、フィットフード協会理事、鍼灸師。父の影響で東洋医学の世界へ。専門学校での鍼灸教育、在宅鍼灸臨床への取り組み、東洋医学外来設立などにも参加。東洋医学に基づく暮らしを提案しつつ、鍼灸治療、セミナー開催、執筆などの活動中。
撮影/広瀬壮太郞 イラスト/福井信明(HOPBOX)
構成・原文/蓮見則子