骨代謝!
骨粗症(こつそ しょうし ょう)は予防が肝心!
思いがけない骨折などにつながる「骨粗しょう症」は、女性ホルモンの枯渇が大きな原因。閉経後の女性は誰もが予備軍といえます。
骨量アップ!
骨量の減少を食い止めるために
骨粗しょう症の予防・実践編
L e t ‘ s T r y!
骨の若さを保つために心がけたいこと
女性ホルモンの分泌が止まっても、健康な骨を保つことは可能です。適度な運動や、1日に短時間の日光浴、痩せすぎないことなど、まずはできることから実践しましょう!
1 骨は適度な負荷をかけたほうが強くなる
骨量を保つには適度な負荷をかけることが必要です。その負荷を作り出しているのが重力です。重力がないと骨形成が行われないため、無重力空間で生活する宇宙飛行士は骨粗しょう症になりやすいといわれているのです。
「栄養バランスのよい食事をしても、運動しなければ丈夫な骨を作ることはできません。骨に重力をかけるには〝踏みしめる運動〞がおすすめ。浮力が働く水泳は骨を強化する運動には不向きです。ウォーキングやスクワット、ラジオ体操などがいいでしょう」(松峯先生)
「スクワットは血液循環を促し、骨に栄養を与えます。骨を強化して支える体をつくるので、無理のない範囲で続けてください」(福岡さん)
2 痩せすぎは骨も筋肉も弱くする
短期間に3~4㎏以上痩せるのは、よくありません。
「急激に痩せると、筋肉が落ちてしまうことが多いからです。特に左右の脚の内ももの間に極端な隙間ができるような痩せ方は、しないようにしましょう。なぜなら、内ももは骨盤底筋と連動しており、内ももと骨盤底筋の筋肉が急激に減ってしまうと、体のバランスが悪くなって、転倒骨折を招く心配があるからです」(福岡さん)
「一般的に、太りぎみの人は生活習慣病が心配されますが、骨粗しょう症は痩せすぎがリスク因子になります。痩せすぎると運動しても骨に十分な負荷がかかりません。骨量を維持するためにも、ダイエットするときは筋トレをして、筋肉をキープしましょう」(松峯先生)
3 日光を浴びて体内でビタミンDを作ろう
最近は〝紫外線はシミや皮膚がんを招くから〞と、日光を避ける生活をする女性が多いですが、人間の体は紫外線に当たることによって、皮膚の表面でビタミンDが作られる仕組みがあります。
「骨を作るためには、カルシウムだけでなく、ビタミンDも必要です。ビタミンDが不足すると、腸内でカルシウムがうまく吸収されずに排出されてしまいます。食品からとるだけでは不足しがちな栄養素なので、短時間でも1日1回は日に当たりましょう。紫外線が強くない朝夕の時間帯なら、30分ほど日に当たっても問題ないですよ。その際は、直射日光でなくても大丈夫です」(松峯先生)
松峯寿美さん Hisami Matsumine
1946年生まれ。東峯婦人クリニック院長。医学博士。日本産婦人科学会専門医。
東京女子医科大学、同大学院卒業。
1980年に開業以来、妊娠・出産・更年期・老年期まで、
婦人科系のQOL(生活の 質)を保つ医療を実践。
骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術なども行う。
『女性の医学BOOK』(永岡書店)など著書多数
福岡由理さん Yuri Fukuoka
1982年生まれ。理学療法士。
東峯婦人クリニックにて産前・産後の骨盤底筋ケア、更年期以降の尿もれ、
骨盤臓器脱の予防・改善に有効な骨盤底筋トレーニングを指導している。
全身のバランスを整えて不調を改善する理学療法を行う。
共著に『ウィメンズヘルスと理学療法』(三輪書店)など
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵 監修/松峯寿美、福岡由理