便秘のときは「吹き出物が出やすい」「肌の調子がいまいち」と思ったことはありませんか?何となく感じている、この腸と肌の関係についてのオンラインセミナーに参加しました。
セミナーには、心身ともに美しく歳を重ねる「ウェルエイジング」を提唱するオハルクリニック院長の小柳衣吏子先生と、医療ジャーナリストで日経BP総合研究所客員研究員の西沢邦浩さんが登場。
今、在宅勤務や外出を控えた生活で、「巣ごもり便秘」になる人が増えています。便秘だとお腹がスッキリしなくて嫌だな~と思いますが、影響はそれだけではありません。
「便秘で腸内フローラが乱れると、うつや認知症、肥満、免疫低下、メンタル面の悪化など、ありとあらゆる疾患に相関関係があると言われています」と西沢さん。たかが便秘、なんて言っていたら恐ろしいことになりそう…。まさに、大腸は全身の健康の要、なんですね!
また、「便秘の時は腸内細菌のなかでも悪玉菌が大腸にたまり、有害物質のフェノール類を産生します。便がたまると排泄されるべき有害物質が大腸にたまってしまい、それが血液にのって全身に行きわたってしまうということが最近言われているんです」と小柳先生。
もちろんこれは肌にも届いて蓄積し、肌のターンオーバーを乱してしまいます。そして肌がくすんだり、乾燥したりといった肌荒れを引き起こしたり、ニキビなどの肌トラブルにもつながると考えられているのだとか。何となく便秘で肌が荒れる…と感じる裏では、こんなことが起きていたとは!
肌ケアは「お腹の中から」が新常識に⁉
となると、ますます便秘を何とかしたいですよね。便秘の時には、腸内環境を整えるのが一番。大腸内でよい働きをする善玉菌を含んだ食品の「プロバイオティクス」、それらの善玉菌のエサになる「プレバイオティクス」の両方を意識して摂っているという人も多いのではないでしょうか。
この2つを摂ると便秘の解消につながるほか、最近の研究では腸内フローラを整えることで肌状態が安定し、肌疾患の予防や治療にも有効と考えられているそう。乳酸菌が大人ニキビを落ち着かせたり、ガラクトオリゴ糖含有発酵乳を摂ることで腸内の有害物質フェノールが減少し、肌の保湿機能がアップしたりといった結果も!
このように、プレバイオティクスやプロバイオティクスを摂ることで、シワ・ハリ・ツヤなどの肌状態を改善させる様々な報告が国内外でたくさんあるそう。腸内環境を整えることで肌老化が防げちゃうかも⁉ と期待が持てますね。
肌のバリア機能を高めてくれる短鎖脂肪酸に注目!
そして、食品で腸内環境を整えるうえでカギになるのが、ビフィズス菌が産出する「短鎖脂肪酸」。悪玉菌を抑えたり、抗炎症作用を発揮したり、腸壁のエネルギー源となって腸を元気にしてくれたり、やせ体質に導いてくれるなど大事な役割を果します。
この「短鎖脂肪酸」は肌においても腸のバリア機能を高めて有害物質を吸収させにくくし、肌に届く有害物質の量を抑えて肌状態を改善してくれる優れモノなんだとか!
日本人はラッキーなことに大腸内のビフィズス菌が多く、とりわけ赤ちゃんの腸にはたくさん存在しているそう。でも、「加齢」「偏った食事」「無理なダイエット」「ストレス」「不規則な生活」といったことでガクッと減ってしまうという事実も…。これを聞いて、今すぐビフィズス菌を補わなくちゃ!という気になりました。
大腸の状態がこんなにも肌に影響があるなんて、びっくりですね。自分の食生活を振り返りつつ、早速、乳酸菌や麹菌、ビフィズス菌などの「プロバイオ食品」とオリゴ糖や水溶性食物繊維の「プレバイオ食品」を意識した食生活を心がけて、体の中から美肌を目指しましょう!
◆資料提供/「大腸劣化」対策委員
構成・文/倉澤真由美