「スマホやパソコンが手放せない現代の生活で目が休む暇がありません」と、眼科医の板谷正紀先生。デジタル時代の現代病「VDT症候群」についてお話を伺いました。
お話を伺ったのは
板谷正紀さん
Masanori Hangai
眼科医、医学博士。医療法人クラルス理事長、板谷アイクリニック銀座院長。硝子体手術と緑内障手術のエキスパート。
VDT症候群
ドライアイや疲れ目などの現代病
VDTとはビジュアル・ディスプレイ・ターミナルの略で、パソコンなどのディスプレイを使った作業を長時間続けることで、目や体、心に影響が表れる症状の総称です。
「ずっと画面を見ていて毛様体筋の緊張が続くことが原因で、目に現れる症状としては、疲れ目、かすみ目、視力低下、まぶたの痙攣(けいれん)、ドライアイなどです」
ドライアイは涙の分泌量の低下や、涙の質が悪くなることで、目の表面が乾燥する病気。
「涙によって保護されていた角膜に傷がつき、痛みやゴロゴロするなどの症状が現れます。治療の基本は点眼薬で目の乾燥を防ぐことです。改善しない場合は、涙の排出口である涙点に栓をして流出を防ぐ“涙点プラグ”を使用することもあります」
涙が保たれて潤いのある目
目の表面は油層、涙液層、ムチン層の3層の涙の膜で守られています。これらの膜は、目の乾燥を防ぎ、酸素や栄養を供給し、汚れや細菌を洗い流すなどの役割を果たしています。
角膜(かくまく)
目の表面にある透明な膜。外刺激や病原体の侵入を防ぎ、光を屈折させる働きが。
乾いてドライスポットができた目
涙の分泌量が減ったり、蒸発を防ぐ油分が少なくなると、膜に薄い部分ができます。これがドライスポット。すると、小さな刺激でも角膜に傷がつきやすくなります。
角膜のほか、代表的な目の病気に関係する部位の説明は、あなたの症状はどれ? 40歳を過ぎたら注意すべき目の病気は?/ 目の病気①をご参照ください。
イラスト/コタケマイ(asterisk-agency)<解剖図> 構成・原文/山村浩子