タンパク質って何ですか?
ところで、タンパク質のことをどこまでわかっていますか? 意外にきちんと把握していないものです。ここで、タンパク質に関する基礎知識を、もう一度おさらいしましょう!
今回は、「2.必要なタンパク質の量は年齢で変わらない」「3.体調やメンタル面にもよい影響がある」についてです。
本多京子さん
医学博士・管理栄養士。NPO日本食育協会理事。
日本体育大学児童スポーツ教育学部で「子供の食と栄養」を担当。
テレビや雑誌などで健康と栄養に関するアドバイスを行う。
著書は60冊以上
タンパク質の重要性を
理解できていない人が多い!
炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5つが「5大栄養素」と呼ばれています。
「その中でタンパク質は、皮膚、筋肉、髪、爪、臓器、骨など、体すべての構成成分で、血液やホルモン、免疫物質などの原料としても使われています。私たちの生命維持に欠かせない、主役的な栄養素なのです」(本多さん)
日本は今や、世界中のおいしいものが、いつでも食べられる飽食の国。それなのに、日本人の栄養状態は決してよくありません。なんと、戦後の食糧難の時代よりも、総摂取カロリーは減っているそう。
「特に一人暮らしの20代女性と75歳以上の男性のタンパク質不足が心配です。この世代はちょうど、アワエイジ世代の子どもや親の世代に当たります。50歳前後の女性は比較的足りている人も多いのですが、子どもや親の健康管理のため、自分の将来のためにも、ここで正しい知識を身につけてほしいと思います」(本多さん)
2.必要なタンパク質量は20歳も70歳もほぼ同じ!
人の体を構成する細胞は、新陳代謝により生まれ変わって、生命を維持しています。その材料になっているのがタンパク質です。
「生命維持に欠かせないため、厚生労働省が定める、タンパク質の摂取基準量は、18歳~70歳以上の各年代で変わりません。1日あたり、女性で50g、男性で60gが必要です」(本多さん)
タンパク質の英名である「プロテイン」とは、「最も大切な」という意味のギリシャ語が語源になっています。年齢とともに、どうしても摂取量が減りがちですが、生きていくためには欠かせない栄養素。何歳になっても、積極的にとる必要があります。
次ページは、タンパク質が体調やメンタルに与える影響についてです。
3.体調やメンタル面にもこんなによい影響が!
タンパク質は人体の構成成分になるだけでなく、1gあたり4kcalのエネルギー源になります。通常、食事をすると体が温まりますが、3大熱源のうち、糖質や脂質に比べて最も体を温める作用が大きいのがタンパク質。
また、強いストレスに遭遇したとき、副腎から抗ストレスホルモンを分泌して対抗します。ストレスを受けても頑張り続けられるのは、このホルモンのおかげ。その材料となるのもタンパク質。そのため、「根性とスタミナの栄養素」といわれています。
最近ではうつや認知症の背景にも、タンパク質不足があるのではないかと考えられています。
次回は、タンパク質源を評価する“アミノ酸スコア”とは何か? についてご紹介します。
取材・原文/山村浩子 監修/本多京子