手指の柔軟性アップで肩こりも解消!
毎日酷使している「手」のために、普段何かしていますか? ハンドクリームをつけるくらいという人も多いのではないでしょうか?
「何かをつかんだり、手先で行う作業、スマホもパソコンの操作も、手を使っているときはほぼすべて手を丸めた状態です。これが長時間になると、手の筋肉や関節が硬直していきます。
手の指関節の可動域をチェックしてみてください。普段は丸めていることが多いので、逆に反らせてみます。MP関節(指の付け根の関節)は最大90度くらいまで反らせることができるのですが、肩や首にこりがある人は指が反らなくなっていると思います」(市野さおりさん)
【指反らしチェック】
1 片方の手の指でもう片方の手の人差し指を、ゆっくり反らせます。
2 同様に中指、薬指、小指と1本ずつ反らせていきます。最後は4本一緒に反らせます。これを左右の手の指で同様に行います。
「どのくらい反ったでしょうか? 最初はチェックのつもりで、無理をせずゆっくり行ってください。これを毎日行うことで、少しずつ柔軟性を取り戻していきます。すると肩や首のこりも解消していきます。できたら90度を目指しましょう」
手の甲のマッサージで組織の癒着をはがす
「次に習慣にしてほしいのが、手の甲のマッサージです。手の甲は皮下脂肪が少なく、手を酷使していると、皮膚、筋肉、骨、腱などが癒着して、柔軟性を失っていきます。
特に手の機能を維持するためには、手の皮膚の健康を保つことも大切です。皮膚が乾燥してあれると、筋肉と骨も癒着して、手の動きが悪くなります。すると血行も悪くなり、さらに肌があれて動きが悪くなるという悪循環に。
手の甲は年齢が如実に表れる部位でもありますね。何気なくハンドクリームをつけている人も、もう少し手の甲に気をとめて観察して、ケアをしてあげてください。そこで私のおすすめは手の甲のマッサージです。
肩や首のこりがある人は、ほぼ手の甲も硬直して血行が悪くなっています。ここをしっかりもみほぐすことで、肩や首のこりの解消に役立ちます」
【手の甲のマッサージ】
1 片方の手の甲をもう片方の手の親指で、小さな円を描くようにマッサージします。描く方向は右回りでも左回りでもOK。皮膚と骨の癒着を外していくイメージで行ってください。
押して痛いところはないか? 疲れてこっているところはないか? を探るように、甲にまんべんなく行いましょう。
2 手を替えて、反対の手も同様に行います。
「このあとにもう一度、指反らしチェックを行って、効果が出ているか確認してみてください。これは思い立ったときにいつでも行うのがおすすめ。ハンドクリームを塗るときに組み込んでもいいですね」
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手を温めて一日の疲労を解消!
「これらを行ったあとに、ぜひ毎日の習慣にしてほしいのが手を温めることです。とにかく手はとても疲れていて、血行も悪くなっています。おすすめはペットボトルに熱い湯を入れた簡易湯たんぽ。これを両手で包み込んだり、手のひらにのせて温めます」
【手湯たんぽ】
1 加温が可能なペットボトルを用意します。これに、まず水をボトルの1/3~1/4まで入れます。続いて熱湯を加えると、約70~80℃になります。あふれる寸前くらいまで入れてキャップを締めます。ひっくり返したり、振っても漏れないかを確認してください。
2 やけど防止と中の湯の保温のため、ペットボトルをハンカチなどでくるみ、両手で包み込んで手指を温めます。
このペットボトルをふたつ作って、左右の手にそれぞれ当てるのもおすすめです。
その応用として、就寝時に左右の手のひらにのせて、そのまま入眠するのもいいでしょう。こうすると、不眠の悩みを抱えている人でもすぐに寝つけるようです。
ペットボトルの湯は徐々に温度が下がってくるので、そのまま寝入っても大丈夫です。
必ず守って!
●ペットボトルは加温が可能であると明記されたもの以外は使わないでください。本体が厚く、オレンジ色や黄色のキャップで販売されていることが多いです。
●先に水を入れます。
●水や湯がこぼれてもいいように、シンクなどで作業を行ってください。
●厚手のゴム手袋などをして行い、やけどにはくれぐれも注意してください。
「デスクワークや家事の合間などに、このペットボトルの湯たんぽを肩こりや疲れが気になるところに当てたり、握っているだけでもリラックスして疲労解消に。就寝前に行うと不眠や冷え症の解消にも役立ちます」
【教えていただいた方】

自衛隊中央病院勤務後リフレクソロジーやアロマセラピーの資格を生かし、統合医療ナースとして活躍。その後、「コンフィアンサせき鍼灸院」でボディケアを行いながら、足や手を通したセルフケアを提案。著書に『不調と美容のからだ地図』(日経BP)、『若返る頭さすり:顔が引き上がる! 目が大きくなる!』(Gakken 美人力PLUSシリーズ)など多数。
イラスト/green K 取材・文/山村浩子