少しずつ暑い日が増えてきましたね。昨年は記録的猛暑に加え、マスク着用による「マスク熱中症」という新たな問題が発生!今年も変わらずマスク生活が続くので、この夏も熱中症リスク増えることが予想されています。
第一三共ヘルスケアでは、「感染症対策と熱中症に関する調査」を2021年4月2日~4月5日に実施。その結果、普段の生活の中に、熱中症のリスクが高まる行動が潜んでいることがわかりました。それはいったいどんなことなのか、見ていきましょう!
◆4人に3人が暑くても人目が気になってマスクが外せない!
外出時に、「暑いと感じる時でも人目が気になってマスクが外せない」という人は74.8%、「常にマスクをしていなくてはいけないと思っている」人が82.6%と、多くの人が外出時にマスクを外してはいけない、と考えています。みなさん感染症対策に力を入れているのがわかりますが、暑い時期にマスクを着け続けると熱中症リスクが高まるので注意が必要です。
Q暑いと感じる時でも、人目が気になってマスクが外せない
Q常に(飲食時は除く)マスクをしなくてはいけないといけないと思っている
◆9割以上がワクチン接種後もマスクをつけ続けると回答!
「ワクチンを接種したらマスクは着用しない」と答えた人は、9.6%。9割以上の人が、ワクチンを接種してもマスク着用を続ける意向で、ワクチン接種後の新型コロナウイルス対策を正しく理解していることがわかりました。正しい対策をするには暑い時季もマスク着用が必須となるので、やはり熱中症対策への意識も必要ですね。
Qワクチンを接種したらマスクは着用しない
◆年代を問わず約7割の人が「暑い」と感じるまでエアコンを使わない
夏の過ごし方について、「暑いと感じるまでエアコンは使わない」と回答した人は全体の73.6%。20代でも60代以上でもその割合はほぼ変わらず、全世代で7割以上の人が暑いと感じるまでエアコンをつけないという結果に。年齢が上がるにつれ、体に水分を蓄える筋肉量が減るうえ、のどの渇きの感覚が低下するなどの変化があるので、気を付けないといけないですね。
Q暑いと感じるまでエアコンは使わない
このように、「暑くてもマスクを着け続ける」「暑いと感じるまでエアコンを使わない」という行動をとる人が多く、ともすると熱中症につながりかねない危険も。そこで、コロナ禍で熱中症リスクを回避するためには、どのようなことができるのかについて、熱中症に詳しい谷口英喜先生におうかがいしました。
◆コロナ禍での熱中症対策
【1】体から熱を逃がしやすい体作りをする
暑さを感じた時に速やかに体温を下げられる体作りのことを「暑熱馴化(しょねつじゅんか)」といいます。ウォーキングなどの汗をかく運動を続けたり、湯船に浸かったりすることで、本格的な暑さになる前に暑熱馴化できるようになるんだそう。
ところが、コロナ禍の外出自粛で運動不足になったり、家で過ごす時間が多くて外気に触れない、暑いから入浴はシャワーで済ませる、などをしていると暑熱馴化が進みません。本格的な暑さになる前に、軽い運動習慣をつけるなどで体を暑さに慣らしていきたいところですね。
【2】感染対策をしつつ適宜マスクの着脱を
人は体の熱を放散するためにさまざまな仕組みを持っています。汗をかいたり、皮膚の血管を拡張することのほか、呼吸をすることで体の熱を逃がしていますが、マスクをしているとマスクなしの時に比べて呼吸が妨げられて熱放散しにくくなるので注意が必要です。
また、マスクをしたままだと水を飲めないし、マスクをしていると喉の渇きを感じにくくなって、知らないうちに脱水になってしまうことも。
「屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合は適宜マスクを外す」
「マスク着用時は強い負荷の作業や運動は避ける」
といった工夫をし、マスク熱中症を防ぎましょう。
【3】熱中症を防ぐこまめな水分補給法を
熱中症を防ぐためには、こまめに水分補給をすることが大切です。暑いとつい冷たい飲み物を飲みがちですが、胃に冷たい水分が大量に入ると、体は元の温度に戻そうと体温を上げる働きをするので、逆効果に!
「喉が渇いていなくても1時間に1回水分補給」
「運動時は10~20分おきに飲む」
「1回にコップ1杯(200㎖)程度とる」
「冷たすぎない飲み物にする(38度以上の高熱時を除く)」
といったことを意識して、こまめに水分補給をしていきましょう。
まだしばらくはマスク生活は続いていくことが予想されます。これからどんどん暑くなってきても、マスク熱中症にならないよう、今から意識して対策していきましょう!
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長
谷口英喜先生
福島県立医科大学医学部卒業。麻酔・集中治療、経口保水療法、体液管理、臨床管理などを専門とする。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医。
◆資料提供/第一三共ヘルスケア
構成・文/倉澤真由美