座り時間が長いせいで腹直筋が縮んで硬くなり、
お腹が伸びなくなることがぽっこり下腹の原因に
下腹がぽっこり出てしまう原因をKAORUさんに伺いました。
「私たちは毎日の生活の中で、座っている時間が長いため、お腹を縦に走る腹直筋が縮んでしまっています。
腹直筋は肋骨から恥骨のあたりまで走っているのですが、この筋肉はボディプロテクター的な“防具”としての役割もあるとても強い筋肉なので、縮むとその力も強くなります。
つまり腹直筋は使いすぎている『りきみ筋』です。
この状態だと肋骨と骨盤の距離が短くなり、お腹の脂肪や内臓が前に飛び出しやすくなるうえ、腹直筋はもちろんほかのお腹の筋肉も使われにくくなるため、お腹がぽっこり出てしまうのです。
この状態で、体を起こしながらの腹筋運動のようなトレーニングをすると、さらに腹直筋が縮んでしまうので逆効果です。
また、下腹がぽっこり出てしまうのは、骨盤の状態も関係しています。骨盤が前傾していたり後傾していたりすると、骨盤の内側の大腰筋が縮んで、お腹が伸びにくくなるのです。そうすると下腹が引き上げられなくなるので、いっそう下腹がぽっこり出やすくなってしまいます」(KAORUさん)
では、下腹をすっきりと引き締めるには?
「まずは、硬くなっている腹直筋をほぐして、しっかり伸び縮みしやすい状態にします。
そして、ストレッチで体側から股関節までを伸ばして、下腹が引き上がりやすくしていきます。
そのうえで最後にお尻の筋肉を強化するトレーニングをします。
お尻の筋肉は下腹部の筋肉とつながりがあり、お尻を鍛えると下腹部の筋肉も自然に鍛えられて引き上がりやすくなるんです。
この3ステップで効果的に下腹がすっきり引き締まります」
以下が、KAORUさんおすすめの3STEPの「ゆる筋トレ」。さっそくトライ!
STEP1 「ほぐす」
腹直筋ほぐし
体の右側を下にして横向きに寝て、右のひじから先を床につけ、フォームローラーを骨盤の内側あたりに当てます。左膝を床に置き、左手を右手に重ねて、体を縦に動かしてフォームローラーを転がしてお腹をほぐします。よくほぐれるまで行いましょう。反対側も同様に。
※フォームローラーは、筋膜リリース用のローラーならなんでもOK。ない場合は、細長いステンレスボトルなどにバスタオルを巻いて円柱状にして使ってもOK。
STEP2 「伸ばす」
体側から股関節までを伸ばすヒップフレクサー
① 右脚を前にして、脚をくずして床に座り、左右の手は膝の後ろにつけます。右足の甲はしっかり伸ばしましょう。
② 左手を床につけたまま腕を斜め後ろに伸ばします。
③ そのまま腕をなるべく遠くを通るように右に回していきます。
④腕は、前、そこから左前へと、脇から指先まで伸ばして思い切り遠くを通るように。
⑤ 左手が体の正面まで来たら、膝を立てて起き上がり、左腕を上へと回していきます。
⑥左腕を大きく上に回していきながら、顔も上に向けます。このとき、左の脇腹から股関節までが伸びるのを意識しましょう。これが完成ポーズです。
⑦ ⑥から、元来た道のりを逆回転するように、腕で同じ弧を描きながら腰を下ろし、①の位置に戻ります。ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。これを1〜2回。反対側も同様に。
STEP3 「強化する」
お尻と下腹の筋肉を鍛えるクラムシェル
① 体の左側を下にして横向きに寝て、両膝を90度くらいに曲げ、膝から股関節までは60度くらいにします。左手で頭を支えて起こし、右手は床に置きます。
② 両足の親指とかかとをくっつけて、息を吐き、腹圧をかけながら右膝を開き、息を吸いながらゆっくりと戻します。①②を20回。反対側も同様に。背骨を真っすぐに保ったまま行いましょう。
この3STEPで、すっきりと引き締まったお腹が手に入るので、コツコツ続けてみてくださいね。
【教えていただいた方】
1962年生まれ。アプロ主宰。指導歴40年。 “姿勢で人生を変える”をテーマに指導を行う。姿勢に関する分析をホリスティックに行う独自のメソッドは、多くのファッション誌・フィットネス情報誌で紹介されている。自分の姿勢の現在の状態を把握し、ウェルネスコンサルティングが受けられる「姿勢分析」メニューが人気。自身、還暦とは思えないウェルネスな姿勢美は、まさに日々のエクササイズの賜物。近年、スタジオワークのかたわら、後進の指導や著作活動、オンライングループレッスンやイベントを通して、多くの人たちにそのメソッドを発信中。著書に『テニスボールダイエット』(幻冬舎)、『自分で整体ストラップ』(講談社)、『テニスボールでほぐす!のばす!やせる!』(扶桑社)、『クッションピラティス 内ももを締めれば勝手にやせる!』(幻冬舎)など。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/田代ゆかり(Happ’s) 取材・文/和田美穂