カビは吸っても体に悪影響がある!
しばらく使っていなかった革製品や放置していた本や雑誌にカビが生えていた、エアコンをつけたらカビ臭かった…なんていう経験はありませんか? 日本の夏は特に高温多湿のため、住環境自体がカビの温床になっていることがあります。
「お腹のカビも住居に生えるカビも、真菌という同じ仲間です。適度な湿度と温度、酸素があれば増殖します。
※お腹のカビについて詳しくは第1回参照。
昨今では、特に沖縄県で喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症率が高くなっているという報告があります。それは年間通して多湿の気候であることに加え、以前は調湿性の高い木や土、紙で作られた、沖縄独特の開口部が広い風通しのよい住居に住んでいたのに、最近ではコンクリートでできた家、気密性の高いマンションなどが増えてきたことが一因と考えられています。
このように住居に発生するカビが作るカビ毒(マイコトキシン)も、吸い込んだり接触することで、エネルギーを産生するミトコンドリアの代謝障害や免疫機能の低下、ホルモンバランスに悪影響を与えることがわかっています。
たとえ目に見えなくても、においがするならカビは存在するので、その中に長い時間いるのは体にいいことではありません。すでに、お腹にカビがある場合は、こうした状況でさらに増殖する可能性が考えられます。
カビが生えやすいエアコンや水まわりなどをこまめに掃除すること。革製品は使ったら水分を拭いケアをして、読んでいない本や雑誌は処分することをおすすめします。革製品や衣類、書籍などは、時々、風通しのよい場所で虫干しをするといいでしょう。
できたら床に敷くラグやカーペットは使わない、もしくは丸洗いできるものだとベスト。せめて時々、天日干しをして湿気を飛ばす工夫を。室内の観葉植物は水はけがよいように配慮してください。
また、一日に一度、5~10分ほど窓をあけて部屋全体を換気する習慣をつけましょう。家の風通しをよくしておくことも大切ですね」(内山葉子先生)
北向きの部屋はカビ毒の温床になりやすい
では、カビが生えやすい家の特徴などはあるのでしょうか?
「やはり湿気の多い場所、北向きで日当たりや風通しの悪い部屋はカビが生えやすいです。
以前、私のクリニックに喘息になった子どもが来院しました。その子は谷の地形で、北向きで日当たりの悪い家に住んでいたのですが、その後、南向きの日当たりのよい家に引っ越したら、すぐに改善したことがあります。
地形的には谷、沼地、山の北側、道路より低い位置の土地などは湿度が高い傾向です。もしもそうした地域に住んでいて、体の調子が悪い場合は、短期間でもほかの場所に住んでみて体調の変化を確認してみてはどうでしょうか?
住空間は長い時間そこにいるわけなので、食べ物と同様に健康への影響は計り知れません。こまめな掃除や換気などでカビの発生を防ぐこと。そして、もしもカビが発生した場合は、吸い込んだり皮膚との接触をしないように注意してください。処理をするときは、マスクや手袋の着用を。
住空間のカビは完全に除去するのは難しいと思います。あまり神経質にならない程度に、できる範囲で取り組むことが大切です」
記事が続きます
【教えていただいた方】

「葉子クリニック」院長。関西医科大学卒業。大学病院・総合病院を経て、福岡県北九州市で「葉子クリニック」を開設。総合内科専門医、腎臓内科専門医。本当の健康とは「心」「体」「スピリット」が整った状態と考え、西洋医学だけでなく、東洋医学、自然療法、民間療法も取り入れてホリスティックに治療を行う。著書に『おなかのカビが病気の原因だった』(ユサブル)、『パンと牛乳は今すぐやめなさい!』(マキノ出版)、『デジタル毒』(ユサブル)など多数。
イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子