毎年暑さがパワーアップしているように感じる夏! 今年は暑さに加えて、新型コロナウイルス感染症対策のために換気も欠かせません。でも、窓を開けると冷房は逃げてしまうし、屋内での熱中症も心配…。
そこで今回は、「熱中症対策」と同時に「上手に換気」する方法について学んできました!
セミナーに登場したのは、(左から)ダイキン工業・野呂朋未さん、帝京大学医学部付属病院・三宅康史先生、ダイキン工業・重政周之さん。
帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長の三宅康史先生は、熱中症のエキスパート。熱中症の危険性はみなさんじゅうぶんわかっていると思いますが、三宅先生からは「熱中症はもはや災害です」というショッキングな言葉が!
過去のデータを見ても、6~9月のわずか4カ月の間に、猛暑だった2010年は全国で1,700人、梅雨が短く暑い夏が長かった2018年は1,500人もの方が熱中症で亡くなっています。
熱中症には2種類あり、スポーツや仕事などの活動中になる「労作性熱中症」と、日常生活の中でなる「非労作性熱中症」があるのだそう。以前は炎天下に屋外で活動しているときになるイメージがありましたが、近年は室内での発症例も増えています。
「“労作性熱中症”は若年~中年男性に多く、屋外で活動しているときに数時間で急激になりますが、予後は比較的いいのです。一方、“非労作性熱中症”は高齢の男女に多く、屋内で数日かけて徐々に悪化してしまい、予後がよくないのが特徴です」(三宅先生)
下記のチャートを参考に、状態を見ながら適切な対応をして、熱中症になったり重症化するのを防ぎたいですね。
▼熱中症の予防、重症度判定
もちろん、熱中症対策ではエアコンで室温を下げることも欠かせません。ダイキン工業の重政周之さんと野呂朋未さんが教えてくれた、「コロナ禍の『熱中症対策』と『換気』を上手に両立させるポイント」がこちら!
【1】24時間換気システムと窓開け換気が基本
まずは換気の基本から。
「ほとんどのエアコンは、室内の空気を循環させるだけで換気ができません。家のお風呂に浴室乾燥機がついている方は、そのパネルをチェックして”24時間換気”のボタンがあるかどうか見てみてください。24時間換気のシステムが備わっている場合はこれをオンに。また、このシステムがついていても、定期的な窓開け換気は必要です」と重政さん。
24時間換気の機能は、2003年以降の住宅には備わっているので、ついている場合はぜひ活用を。
ちなみに、窓は対角線上にある離れた2カ所の窓を開けると換気がスムーズ。また、1時間に1回10分換気するより、30分に1回5分換気するほうが効果的です。
【2】換気効果がアップする窓開けのポイント
いざ換気をしよう、と思い立っても、今日は風が通らないなという時もあるし、そもそも風通しがよくない位置に窓がある、ということもありますよね。それでもしっかり換気できる方法があります!
◆入り口の窓を小さく、出口の窓を大きく開ける
細く開けた窓からは勢いよく風が入るので、室内の空気を力強く押す効果があり、部屋の空気が入れ替わりやすくなります。
◆窓が1つなら窓の外に向けて扇風機をオン
対角線上に窓がない、そもそも2つ窓がない…という場合には扇風機などを窓の外に向けて置きましょう。こうすると、室内の汚れた空気を外に出すことができ、換気につながります。
◆風が通らない場合はキッチンの換気扇を強に
家の中で一番換気能力がパワフルなのが、キッチンの換気扇。窓を開けても風が通ってないなと思ったら、換気扇を強運転すると換気のサポートに。
【3】換気しながら節電も!
とはいえ、こまめに窓を開けるとやっぱり電気代が上がるんじゃない?と心配になりますよね。でも同じ換気をするのでも、工夫次第で電気代が抑えられます。
◆換気のときはエアコンはつけっ放しに
窓を開けると暑い空気が入ってくるので、暑さ対策のためにスイッチは切らないで。また、オンオフの際に一番電力を使うので、切らないことがかえって節電に。
◆室外機から離れたほうの扉を開ける
「エアコンの室外機からは熱い空気が出ているので、窓を開ける際に室外機から近い扉を開けると、熱気がエアコンに行き、負荷が上がってしまいます」と重政さん。負荷がかかれば消費電力が上がり電気代がかかるので、室外機から離れた方を開くのが大事なのだそう。
◆室外機の周りは整理整頓を
外気との熱交換をするのが室外機の役目。周りに物を置いて空気の流れが滞ると、熱をうまく逃がせず周辺温度が上がるし、消費電力が高くなってしまいます。近くに物を置いてないかチェックしてみて。
◆フィルターは2週間に1回掃除する
1年間エアコンのフィルター掃除をしないと、2カ月に1度掃除をした場合と比べて、年間で約25%も電気代がアップするというデータも! 本体から外して掃除機でホコリを吸えば完了なので、やってみる価値アリですね。
まだまだ家で過ごす時間が多くなりそうなこの夏。しっかり冷房も換気もしながら、おうち時間を楽しみましょう!
◆資料提供/ダイキン工業
取材・文/倉澤真由美