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体の硬さが血管の硬さ…ストレッチと筋トレで心臓力アップ!

近い将来、心不全の急増が予測されています。私たち一人一人が予防するためには高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満といった動脈硬化の要因をしっかり管理することが必要です。そして、何よりも適度な運動が欠かせません。今回は、心臓病のスペシャリストである大島一太先生に、健康を維持し、心不全を防ぐための運動について伺いました。

体の硬さ=血管の硬さでした!

心不全の大きな原因のひとつが動脈硬化です。動脈硬化を加速させる最も重要な要因に高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病が挙げられます。

しかし、これらの生活習慣病は、症状がほとんど現れず、健康診断で異常を指摘されても放置してしまう人が少なくありません。このような状態が続くと、将来的に深刻な心不全へと進行する危険があるのです。

 

このリスクを防ぐために、特に大切なのが運動です。

 

多くの研究で、適切な運動が動脈硬化の予防に効果的であることが示されています。最近の研究では、体の柔軟性と動脈硬化の関係についても注目が集まっています。

 

「動脈硬化と体の柔軟性には興味深い関連があります。動脈硬化は血管が硬くなり弾力性を失うことで、心臓病や脳卒中、そして心不全のリスクを高めます。

 

ある研究では、体の硬さが血管の硬さにも影響を与えるということがわかってきました。20歳から83歳までの健康な男女約500人を対象にした研究では、座って脚を前に伸ばした状態で前屈テストを行い、手がどれだけ前に届くかを測定し、そして血管の硬さを調べました。その結果、体が硬い人ほど動脈硬化が進んでいることがわかりました。

 

このような研究から、体の柔軟トレーニングが血管の健康に非常に重要であることがわかります。柔軟性を維持することで、血管の健康を保ち、心臓病や脳卒中、そして心不全のリスクを減らすことができるのです。

 

ストレッチには、多くの病気を予防する効果があります。血行がよくなり、筋肉や関節が柔らかくなることで、疲れにくくなり、転倒や骨折といったケガのリスクも大きく減らすことができます」(大島一太先生)

出典/Poor trunk flexibility is associated with arterial stiffening  Heat and Circulatory Physiology;297,1314,2009

 

ぜひ、日々の生活にストレッチや柔軟運動を取り入れましょう。これにより体も心もより健康に保つことができます。

 

「ストレッチは正しい姿勢を保つ効果もあります。正しい姿勢は体の負担を減らし、腰痛や肩こりなどの慢性的な痛みを予防できます。運動前後のストレッチも大切で、筋肉痛をやわらげ、回復を早めます。また、関節が柔軟になることで、痛みや炎症を防ぐ効果も期待できます」

 

ストレッチでリラックス効果を高め、ストレスも軽減しましょう。深呼吸しながら行うと、さらに効果が高まります。

 

毎日のストレッチには、首、肩、背中、ハムストリングスという太ももの大きな筋肉のストレッチが効果的です。

肩を上下させたり、首や肩を回す、両手を前に伸ばして手の甲を上に向けたり下に向けたりする、足首をぐるぐる回す、太ももを後ろに引いて伸ばす、座って上半身を前に倒しハムストリングスを伸ばすなど、一般的によくある全身のストレッチでOK。無理をせず、気持ちよいと感じる程度に体を伸ばすことを日々の習慣にしましょう。

 

「筋肉も血管も、しなやかで柔軟性のあることが大切です。体の柔軟性を維持することで、血管も健康に保つことができ、心血管系の病気や心不全の予防につながります」

 

 

心不全 5回 前屈

無理なく楽しく続けられるストレッチを見つけて、より健康な体づくりを目指しましょう。

 

 

生涯自分の脚で歩くために、有酸素運動と筋トレもプラス!

「心不全を予防するための心臓力アップには、有酸素運動も重要です。有酸素運動とは、軽くて長い時間続けられる運動です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などがあります。なかでもウォーキングは、多くの人が簡単に始められて続けやすく、おすすめです。

 

最初は1日30分、3000歩を目安にスタートしてみましょう。無理なく歩けるようになったら、少しずつ歩数を増やしていきます。歩数は結果的に増えていくものですから、安全に長く続けることが大切です。体調が悪いときや、暑さ寒さ、雨など天候が悪いときは無理しないでください。

 

『楽である』から『ややきつい』と感じる程度の運動が、有酸素運動に当たります。『楽である』とは、一緒に歩く人と軽く会話ができるくらいの運動です。

 

有酸素運動は高血圧や脂質異常、糖尿病などの予防や改善に効果を発揮し、動脈硬化を防ぎます。体の柔軟トレーニングと併せて行うこと心筋梗塞や脳卒中、そして心不全のリスクをさらに大きく減らすことができます。最近の研究では、認知症やがんの予防にも効果のあることが示されています」

 

脂肪を燃焼し、心肺機能を向上させる有酸素運動は、健康を維持するために欠かせません。ただし、筋力アップには限界があるため、簡単な筋トレもプラスしましょう。

 

「生涯にわたって自分の脚で歩き続けるためには、特に太ももの筋肉を維持することが大切です。運動習慣のない人も簡単に実践できるデスクスクワットがおすすめです」

 

【デスクスクワット】

デスクスクワットは日常生活の中で簡単にできるのが魅力。要は、椅子から立ったり座ったりを、デスクやテーブルに軽く手を添えて行うのです。これなら、家事や仕事の合間に手軽にできます。

 

【1】

椅子に座り、両足を腰幅くらいに広げ、両手をデスク(またはテーブル)にのせます。

 

 

【2】

心不全 5回 デスクスクワット01

椅子からゆっくり立ち上がります。両手を補助にせず、脚の力だけで立つのがポイントです。手はあくまでよろけたときの支えで、デスクに添えるだけです。

 

【3】

心不全 5回 デスクスクワット02

続いてゆっくりと座ります。このときも手で体を支えずに、脚の力だけでゆっくりと座るようにします。

 

【1】~【3】を、最初は5~10回を1セットにして、1日3~5セット行います。一気に行わなくても、1セットずつ朝昼晩になどに分けて、好きなときに行うのでOK。徐々に回数を増やしていきましょう。

 

とにかく簡単なことから始めて、何より続けることが大切です。

 

「心不全や脳卒中、がんと診断されている人も、運動を始めることで入院や死亡リスクが大きく低下します。運動を始めるのに遅すぎることはありません。医師と相談しながら、自分の体の状態に合わせ、無理のないところから始めてください。

 

今回紹介したストレッチや有酸素運動、デスクスクワットは、始めやすく続けやすい運動です。これを機に、ぜひ日々の生活の一部として取り入れてみてください」

 

健康な体と心を維持するために、今日から始めてみましょう。

 

 

【教えていただいた方】

大島一太
大島一太さん
医師・医学博士
公式サイトを見る
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大島医院院長。東京医科大学循環器内科学分野・同大学八王子医療センター循環器内科兼任講師、日本看護協会看護研修学校非常勤講師、日本循環器学会心不全療養指導士実務部委員、日本心臓病学会特別正会員・心臓病上級臨床医など併任。生活習慣病から重症心臓病まで、地域密着型の開業医と大学病院の専門外来を兼務し、予防医学から専門性の高い心臓病治療までを広く実践しているスペシャリスト。『100歳まで元気でいたければ心臓力を鍛えなさい』(かんき出版)など著書多数。

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

 

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