私たちの「腸内フローラ」の真実とは!?
アレルギーをはじめ、さまざまな病気のカギを握っている腸。 最近では、腸内細菌の集まりである「腸内フローラ」も注目されています。
前回、「三番町ごきげんクリニック」で腸内フローラ検査を受けたOurAgeスタッフ。腸について院長の澤登雅一先生にしっかり取材しました。
今回は、腸はなぜ不調になるのか? 健康な体のバランスを保つために重要な役割を果たしている「腸内フローラ」について詳しくご紹介します。
【腸内細菌は3種類】
腸内細菌は、その働きによって「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(中間菌)」の3つのタイプに分かれています。
善玉菌が増えると、整腸作用、免疫力や消化吸収力のアップ、美肌など、さまざまな効果が期待できます。反対に悪玉菌が増加すると、便秘、肌荒れ、疲れやすくなる、抵抗力の低下など、健康にマイナスの影響を及ぼします。
日和見菌は普段はほとんど活動しませんが、善玉菌・悪玉菌のどちらにもなる可能性があります。また、悪玉菌をなくすと善玉菌も機能しなくなるため、悪玉菌を消滅させればいいというわけではありません。
実は善玉菌優勢の腸内環境になるか悪玉菌が優勢になるかは、母体の影響を強く受けます。もちろんその後の食生活で腸内環境を変えることは可能ですが、傾向として最初に感染した腸内環境に左右されると言われています。
善玉菌
ビフィズス菌、乳酸菌など。消化・吸収を助け、腸の働きを活発にします。ビタミンやホルモンを作り、免疫力を高める働きをします。
日和見菌(中間菌)
バクテロイデス、プレボテラ(口中に常在する菌)など。普段はほぼ活動していない菌。善玉菌と悪玉菌どちらにもなる可能性があります。
悪玉菌
クロストリジウム、ウェルシュ菌、大腸菌、ボツリヌス菌など。食物のカスを腐敗させ、有害物質などを作ります。便秘や下痢を起こします。
腸内フローラの好バランスが
健康な体をつくる!
腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌(中間菌)に分けられ、3つの理想的なバランスは2:1:7。それぞれの菌に役割があり、日和見菌が善玉菌の味方をするよう腸内環境を整えることが大切なのだそう。
「日本女性のがん死亡原因の1位は大腸がんですが、原因としては肉食など食生活の欧米化、便秘による腸内環境の悪化などが考えられるほか、運動不足もリスクを高める一因になっています。特に更年期世代の女性は、女性ホルモンの影響で便秘をしやすくなるので気をつけてください。
また、アレルギーなどさまざまな健康問題を引き起こす〝リーキーガット症候群〞という病態がありますが、これは腸管壁のバリア機能が破綻し、不要な毒素や細菌を体内に吸収してしまうことで起こります。抗生物質など、医薬品の服用が善玉菌を減らしてしまうことも一因だと言われています」
そんな中、最先端の治療法として話題を呼んでいるのが「便移植」です。これは健康な人の便から採取した腸内細菌を腸に移植し、腸内フローラのバランスを正常に戻すというもの。すでに海外では、腸疾患、肥満などへの効果が報告されています。
「腸内フローラをつねに良好な状態に保つには、まず軽い運動を習慣に。運動は大腸がん予防にも有効です。また食物繊維や発酵食品、オメガ3系の油、オリゴ糖をとることも大切です。『腸を制する者は健康を制す』を合言葉に、病気にならない体を目指しましょう」
腸はなぜ不調になるのか?
●不規則な生活
●食べすぎ飲みすぎ
●更年期(ホルモンバランスのくずれ)
●抗生物質の服用
●食物繊維の不足
●加齢
●運動不足
●ストレス
悪玉菌が増える要因は、上のイラストの通り。なかでもストレスや不規則な生活、肉食に偏った食生活、野菜不足やアルコールの飲みすぎは、腸内環境のバランスをくずす原因になります。
そしてもうひとつの原因が運動不足。運動不足は腸の動きを悪くするので、ウォーキングや水泳など、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。子どもの頃にはよい腸内環境だった人が、大人になってバランスをくずすケースもあります。
善玉菌を増やし、腸内環境を整えるための食生活で重要なのは、ごま、大豆、ブロッコリー、ごぼう、ほうれん草などの食物繊維、味噌、納豆、漬け物、ヨーグルトなどの発酵食品、亜麻仁油などオメガ3系の油、バナナ、はちみつなどのオリゴ糖をとること。
ただし遅発型アレルギーが出やすいヨーグルトは、とりすぎると腸の環境を悪くすることがあるので要注意。
■腸内細菌キーワード■
①エクオール
②腸内フローラ
③善玉菌
④リーキーガット症候群
⑤便移植
①エクオールを腸内で産生できるのは、日本人で約5割、欧米人では約3割。大豆イソフラボンを摂取しても腸内細菌の状態
で産生できない人は、サプリメントでの摂取が可能です。
②小腸から大腸にかけての腸内細菌群。「腸内細菌叢」とも言います。専門のクリニックで検査が受けられます。
③腸内を酸性に保ち、病原菌(病原性大腸菌O-157やノロウイルスなど)と戦い、免疫力を高め、一部のビタミンBと骨の健康に必須なビタミンKの産生を行います。
④腸管壁のバリア機能が破綻して、バクテリアや毒素、食物などが体内に漏れ出す症状。大きい分子の食物がアレルゲンとして体内に吸収され、食物アレルギーの原因になります。
⑤腸内が健康な人から提供された便を、大腸内視鏡を用い、チューブ、カプセルなどで患者の腸内に移植する治療法。日本でも、潰瘍性大腸炎などへの効果が研究されています。
■フローラチェック病院リスト■
腸内フローラのバランスを測定する検査「フローラチェック」が受けられる病院のリストです。
※検査費用は保険適用にはならないため、すべて実費(約2万~4万円台)になります。各医院にご確認ください。
<関東>
●三番町ごきげんクリニック
東京都千代田区三番町8-1
電話:03-3237-0072
●健康院クリニック
東京都中央区銀座6-7-4
フリーダイヤル:0120-561287
●Rサイエンスクリニック広尾
東京都港区南麻布5-10-26ORE広尾ビル6F
電話:03-5422-8275
<中部・関西>
●ココカラクリニック
愛知県名古屋市東区泉1-23-36NBN泉ビル4F
電話:052-959-3553
●むらせ 内科・眼科クリニック
岐阜県多治見市三笠町1-10
電話:0572-22-8499
●医療法人 輝鳳会新大阪NKクリニック
大阪府大阪市淀川区宮原1-6-1新大阪ブリックビル8F フ
リーダイヤル:0120-582820
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/上田恵子