タンパク質不足解消のために「いつでもどこでもタンパク質意識」
「もっと代謝をよくしたい、メリハリのある体型になりたい」という安川さんがトライする筋活プロジェクト。まずはスタート時点の数字を確認します。
■身長150cm
■体重42.05kg
■筋肉量:30.25kg
■脂肪量:10.12kg(体脂肪率:24.2%)
体組成計 インナースキャンデュアル RD-930L(ホワイト)¥41,800(編集部調べ)/タニタ
Bluetooth®通信でスマートフォンアプリ「ヘルスプラネット」と連携。無線LANにも対応しているので、データはサーバーに自動転送されます。忙しい朝も素早く計測して、好きなタイミングで結果や変化の推移をチェック可能。
体重も筋肉量も50g単位で測れ、体脂肪率も0.1%単位で出ます。筋肉量など見たいデータをピックアップするとグラフで表示されたりも。変化を確認しながら効率的にトレーニングできます。
▼計測項目(11項目)
体重、体脂肪率、筋肉量、筋質点数、内臓脂肪レベル、推定骨量、基礎代謝量、体内年齢、体水分率、BMI、脈拍数
安川さんのデータについて、管理栄養士の麻生れいみさんの分析は…
「安川さんは、筋肉の質はいいけど筋肉の量は少ないというタイプ。体脂肪は年齢的にはわりと少ないほうなので、筋肉だけを増やしていけたらいいですね!
筋肉は脂肪よりもだいぶ重さがあるので、体重が増えていいということ。女性はみんな痩せたいと思うあまり体重の数字だけにとらわれがちだけれど、筋肉を増やすことは体重が増えることです。その分、数値とは裏腹に見た目は締まってメリハリのある体型になっていきます。
安川さんの食事を見せてもらうと、筋肉の材料になるタンパク質が圧倒的に足りないので、いかにタンパク質を増やすかが課題です」
そして、最初に麻生さんから出されたミッションは3つ。「いつでもどこでもタンパク質意識」な作戦です。
【安川さんの3つの課題】
1)朝食でタンパク質をとること
必ず朝食を食べてほしい。時間がなければ具だくさんの味噌汁など。それも難しければ豆乳やヨーグルトでもOK。
2)1食につきタンパク質は手のひらひとつ分
肉や魚100g=タンパク質20g。3食で60gになるように。1食でも不足すると筋肉量が低下してしまうため。
3)間食は、タンパク質メインのものに
タンパク質の不足分はその日のうちに間食で補う。どうしてもとれない日は、BCAA(必須アミノ酸のうちの3つ、「ロイシン」「イソロイシン」「バリン」の総称)かアミノ酸サプリを追加。
タンパク質を消化吸収する力が弱い人はどうしたらいい?
最初、タンパク質を増やそうとするあまり、お肉の塊を食べたときなど胸焼けや胃もたれが起こることもあった安川さん。特に食欲のない朝は、ヨーグルト&フルーツ、豆乳などを工夫して口に入れるようにしました。
朝食は玄米フレークにヨーグルトとバナナ、豆乳オレなど。なんとか朝食でタンパク質を口に入れはするものの、数日で胃もたれを発症。
「食事はとにかくよく嚙んでゆっくりと。タンパク質の摂取に胃腸が慣れていないと、胃もたれや胸焼け、ガスがたまるなどの症状が出る人はかなりいます。嚙んで唾液と混ぜることが消化の第一歩なので、柔らかいものでも30回は噛みましょう」(麻生さん)
職場にお弁当を持っていくことにした安川さん。「お昼はパスタや丼など1品のものでなく、なるべく定食スタイルのもの」というアドバイスを受け、お弁当のほうが楽だと考えたのでした。
コンビニおやつ。プロテインドリンクや半熟卵でタンパク質補給。
夕食もタンパク質メインに工夫。肉・魚・大豆製品・卵などを必ず入れるようにしました。
「食事は好きなものを楽しく食べたいと思っていたので、タンパク質をとらなければ…と頑張ることで、ちょっとつらくなるときもあります」という安川さん。
タンパク質のとり方を考えながら、3カ月で食生活改善は成るでしょうか?
