自転車ライフを始めるにあたっての疑問を前回と今回でお聞きしています。ミーナが気になるのは、脚が太くなるのでは?という点。サドルを高くして脚全体を使ってこぐ、軽いギアでこぐ、ということに留意すれば、脚はかえって細くなることもあるそう。頑張るのではなく、なるべく長い時間、週3回以上、というのも大事だそう。苦手な、「継続」、ですね。
体にいいことがいっぱい!
楽しく痩せる! 自転車LIFE
実は自転車はOurAge世代に最適な運動ツール。スポーツとして、あるいはリゾートに、街乗りにと、
ちょっとこだわりの自転車ライフを始めませんか?
整形外科医で自転車大好き女医に聞く! Q&A
自転車がOurAge世代にいい理由
ここでは、自転車がOurAge世代におすすめの理由を、自身もロードバイクを楽しむ整形外科医の蔵本理枝子先生がQ&A方式で詳しく解説!
今回は、自転車が体に与えるさまざまな好影響や注意すべき点などのQ&A3~6までをご紹介します。
蔵本理枝子さん Rieko Kuramoto
profile
日本整形外科学会認定スポーツ医、いとう整形外科副院長。
自身もロードバイクやトライアスロンが趣味で、数々の大会に出場する自転車好き。
医療現場のほかに、雑誌や新聞などに連載を持つなど、
リエチ先生の愛称で多方面で活躍
Q3
ほかに体にいいことはありますか?
A
生活習慣病予防、メンタルケア、アンチエイジング効果も!
運動することで、エネルギー消費量が増えて、身体機能が活性化。糖や脂質の代謝が活発になり、内臓脂肪の減少も期待できます。血圧、血糖値、脂質異常が改善され、生活習慣病の予防にも。
また、筋肉量は加齢とともに低下し、それに伴い基礎代謝が落ち、体脂肪が増える傾向にありますが、自転車は全身運動なので、これらの解消にも一役買ってくれます。目標を持って走ることで、達成感が得られ、何より風を切って走る爽快感で精神的なストレスの解消にも。
また、運動は脳の司令塔である前頭前野が活性化されるため、脳機能向上効果があるといわれています。ここは思考力、決断力、注意力、記憶力をコントロールする部位。最近では認知症の予防にも効果があるというデータも。また成長ホルモンが分泌されることで、アンチエイジング効果もありそうです。
期待される効果
生活習慣病の予防・改善
免疫力アップ
抗酸化作用
ストレス解消
Q4
脚は太くならないのでしょうか?
A
こぎ方次第で逆に細くなります。
自転車というと、競輪選手のような立派な太ももを想像する人もいると思いますが、これも乗り方次第です。
ロードバイクなどで長距離を走行する場合は、太ももの裏や臀部の筋肉も使うので、脚全体が引き締まります。陸上でも瞬発力が必要な短距離選手は太ももが太いのですが、持久力を必要とする長距離ランナーは細いですよね? それと同じです。そのポイントは軽いギアで、ペダルが楽にクルクルと回るペースでこぐこと。
ママチャリなどサドルが低い場合も、太ももの前やふくらはぎを中心に使うので、脚が太くなる傾向があります。ママチャリでもサドルを少し高くすることで、脚全体の 筋力がバランスよく使え、スレンダーな脚が期待できます。
Q5
健康のためにはどのくらい乗ればいいの?
A
自転車通勤なら週3時間以上が目安。
よく有酸素運動は20分以上しないと、脂肪燃焼効果がないといわれてきましたが、どうもそれはまちがいのようです。
有酸素運動では、運動を開始して早期では炭水化物が約60%、脂肪約40%が燃料として使われます。それが20分を過ぎることで50%と50%になり、60分前後で炭水化物40%、脂肪60%に逆転。確かに20分以上持続したほうが脂肪は燃えやすいのですが、10分でも効果はあります。最近の研究では、10分の有酸素運動を1日のうちで2回行っても、連続で20分運動したのと同様の効果があるとされています。短い時間でも行うことが大事なのです。
健康づくりのためには、自転車の場合は週に3時間以上が目安。片道30分の通勤なら、週に3日でOK。または買い物などで片道10分をほどほどの速さで1日2往復すれば十分効果がある計算になります。
Q6
注意すべきことはどんなことですか?
A
やりすぎず、マイペースで安全に行うこと!
効果的な自転車の乗り方は前傾姿勢になり、脚や腕の筋肉、腹筋、背筋などで体を支え、使う力を分散することです。慣れるまでは無駄な力が入り、さまざまな痛みが出ることも。またロードバイクなどに長時間乗るときには、サドル痛(股ずれ)にも注意。サドルは女性用のものを選び、できればお尻にパッドがついたレーシングパンツの着用がおすすめです。ヘルメットとグローブ、目を守るサングラスもあったほうがいいでしょう。
何より、公道を走るときは交通ルールを守り、安全には十分配慮してください。無理をせず、マイペースで楽しく長く続けることで、OurAge世代に最適なスポーツになるはずです。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/山村浩子