ドライアイと更年期は深い関係にある!
ドライアイは女性ホルモンの減少と関係していることを知っていましたか?
更年期女性に起こりがちな症状のひとつと教えてくれたのは、眼科医・宮澤優美子先生です。
「40代以降、女性ホルモンが急に低下していく更年期の時期は、目の乾きが気になる人が増えてきます。
女性ホルモンのうちエストロゲンは『潤いホルモン』とも呼ばれるように、肌の潤いや髪の毛のツヤはもちろん、粘膜もうるうるに保ってくれています。
ホルモンが減少すれば、口、鼻、腟などの粘膜と同じく目も乾燥するんですね。
涙が少なくなってきたり、涙の安定性が落ちて蒸発が早まることでドライアイの症状を感じます。
例えば、目の表面が乾いて10秒以上目を開けていることが難しい場合はドライアイの可能性が高いですね。
眼科では、涙液(るいえき)の蒸発時間を調べます。
何秒で涙液層が崩れるかを見る検査なんですが、ドライアイがひどい人はわずか1秒で蒸発してしまうんです」
そもそもドライアイとは、眼球の表面を保護して視力を保つために必要な涙が不足したり、涙の質が落ちることによって起こる病気の総称です。
が、症状は乾きだけではありません。
こんな症状があれば、あなたもドライアイかも?
目の乾きだけでなく、ドライアイの症状はほかにもあります。
【こんな症状はドライアイかも!】
□目が乾く
□目がゴロゴロする
□目が痛い、重たい
□目がしょぼしょぼする
□目が疲れやすい
□目が赤い、充血する
□よく目やにが出る
□涙目(涙が出やすくあふれる)
「涙目もドライアイの症状?と、意外に思う人がいるかもしれません。これはマイボーム腺の機能不全なのです。
マイボーム腺というのは皮脂腺の一種で、涙の中に脂分を出して蒸発を防ぐ働きをする腺。この脂の機能がとても大切で、脂がないといくら涙が出てもドライアイを起こすといわれています。
ドライアイの患者さんの多くで、マイボーム腺の機能不全が原因となっている場合がありますね」
ドライアイの原因は女性ホルモンの低下だけでなく、加齢、エアコンによる室内の乾燥、PCやスマホなどのディスプレイを長時間見続けることなどさまざま。
コンタクトレンズの使用や薬の副作用も原因になることがあります。
「室内の乾燥が一番の原因であれば加湿することも効果的です。
PCやスマホの長時間作業が原因なら、こまめに休憩をとったり、目薬を使用するといいですね」
目薬だけでドライアイが治る人、治らない人
ドライアイだと思ったら、やはり眼科に行ったほうがいいのでしょうか?
「そうですね。できればきちんと診断してもらったほうがいいと思います。
眼科でドライアイと診断されれば、乾燥の程度によって点眼薬、眼軟膏、治療用コンタクトレンズ、涙点閉鎖(涙の排出路を塞ぎ止める)などの治療も考慮していきます。
ただ、忙しくてなかなか眼科に行けない方もいらっしゃいますよね。
そんなときは、薬局で相談されるといいと思います。軽度であれば、薬局で買った目薬で治る方もいらっしゃるんですよ。
ドライアイ用の目薬はヒアルロン酸を配合したものが主流ですが、最近は市販でも出てきています。
市販薬とはいえ医師の処方薬と同じものですから、ちょっとした目の渇きは、ヒアルロン酸の目薬ですごく良くなってくるようです」
<ヒアルロン酸が含まれる目薬>
ヒアレインS
ヒアルロン酸ナトリウム0.1%が配合された目薬。高い保水力で目に潤いを与え、目の疲れ、乾き、かすみを解消する。コンタクトをしたままでも使用可。(カラーコンタクトレンズをのぞく)
【第2類医薬品】目の疲れ、かすみに。5mL 968円(編集部調べ)/参天製薬
その一方で、目薬だけではよくならない人もいます。
前述のマイボーム腺のトラブルなどがそれで、眼科で原因を正しく診断してもらうことが大切。
「アレルギー性の結膜炎でも目が乾いたりすることがありますからね。
何らかのアレルギーがある、全身疾患の持病がある方などは、なおさら受診をおすすめします。
40代以降は全身疾患も絡んできます。
例えば甲状腺の病気、膠原病、そういう病気に気づかない人も多いんですよ。
全身疾患が原因のことも多いので、心配であれば医療機関にかかりましょう」
婦人科でホルモン補充療法(HRT)を受けたことで、ドライアイの症状が改善する人もいます。
かかりつけの婦人科がある人は、ドライアイも相談してみては?
【教えていただいた方】

表参道内科眼科。医学博士。日本眼科学会認定専門医。日本眼科学会、日本眼科手術学会、日本眼科医会、東京都眼科医会、港区医師会会員。 「クリニックは、東邦大学眼科名誉教授が開設した所で、眼科の中でも、専門は白内障、網膜硝子体疾患を得意としています。日本大学病院教授、准教授が非常勤で、高度な大学医療レベルを保っています。内科を併設していて、網膜疾患を発症した方が、かかりつけ医ではコントロール不良の、高血圧や糖尿病を管理しています。私は、医局の人事異動で配属され、全体のサポートとしてかかわってきました」
取材・文/蓮見則子