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40代、50代は要注意。 血糖値の乱高下がイライラ、だるさ、眠りが浅い…さまざまな不調を招いている!

「糖質」という言葉を知らない人はいなくなりましたが、「血糖値」となると気にしていない人が多いよう。今回 OurAge世代6名が2週間の血糖値モニタリングにトライして、知っているようで知らない「血糖値」について調査しました。ナビゲートは、ユニークな血糖値の測定実験で話題を集める糖尿病専門の内科医、山村聡先生です。

【教えていただいた方】

山村 聡
山村 聡さん
糖尿病内科医
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九州大学医学部卒業。東京ミッドタウンクリニックで診療するかたわら、糖尿病啓発・予防のため血糖値に関するSNS発信を行っている。豊富な診療経験をもとに、一人一人のライフスタイルに合わせた血糖値改善、ダイエットプログラムの開発にかかわるなど予防と医療の架け橋として活動中。 自らの体を実験台にしてさまざまな食材の血糖値を測定するYouTubeチャンネル「やさしい内科医のY's TV」が人気。登録者数は7万人超。

 

血糖値は、体調やメンタルも大きく影響していた!

「血糖値というと『糖尿病じゃないから関係ないかも』なんて思う人も多いでしょう? でも、40代以降であれば高血糖を放置しておくと知らず知らずに糖尿病予備軍になり、気づいたら糖尿病だったということも稀ではありません。

 

また、血糖値の急な上昇や乱高下は肥満につながるだけでなく、血管を傷つけ、動脈硬化などの生活習慣病に直結します。40代、50代以降の女性の場合、イライラ、だるさ、眠りが浅い、感情の浮き沈みなど、更年期の不調だと思っていたら、実は血糖値の乱高下による症状だった! なんていうこともあるんですよ。血糖値の乱高下が体調、特に感情のコントロールにも影響するのは、最近ようやく知られてきたことです」

 

と、聞き捨てならない解説をしてくれたのは「やさしい内科医」こと、糖尿病内科医の山村総先生。YouTubeでは、食べ物と食後血糖値の変化を自らレポート。くすっと笑える体当たり動画が大人気です。

ところで。血糖値って何なのでしょうか?

 

「血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことです。炭水化物などに含まれる糖質が消化吸収されてブドウ糖となり、血液に入ってブドウ糖の濃度を上げます。

食事をすれば誰でもブドウ糖濃度は上がりますが、すい臓からインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌され、高くなりすぎないように調整されているのが普通です。

 

血糖値とは?

イラスト/Shutterstock

 

血糖値は食品の糖質の多さや、食事の習慣、インスリンの出方によって大きく変化します。体質も関係し、個人差がとても大きいもの。YouTubeの実験動画を見てもらえたらわかるんですが、実は僕自身、もともと血糖値は上がりやすいほうなんですよ。

そして、残念なことに、50歳前後からは血糖値はかなり上がりやすくなります。これは臓器の老化によるものです」

 

他人事じゃない。血糖値が上がりやすくなるのは老化現象だった!

ということは、年齢を重ねるほど、血糖値は上がりやすくなってしまうのですか?

 

「そのとおりです! インスリンを出すのは“すい臓”なんですが、年をとると、血糖値が上がってもすい臓さんの反応が悪く、素早くインスリンを出せなくなるんです。『おっとっと、上がってきたな』というあたりで、やっとインスリンが出ても、もうその時点で血糖値はピークに達してしまっています。

 

年をとると、急にダッシュで走り出せなくなるのと同じですね。老化なので、すい臓を鍛えたくても無理。若返らせる薬はないんです。だから、70代以降の人は、ほぼ全員糖尿病に近づいていると言っても過言ではありません。

 

糖尿病にならないためには、転ばずに走り続けられるように、若いうちからすい臓をあまり酷使しないこと。ダッシュでインスリンを出さなければならないような食事、つまり血糖値を上げまくるような食事を、なるべくしないようにするしかないんですよね」

 

YouTubeで山村先生が血糖値レポートに使用しているのは、「FreeStyleリブレ」という血糖値の変動を持続的にモニタリングできる機器。インスリン治療が必要な糖尿病の患者さんでは、数年前から保険適用になっているものです。

 

「白米と玄米ではどちらが血糖値が上がるか」「水をがぶ飲みすると血糖値は下がるのか」「お酒の種類で血糖値は変わるのか」など数々の名実験は、すべてリブレありき。

 

この「リブレ」は市販もされているということで、OurAge世代6名が装着し、2週間血糖値を測ってみることに。

すると、意外なびっくり事実が判明しました!

フリースタイルリブレ2

自動的に血糖値(正確には間質液中のグルコース値)を測ってくれるFreeStyleリブレ2。スマホのアプリがあれば、何もしなくても2週間ずっと測定し続けてくれます

 

フリースタイルリブレ2装着時

リブレを装着したところ。普通は二の腕の外側につけます。ノースリーブを着ない限り、それほど目につくことはなさそう

 

血糖値を見える化したら、「なぜ?」「どうして?」の疑問だらけ!

今回、血糖値モニターとなった6名は50代が中心。いたって健康と思っている人、病院で血糖値が上がりやすいと指摘されたことのある人、健康のためにずっと低糖質の食事を心がけている人…、と状況はバラバラです。

 

そして始まったモニタリング。まずは、ある一日の血糖値の変動グラフをお見せしましょう。
グラフ内のグリーンのエリアが、血糖値の正常範囲といわれる70〜140mg/dLです。全員のグラフの形がここまで違うことに驚きませんか?

 

血糖値比較

 

血糖値比較

血糖値の変動パターンにはこんなに個人差がありました!

 

先生、血糖値を測定する際、どこに注目して見たらいいですか?

 

「健康診断や人間ドックの血液検査に“空腹時血糖値”という項目があります。たいてい100 mg/dLを超えなければ基準値内といわれますが、それで本当に血糖値が正常かどうかは実はわかりません。血糖値は一日中変化していて、健康な人でも空腹時には低くなり、食後に高めになります。空腹時血糖値でわかるのは、あくまで空腹の時点の血糖値。たぶん一日の最低血糖値ですね。

 

日本糖尿病学会の指標では、血糖値の正常範囲は70〜140mg/dL。測定した血糖値が、ずっとこの範囲に収まっていれば、何も問題ありません。でもきっと、食べた物や食べるタイミングによって、これを超えることはおおいにあるはず。いつ何を食べたらどう変動するのか、そこに注目してもらえたらけっこう面白いと思いますよ。自分の血糖値の動きを見てみることは、健康な体づくりの一助になると思います」

 

 

取材・文/蓮見則子

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