腰から太ももの付け根につながる腸腰筋がサボって縮んでいると、
股関節まわりに脂肪がつきやすくなり、脚が短く見える原因に
この連載の第3回、第4回で脚を引き締める「ゆる筋トレ」をご紹介しましたが、これらをやって脚が締まったけれど、なんだか脚が長く見えない…。
そんな人は、腸腰筋を鍛えることがポイントだとKAORUさん。その理由を伺いました。
「腸腰筋は、腰椎から太ももの大腿骨につながる筋肉。
姿勢を安定させたり、脚を引き上げるときに使われる股関節の奥にあるインナーマッスルです。
第3回でもお話ししたように、多くの人は、普段歩くときに股関節から脚を動かさず、体重を前にかけて膝に寄りかかるようにして歩いています。
そのため、前ももの筋肉ばかりが使われすぎて硬くなり、腸腰筋は使われずに衰えています。
つまり、前ももの筋肉は“りきみ筋”で、腸腰筋は“さぼり筋”です。
腸腰筋は、デスクワーク中心の生活で座っている時間が長いと、縮んで硬くなりやすい筋肉でもあります。
こんな状態だと、脚が伸びにくく、股関節まわりに脂肪もつきやすくなるので、脚が短く見えてしまうのです」(KAORUさん)
では、こんな状態をリセットするには?
「前ももが硬くなっているままだと、腸腰筋が使われにくいので、まずは前ももをほぐしましょう。次に、縮んでいる腸腰筋をストレッチして伸ばします。そのうえで腸腰筋を鍛える筋トレをすると、効果的に鍛えられ、股関節まわりがすっきりと引き締まって脚が長く見えるようになります。姿勢も安定して、歩くのも楽になるので、腸腰筋は今のうちから鍛えておくといいですよ」
以下が、KAORUさんおすすめの3STEPの「ゆる筋トレ」。さっそく今日から始めてみて。
STEP1 「ほぐす」
前ももほぐし
第3回でもご紹介した「前ももほぐし」を行いましょう。(第3回より)
うつ伏せになり、片脚の膝上にフォームローラーを当てます。ひじから下は床につけて、手を組みます。反対側の脚は外に開きましょう。そのままローラーを上下に転がして膝上から太ももまでをほぐします。これを前ももの外側と内側を各5往復。次に、左右の脚を入れ替えて同様に。
※フォームローラーは、筋膜リリース用のローラーならなんでもOK。ない場合は、細長いステンレスボトルなどにバスタオルを巻いて円柱状にして使ってもOK。
STEP2 「伸ばす」
腸腰筋のストレッチ
② 右足を前に出して、両手を重ねて右の太ももに置きます。
③ 後ろについた足指で体を押すようにして骨盤を前にグッと出して10秒キープ。
このとき、左の股関節が伸びるのを意識しましょう。これを2回。左右の脚を入れ替えて同様に。
STEP3 「強化する」
腸腰筋を鍛える「ドンキーキック」
① よつばいになり、手は肩の真下に、膝は股関節の真下に置きます。
② 左膝を90度に曲げた状態で、股関節から脚を引き上げます。
高く上げる必要はなく、太ももが床と平行になるくらいまで上げればOK。
次に左脚を下ろして、今度は同様に右脚を上げます。左右10回ずつ。
これはNG!
頭の位置が下がってしまったり、上げた脚が開いてしまうのはNG。
よつばいの状態から股関節を開かずに脚をそのまま引き上げましょう。
この3STEPを毎日の習慣にして、スラリと長い脚を手に入れて。
【教えていただいた方】
1962年生まれ。アプロ主宰。指導歴40年。 “姿勢で人生を変える”をテーマに指導を行う。姿勢に関する分析をホリスティックに行う独自のメソッドは、多くのファッション誌・フィットネス情報誌で紹介されている。自分の姿勢の現在の状態を把握し、ウェルネスコンサルティングが受けられる「姿勢分析」メニューが人気。自身、還暦とは思えないウェルネスな姿勢美は、まさに日々のエクササイズの賜物。近年、スタジオワークのかたわら、後進の指導や著作活動、オンライングループレッスンやイベントを通して、多くの人たちにそのメソッドを発信中。著書に『テニスボールダイエット』(幻冬舎)、『自分で整体ストラップ』(講談社)、『テニスボールでほぐす!のばす!やせる!』(扶桑社)、『クッションピラティス 内ももを締めれば勝手にやせる!』(幻冬舎)など。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/田代ゆかり(Happ’s) 取材・文/和田美穂