あれ? “更年期の味方”が見当たらない!?
「エクオール」「イソフラボン」——更年期サプリの定番なのに「機能性表示食品(*1)」としては見当たらない…。
実は、制度のルール上「ホルモン」にかかわる働きを表示することは禁止されています。「医薬品的」と誤解される恐れがあるためです。
例えば「イソフラボン」。骨の健康を保つ効果を表示するのはOK。でも「女性ホルモンのような働き」は対象外。おなじみのエクオールにいたっては、登録ゼロ!
つまり、効きそうな成分ほど「効く」とは書けない。そんなジレンマがあるのです。
*1 機能性表示食品:「○○に役立つ」と機能を表示するため、根拠を国(消費者庁)に届け出た食品のこと。
「女性ホルモンをサポート」はNG。でも「中年期女性の不調をサポート」ならOK!
とはいえ、「気分の落ち込み」「多汗」「眠れない」など、更年期のゆらぎ期の不調に寄り添える成分もあります。
しっかりとしたエビデンスがあれば、機能性表示食品として認められるのです。
ただし、「更年期」「女性ホルモン」「ゆらぎ」などのワードは現在認められておらず、「中年期女性の一時的な疲労感の軽減、睡眠の質の改善」などの表示のみOKとなっています。
では実際に、更年期の不調に関係する成分のうち「機能性関与成分(*2)」として認められているのは、どんなものがあるでしょう?
*2 機能性関与成分:「○○に役立つ」と機能を表示するための主要成分のこと。
女性の腟内フローラに着目した「フェムケア乳酸菌」が話題
今回は健康食品の制度や広告の薬事ルールの専門家、持田騎一郎さんに、更年期にかかわりそうな届出成分の中から、注目の成分を教えてもらいましょう。
「最近は広い意味で“フェムケア(女性のライフステージや不調に寄り添うケア)”を意識した届出が増えています。
特に更年期の不調に対するアプローチが多くなっているので、サプリを選ぶ際はぜひ“機能性表示食品”に注目してみてください」(持田さん)
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注目度ナンバーワン!
■おりもの・デリケートゾーンの違和感に
機能性関与成分【乳酸菌GR-1・RC-14】
<届出番号>H628
<届出表示>本品には、乳酸菌GR-1(Lactobacillus rhamnosus GR-1)及び乳酸菌RC-14(Lactobacillus reuteri RC-14)が含まれます。乳酸菌GR-1及び乳酸菌RC-14には、腟内フローラを正常に保つ機能があることが報告されています。
◆届出番号/届出表示とは?
「この成分にこういう働きがありますよ」という機能の根拠を、国(消費者庁)に届け出た内容を示したもの。機能性表示食品の制度上、商品パッケージに必ず記載されます。
乳酸菌GR-1・RC-14は、“フェムケア乳酸菌”として話題のコンビ。
口から摂取することで腟内フローラ(善玉菌と悪玉菌のバランス)を整えることが報告されています。
いわば“飲むフェムケア”。
年齢とともに増えるデリケートゾーンの不快感に、サプリでアプローチできるのがこの成分の魅力です。
継続的に摂取することで善玉菌をサポートし、腟内環境を健やかに保つことで、違和感やムズムズ感などを“なんとなくラクに”してくれると期待されています。
【機能性表示食品の例】
【機能性表示食品】フェミフローラ 60粒(約30日分)¥5,400/わかもと製薬
機能性関与成分(1日目安量当たり):乳酸菌GR-1:5億個/乳酸菌RC-14:5億個
ブランドサイトはこちら
その他の注目成分【ゆらぎの諸症状に】
「これ、更年期のホルモン変化を想定してるよね?」
そんな届出表示を持つ機能性表示食品、実はけっこうあります。
ただし注意したいのは、同じ成分でも届出内容によって“うたえる効果”がまったく違うという点。
例えばピクノジェノール(機能性関与成分名としては、松樹皮由来プロシアニジン)という成分。
ある商品では「中年期女性の睡眠の質の向上」という働きをうたっていますが、別の商品では「中年期女性の日常生活の一時的な疲労感を軽減
」とうたわれています。
成分名だけで選ばず、パッケージにどんな働きが表示されているかまでチェックするのがお目当ての商品に出会うコツ。
エビデンス豊富な“実力派”成分たちを、いくつかご紹介します。
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「晴れない気分」と「眠りの質」に寄り添うハーブ
機能性関与成分【ラフマ】(ラフマ由来ヒペロシド・イソクエルシトリン)
ラフマ由来の成分は、「月経前の女性の一時的な気分の落ち込みや睡眠の質の向上」などの表示で届出された実績があります。その穏やかな作用は、更年期の心と眠りの不調にも応用が期待されています。
「疲れやすい」「眠れない」「肌もゆらぐ」悩みに
機能性関与成分【ピクノジェノール®】(松樹皮由来プロシアニジン)
届出番号によっては「中年女性の日常生活の一時的な疲労感」や「睡眠の質の改善」、「肌の弾力・潤い」「冷えによる末梢血流」など、気になる更年期の諸症状にかかわる表示が豊富です。
「なんとなく冷える」「顔がほてる」に
機能性関与成分【フラバンジェノール®】(松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3)
「血流改善」や「コレステロール」、「肌の弾力」などに関する届出表示があり、更年期の「冷え」やその他特有の諸症状に対応可能な成分として注目されています。
「あれ?」と思ったら、パッケージの届出表示をもう一度チェック。選び方のセンス、光ります。
【教えていただいた方】

1962年生まれ。一橋大学法学部卒業。株式会社RCTジャパン代表取締役社長。過去10年間で1万件以上の化粧品、機能性表示食品、医療機器などの薬機法、景表法案件をコンサル。機能性表示食品制度の普及と啓蒙に努めることを目標に、商品開発、届出支援に特化した機能性表示食品検定協会株式会社を設立、会長に就任。2017年から「機能性表示食品検定講座」をスタート。
取材・文・画像制作/蓮見則子