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スクワットが続かない人のために吉原先生が考案したのが、ドクターズスクワット
スクワットは、“エクササイズの王様”と言われるように、太ももやお尻の筋肉、脊柱起立筋など、体の動きを支えるうえで重要な筋肉をまとめて鍛えられる、とても優れた運動です。ただ、キツい、フォームが難しいなどの理由で挫折してしまう人が多いよう。
実際、フォームを間違えると膝や腰を痛めてしまうこともあるので、余計に続かないことがあるようです。
それよりも、自分のペースでしっかりしゃがんでから立ち上がることを意識して行うほうが、腰や膝への負担が少なく、筋肉を鍛える効果は高まります。
今まで運動が続かなかったという人こそ、1日1セットからでもいいので続けてみてください。物足りなくなったら、セット数を増やしていきましょう。
さっそく、吉原先生おすすめのドクターズスクワットを5種類ご紹介します。
椅子につかまって行う
「ドクターズスクワット」
運動不足で、しゃがんで立つ動きをすると、足元がふらついてしまう人でも楽にできるのが、椅子につかまって行うドクターズスクワット。
1回30秒行えばOK。より効果を高めたい人は、1日に何セットか行いましょう。
①しゃがんで足を肩幅に開き、つま先をやや外に向け、両腕を前に伸ばして椅子の背につかまります。背すじは真っすぐに伸ばしましょう。
②口から息を吐きながら立ち上がり、胸を軽く前に突き出し、目線は前に向けます。
次に、鼻から息を吸いながらしゃがんで①に戻ります。
この①②を30秒続けましょう。
椅子につかまらずに行う
「ドクターズスクワット」
椅子につかまらずに行う、基本のドクターズスクワット。
足元がふらつかない人は、この方法を行いましょう。効果を高めたい人は、1日に何セットか行って。
①しゃがんで足を肩幅に開き、つま先をやや外に向けます。
両腕を真っすぐ前に伸ばし、両手のひらは下にして重ねます(手のひらはどちらが上でもOK)。
背すじは真っすぐにします。猫背になるとふらついたり腰や膝を痛めるので、背すじは真っすぐにして行いましょう。
②口から息を吐きながら立ち上がります。このとき、胸を軽く前に突き出し、目線は前に向けます。
次に、鼻から息を吸いながらしゃがんで①に戻ります。
この①②を30秒続けましょう。
「楽にできるようになったら、セット数を増やすだけでなく、スピードを速めて行うのもおすすめ。毎日続けると基礎体力も上がっていきますよ」
体が後ろに倒れそうになる人の
「椅子スクワット」
基本の「ドクターズスクワット」をやったときに、足首が硬いなどで、体が後ろに倒れそうになるという人向けに吉原先生がすすめてくれたのが、椅子に座って立つを繰り返す、椅子スクワット。
「椅子スクワットなら、倒れる心配なくできます。椅子の上に画びょうが置いてあるようなイメージで、ゆっくりと椅子に座るとより筋力がアップし、効果的です。まずはこの方法から始めてみて、楽にできるようになったら、椅子なしで行うドクターズスクワットにトライしてみてください」
①両腕を真っすぐ前に伸ばし、左右の手のひらを重ねて下に向け、椅子に座った状態から始めます。
足は肩幅程度に開いて、つま先をやや外側に向けましょう。
②息を吐きながら椅子から立ち上がります。
このとき、胸を前に突き出し、目線は真っすぐ前に向けましょう。
次に、息を吸いながら、ゆっくりと椅子に座ります。
この①②の動きを30秒繰り返しましょう。1日に何セット行ってもOK。
高血圧、膝痛、腰痛の人に
無理なくできる「テーブルスクワット」
高血圧の人や、膝痛、腰痛がある人におすすめの方法として、吉原先生が教えてくれたのが「テーブルスクワット」。
「スクワットのように、いきんで筋肉に力を入れる動作や運動は、一時的に血圧を上昇させます。ですから、最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHg以上の高血圧の人は、できるだけいきまずに運動をすることが大切。
基本のドクターズスクワットもいきまずに行えますが、腕を机にのせた状態で行うテーブルスクワットなら、よりいきまずにできるのでおすすめです。
また、膝が痛くてしゃがめない人にもおすすめです。太もも前側の大腿四頭筋が鍛えられるので、痛みが緩和しやすくなります。変形性膝関節症の既往歴があっても、テーブルスクワットなら問題なく行えます。
テーブルスクワットは、立ち上がるときに上半身の体重を腕で支えるため、腰から上の部分への負担が軽いので、腰痛がある人でも楽にできます。
ヘルニアなどの既往歴があっても、強い痛みがある急性期でなければ行ってOK。
※健康診断で高血圧と診断されている人や、降圧剤を飲んでいる人は、事前に血圧を測って、最高血圧が160㎜Hg以上あったら、まずは医師に相談してください。
①椅子に座り、足は肩幅程度に開いて、つま先をやや外側に向けます。
手のひらを下にして、腕をテーブルに置き、両ひじをテーブルにつけます。
②息を吐きながら、手のひらからひじをテーブルにつけた状態で上半身の重みを支えながら、腰を上げます。
背すじは真っすぐにし、膝をしっかり伸ばします。そのとき、背中が地面と平行になるイメージです。
次に、息を吸いながら手のひらからひじで上半身を支えたまま、椅子に座ります。ドスンと座らず、なるべくゆっくり座りましょう。お尻を上下することを意識して。
この①②の動きを30秒繰り返しましょう。1日に何セット行ってもOKです。
運動不足の人は
「カエル足スクワット」から始めよう!
また運動不足で、しゃがんで立つのもキツいと感じる人向けに、吉原先生がすすめてくれたのが、寝転んで行う「カエル足スクワット」。
「カエル足スクワットは、ドクターズスクワットより運動強度は低めですが、寝転びながらできるので、運動不足の人はまずこれから始めてみるとよいと思います。
変形性膝関節症の人にもおすすめですし、O脚改善効果もあるので、O脚に悩む人もぜひやってみてください」
①あお向けに寝て、両膝を曲げて両足裏を合わせ、できるだけ胸のほうに引き寄せます。
②息を吐きながら、脚を浮かせたまま膝を真っすぐに伸ばし、つま先をできるだけ遠くに伸ばします。
かかとを引くとつま先が伸びやすくなります。左右の太ももはなるべくくっつけて隙間がないようにしましょう。
つぎに、息を吸いながら、膝を曲げて足裏を合わせて①のポーズに戻ります。
この①②の動きを30秒繰り返しましょう。1日に何回行ってもOK。
ご紹介したスクワットを、自分のやりやすい方法で取り入れましょう。
「筋肉はいくつになっても成長するので、運動をするにはもう遅いと諦めずに、続けてみてください。続けると筋肉量が増え、無駄な脂肪が減ります。
運動で体が変わると、自分に自信がつき、運動を続けるための励みにもなります。ぜひ今日から始めてみてください」
【教えていただいた方】
医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本医科大学卒業後、同大学整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、2017年よりアレックス脊椎クリニック院長。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。トレーナーとしての信条は「ケガをしないトレーニング方法を指導すること」。50歳を過ぎてから筋トレでメタボ体型を脱し、ベストボディコンテストに出場、受賞歴多数。著書に『ドクターズスクワット』(アスコム)など。
イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/和田美穂
まとめ更新:2024/11/01