胃が痛い…。便秘や下痢がつらい…。
そんな胃や腸の調子が悪いとき、自分でやわらげる方法ってありますか?
胃の痛みや、便秘や下痢など、「胃腸」の不調やトラブルがあると、生活に支障が出るうえにストレスもたまってつらいもの。
40代、50代にも悩まされている人は多いと思います。
症状が重かったり長引いたりするようなら医療機関を受診するのが一番ですが、簡単にできるセルフケアを覚えておけば、一度試してみることもできますよね。
今回は、「胃腸」に不調があるときに効果が期待できるセルフケア法をご紹介します。
Satoshi先生に、自分でできる「胃腸のトラブル」のケア法を教えていただきました
Satoshi先生は、大阪を拠点に自身のサロンを経営し、別会社のマネージャーを兼任するなど精力的に活動。
東洋医学・西洋医学の理論をもとにした、さまざまな体メンテナンスの方法に精通した、人気インストラクターの先生です。
OurAgeの「五臓ヨガ」連載の先生としてもおなじみ。
経穴(ツボ)と経絡(けいらく=気血というエネルギーの通り道)を意識しながら動くことで、五臓のバランスを整え、体と心を健康な状態へと導くという、東洋医学をもとにした「五臓ヨガ」の考案者としての知識。
鍼(はり)や灸(きゅう)でツボを効果的に刺激して、痛みや筋肉の緊張を緩和したり、血流をよくしたりして、体の不調を改善する鍼灸師としての視点。
体の中のさまざまな筋肉を意識して動かすことで、不調を整え、筋力の向上を目指す、筋力トレーニング、ストレッチのインストラクター・トレーナーとしての経験。
さまざまなメソッドの施術や指導で、多くの人を健康に導いてきたSatoshi先生が、豊富に持つノウハウの中から、私たちの不調に合わせた最適なエクササイズを教えてくれます。
今回は、運動の手軽さ、ケアにかける時間、ケアする場所などによって選べるよう、【初級編】と【中級編】に分けて、おすすめのセルフケア法を紹介します。
■セルフケア法 その1/初級編
「胃腸のトラブル」には、「脾経(ひけい)」を刺激して整えるケアが効果的!
胃の痛み、便秘や下痢といった「胃腸のトラブル」は、「脾経」という経絡を整えることで解消できる可能性があります。
東洋医学の理論によると、「脾経」とは、足の親指から脚の内側、体の前面を通り、脇の下まで流れている経絡のこと。
ここがスムーズに流れるようになると、「脾(ひ)」=消化器全般の働きもよくなると考えられるのです。
【初級編】では、「脾経」が通っている膝下を刺激して温める方法をお伝えします。
●「脾経」を刺激して整える
脾経は、消化器の働きを司る経絡のことです。
肝臓、膵(すい)臓、胃、腸などの働きにかかわっています。
●膝下をさすって、脚の内側を流れる「脾経」を整えましょう
【1】
まずは足首付近を両手のひらで包み、さすります。
そのまま足首から膝に向かって、両手で脚をさすり上げていきます。
脚全体が熱を帯びて温かくなるまでさすってOK。
【2】
膝のあたりまでさすり上げたら、いったん終了。
ここまでの動きを10秒くらいかけて行います。
足首から膝にかけて、下から上に向かって【1】【2】を一方向行ったら1セット。
同じ動きを3セット、30秒くらいかけて行います。
反対側の脚も同様に行います。
お風呂で脚を洗う際も、両手に石鹼やボディソープをつけ、【1】【2】のように、足から膝へとさすり上げるように洗うのを習慣にするのがおすすめです。
●これでもOK!
ドライヤーで膝下を温めて、「脾経」を刺激する
【1】【2】のように膝下を両手でさすり上げる時間がない場合は、ドライヤーの温風を、足から膝まで、下から上へと当てる方法でもよいでしょう。
足首から膝にかけて、下から上に向かって、ドライヤーの温風を当てる動きを一方向行います。これで1セット。
同じ動きを3セット行います。
反対側の脚も同様に行います。
このとき、やけどをしないよう注意を。
ドライヤーは肌に近づけすぎず適度に離し、1カ所に当てる時間は短くしてください。
ドライヤーの温風が熱すぎると感じるのはNG。熱すぎない範囲で調整しながら当てましょう。
■セルフケア法 その2/中級編
「胃腸のトラブル」には、お腹で円を描く運動がおすすめ。
「脾経」をさらに効果的に刺激します!
【中級編】は、下腹部まわりの「脾経」を刺激する運動です。
方法は簡単。よつばいの姿勢になって、円を描くようにお腹の部分を動かすだけ!
夜寝る前は目がさえてしまうため控え、朝起きたあとに行うのがおすすめです。
これだけ行っても効果はありますが、【初級編】の「膝下さすり」で膝下を整えたあとに、この【中級編】を行って下腹部まわりを整えることで、さらに胃腸の状態をよくする効果が期待できます。
余裕がある人は、ぜひ両方行ってみてください。
●よつばいの姿勢で、円を描くようにお腹を動かしましょう
よつばいの姿勢になり、上から見て円を描くように、お腹の部分を動かします。
時計回りに3~5回、反時計回りに3~5回、合わせて1分くらい行いましょう。
肩の力を抜き、リラックスして行うのがポイントです。
【終わりに】
いかがでしたか?
【初級編】も【中級編】も、「膝下をさすり上げるだけ」「円を描くようにお腹を動かすだけ」と、とてもシンプルな動きで簡単にできます。
どちらも実際に行うと、体が熱を帯びて温かくなり、効いているのを実感できます。
体の経絡「脾経」を刺激して整えることで、滞っていた流れをよくし、胃や腸によい作用を与え、胃や腸の調子をよくする効果が期待できます。
胃腸のトラブルに悩んでいる人は、ぜひ生活の中にこれらのケア法を取り入れてみてくださいね。
【教えていただいた方】
大阪・心斎橋のサロン「B HAPPY」で鍼灸・美容鍼灸やパーソナルトレーニングを行うほか、インストラクターやセラピスト向けのカラダの講座を開講中。大阪・豊中の「岩塩ヨガスタジオ 四季」で五臓ヨガのクラスも担当。また、子どもを中心とした運動教室「カラダツクルスクール」でも活躍中。幅広い方法で健康・美容にアプローチする、カラダメンテナンスの専門家。 「サトシ "鍼灸とヨガとシンギングボウル"」インスタグラム:@sa.to.shi.f 「B HAPPY」インスタグラム:@b.happy3104 「岩塩ヨガスタジオ 四季」インスタグラム:@ganenshiki 「カラダツクルスクール」インスタグラム:@karadatsukuruschool
撮影/仲尾知泰(Ripcord) 指導・モデル/Satoshi 取材・文/藤本幸授美