病気になって不安にならない方はいないでしょう。
乳がんサバイバーとして、メンタル面はどうだったのでしょうか。
最初はそこまで実感がなかった
人によると思いますが、最初に乳がん判定が出たとき、実はそこまでショックではありませんでした。もちろん凹んだことは事実ですが、それよりも「職場にどう言おう」「仕事どうしよう」「家族にどう伝えたらいいの」などと、やらなければいけないこと、手配しなければいけないことの方が頭の大部分を占めていた記憶があります。
自分が病人なのだ、がん患者なのだと実感したのは、むしろビジュアル(視覚)からでした。
この記事やこの記事で書いたように、”普段よりも汚い自分の身体”は想像以上にメンタルにきます。
女性であれば、ヘアスタイルが決まらない程度でもなんとなく凹んだりするものです。乳がんの場合、「胸」という女性特有のパーツでもあり、髪の毛や肌などと同様に気になってしまう部分でもあると思うので、あまり自分を責めず、下着などをちょっといいものにして気分を上げたりするとよいかもしれません。
また、乳がんは完治までが長い病気です。ビジュアルだけでなく生活のあらゆる部分で全て元通りとは残念ながらいきません。ですから”元通り”を目標にしてしまうと、特に手術後はとてもしんどくなってしまうと思います。
なかなか割り切ることは難しいですが、新しい生活はこうしよう、こんな風に工夫しよう、と、できる限りわくわくする部分を作り出していくことが重要かもしれません。
道が怖い、人が怖い
こちらの記事に書いたように、手術が終わってしばらくは外を歩くことは恐怖でした。骨折して松葉杖をついているとき道が怖かったという友人がいたので、たぶん身体の不自由さ、が恐怖心を高めるのかな、と思います。
自分が手術してみて初めて実感したのですが、健康体というのはある意味周りに無頓着で過ごすことができるのですよね。普段、人とすれ違ったり自転車が横を通るなんて、そこまで”怖さ”はなくないですか?(不愉快とかはあっても)。
健康でいる、不具合がないというのは本当にすごいことなのです。
自分が不完全な状態である、という事実は、一時的にせよメンタルにとても大きく影響します。
ですからくれぐれも無理せず自分に甘く、病人であることを逆手に取るくらいでのんびり過ごすことを心がけるといいと思います。
変わらないものも必要
上に書いたことと矛盾して聞こえると困りますが、不完全さというものがどこか意識にあると、普段以上に”何もできない自分””役に立たない自分”にすごく落ち込みます。
この記事に書いたように、どこかで達成感を得られるものや変わらないものを持っているといいと思います。
私は在宅で仕事ができたことがかなりの救いでした。積極的に外にも出られず、かといって寝込むほどではない状態の場合、うつうつしがちになるのはわかる気がします。
「のんびりしてればいいじゃん」「無理しないでね」も、自分が”何もできなくなった”ことや”前みたいにできない”ことを突き付けられるように感じがちです。
大したことでなくてもいいんです。「毎日5分ストレッチする」でも「英単語を3つ覚える」でもいいと思います。
私は以前と同じスピードで5km走れることを確認して、ものすごく自信が戻りました。以前と変わらずできること、そしてできることが増えた達成感、これがあるとかなり楽ちんです。ぜひ試してみてください。
私の通う病院は海沿いだったので、景色にも癒されました。
頑張った自分をほめてもらおう
この記事やこの記事に書いたように、コミュニケーションにも変化があります。
「がん」というワードは強いので、つい過剰に心配されがちです。症状にもよりますが、入院しているわけでもない場合、上にも書いたようにあまりに心配されすぎてしまうと、なんだか自分が出来損ないになったみたいでしんどさが増しがちです。
治療中はあまり人にも会えなかったりしますから、孤独感も強くなります。
もし、周囲に私と同じような方がいたら、心配するだけでなく、何気ないおしゃべりや軽いメッセージなどで楽しい気持ちにさせてあげたり、つながっているということを示してあげるとすごく喜ばれると思います。
過剰に心配されても、持ち上げられても、無視されてもどこか不満を感じるのが人間なのかもしれません。
ありのままの自分、というテーマの人気アニメがありましたが、やはり今の状況をフラットにとらえて傍にいてもらえるのが一番の理想です。
わがままなようですが、「頑張って」や「すごい」ではなく、「無理しないで」などでもなく、「頑張ったね」が一番うれしい言葉なのではないでしょうか。