骨盤底筋と腹圧のコントロールで目指す、メリハリ体型
一方、安川さんの運動面をサポートするのは、ボディワークプロデューサーのkyoさん。最初に出した課題は「あお向けリセット」でした。
1、2週間は、普段カチカチに固めている筋肉の緊張をほどき、体を緩める期間が必要と判断。安川さん専用宿題が出されました。1日1回、寝転んでできる骨盤リセット法です。
【あお向け骨盤リセット】
膝を抱えてゆらゆら→膝を抱えたまま円を描いて骨盤を転がす→膝を立てて左右にパタンパタン→脚を伸ばしてつま先回し→おまけの美脚ストレッチ(立ち泳ぎ運動)です。
3週目に入ると、リセットに加えて骨盤底筋&腹圧コントロールの宿題が追加されました。
「50代以降は、体もメンタルも頑固になっていきがちです。心身ともにほぐしてゆったりするために、重要なのはやっぱり呼吸。1日に2万から3万回もしている呼吸を見直すと、体に変化が起きる女性は多いんですよ。
骨盤と骨盤底筋を使って呼吸する『骨盤呼吸』をマスターすると、腹圧のコントロールがしやすくなり、できるエクササイズがたくさん増えます。安川さんにもぜひ覚えてほしいですね。
加えて、毎日行ってほしいのはお腹や下半身をほぐすこと。簡単なので、気づいたときに自分の手で自分をいたわりながら続けてください」(kyoさん)
【ミッション1★骨盤呼吸】
基本は鼻での呼吸。ゆっくりと鼻から息を吸い、お腹を膨らませ、骨盤や骨盤底筋がリラックスするのを感じます。お腹をへこませながらゆっくりと息を吐きますが、吐き切ったときに下腹と骨盤底筋、太もも内側に力が入るのが理想的。
【ミッション2★腸マッサージ】
へその横に両手の指の腹を置き、小腸をねらうつもりで上から下に刺すように深く押し、そのまま中央に腸を寄せるようにずらします。硬い人ほど、何度も繰り返しましょう。
【ミッション3★脚の筋膜ほぐし】
「圧をかけ、ねじって流す」が基本。両手で足首をつかんで固定し、圧をかけながら外側にねじります(ズリ圧をかけると呼びます)。ふくらはぎは外へ、同様に膝の下は内側へ。そして膝から上は何カ所かに分けて内側へ。うまく老廃物が流れると、これだけで引き締まって細く見えます。
「次に腹圧コントロールを課題にしましょう。安川さんは体幹が弱いというか、腹圧をうまく使えないタイプ。腹圧とはお腹の中にかかる圧力のことで、骨盤底筋と連動して動くのが理想。これが働かないとお腹ぽっこりにも直結します。
しなやかな筋肉をつけるためには、骨盤底筋と連動した腹圧のコントロールが欠かせません。
それが、つけたいところに筋肉がつく、メリハリのあるボディメイクの秘訣だと思っています。
まずは、体幹を目覚めさせるダウンドッグ系から始め、ちょっと難易度の高い腹圧コントロールを宿題にしますね」
【ミッション4★よつばい&ダウンドッグ】
よつばいで膝を1〜5cmまで浮かせてホールドし、お腹の力を感じながら10カウント。そこからお尻を突き出してダウンドッグのポーズで10カウント。下腹と骨盤底筋をしっかり感じながら3〜5セット行います。
【ミッション5★お腹の力で脚上げ】
あお向けで腰は自然な隙間を保ち、片脚を遠くに伸ばし、もう片方は膝を立てて。伸ばした脚は全体を外側に少しねじり、太ももの内側とお腹の力を一緒に使う意識で、90°まで上げ下げするのがコツ。下ろすときは遠くの床にかかとから軽く。左右10回ずつで1セット。2〜3セット行います。
【ミッション6★腹圧コントロール】
これができれば、腹圧コントロールの目標達成となるエクササイズ。安川さんができずに苦戦した課題でもあります。長座からお腹をえぐるようにへこませながら、背骨をひとつひとつ床につけてあお向けに。片膝を抱えて胸に近づけ、もう片方は遠くへ伸ばして押しながら、お腹にさらに圧を加えてえぐるようにしてゆっくり起き上がります。腹圧を上げるため、お腹は骨盤底筋から引き上げ、伸ばしている脚は下へ、上下に引き合うイメージで。
kyoさんのスタジオ「b-i STYLE(ビイスタイル)」は、レッスンはオープンクラスで誰でも参加できるシステム。平日は仕事と家事などで多忙な安川さんも、できる限り通うようにしました。
レッスンにはダンスのクラスなどもあり、どれも骨盤や骨盤調整をベースにした唯一無二のメニュー。
食事の改善と、これまでにないエクササイズによって、安川さんがどう変わっていくのか、次回をお楽しみに!
【教えていただいた方】
1962年生まれ。ボディワークプロデューサー。「b-i STYLE(ビイスタイル)」主宰。幼児体操の指導を経て、大手スポーツクラブの人材育成やプログラム開発に携わる。1997年より整体や解剖学などを学び、独自の骨盤調整メソッド「ペルヴィスワーク」を考案し、2005年よりスタジオ・ヨギーでレッスンを展開。2015年、自律できるからだづくりをテーマに、日本初の骨盤専門スタジオを東京・青山にオープン。基本の骨盤調整レッスンをはじめ、筋膜ストレッチ、美脚・美尻づくり、筋調律、フローダンス、ウォーキング、整顔など、独自のレッスンで女性の美と健康を応援。骨盤や骨盤底筋に特化した著書多数。
東京医療保健大学大学院医療保健学研究科医療栄養学領域修了。慶應義塾大学SFC研究所 食・フードサイエンス&テクノロジー共同研究機構メンバー。著書は『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)、『20kgやせた! 糖質オフ入門 最新版』(宝島社)などすでに28冊に及ぶ。ベストセラーも多数。
人物撮影/藤澤由加 取材・文/蓮見則子