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梨状筋症候群による「坐骨神経痛」が急増中!原因の診断と痛みを取る治療、そしてセルフケアを専門医が解説

お尻や太ももにピリピリ、ジンジンと鋭い電気が走ったような痛みがあったら…それは坐骨神経痛かもしれません。突然の痛みに驚いてしまいますが、その原因や解消方法について、整形外科医でピラティスインストラクターでもある武田淳也先生に伺いました。

坐骨神経は人体の中で最も太くて長い

「坐骨神経は腰のあたりから足のつま先にまで伸びていて、何本もの神経が束になっており、人体の中でも最も太くて長い神経です。坐骨神経痛とは病名ではなく、この坐骨神経がさまざまな原因によって、圧迫や刺激されることで起こる、しびれるような痛みを起こす症状の総称です」(武田淳也先生)

坐骨神経 解剖図

坐骨神経という名称から、お尻のあたりにある神経だと思いがちですが、腰から足のつま先まで続いていて、太さはボールペンくらいもあるというから驚きです!

 

「ですから、痛みが出る場所も、腰、お尻、太もも、膝の裏、ふくらはぎ、すね、足先と、人によってさまざま。痛みの表現もピリピリ、ジンジンなどと違いますが、電気が走ったような鋭い痛みやしびれが特徴です。症状の出方も、時々痛む程度から、ひどくなると、歩けないなど生活に支障が出ることもあります。

 

原因となる病気は腰部脊柱管狭窄症腰椎椎間板ヘルニアが多く、ほかに最近増えているのが梨状筋症候群です」

 

それでは、それらの病気について解説していきましょう。

 

正常な腰部の脊柱

背骨は小さな椎骨が積み重なっており、椎間板や黄色靭帯がそれをつないでクッション役を果たしています。通常は椎骨がきれいに並び、椎間板もしっかりクッション役を果たし、神経の通り道である脊柱管もまっすぐに伸びています。

正常な脊柱 文字入り

 

腰部脊柱管狭窄症ようぶ せきちゅうかん きょうさくしょう

腰部脊柱管狭窄症は椎間板、椎間関節、靱帯(じんたい)などが加齢によって変性や変形を起こすことで、脊柱管が狭くなる病気です。こうなると神経が圧迫されて痛みを起こします。この痛みが下半身にしびれるような痛みや麻痺などを起こします。

脊柱管狭窄症 解剖図

 

 

腰椎椎間板(ようついいかんばん)ヘルニア

椎間板は椎骨と椎骨の間にあり、クッション役を果たしています。この椎間板の中にはゼリー状の髄核(ずいかく)がありますが、椎間板ヘルニアになると、この髄核が押し出されて、神経を圧迫します。これにより、下半身にしびれるような痛みが起こります。

椎間板ヘルニア解剖図

 

 

梨状筋(りじょうきん)症候群

お尻の奥を横切るように梨状筋という筋肉があります。その下や間に坐骨神経が走っているため、なんらかの理由で坐骨神経を圧迫することで痛みが生じます。おもに、運動のしすぎ、または運動不足が原因です。

梨状筋 解剖図

 

「特に最近多いのが、この梨状筋症候群です。梨状筋という筋肉の認知度が上がり、そこをほぐすように促す情報が多発したせいか、トレーニング用のストレッチポールやボールで刺激しすぎることで、痛みが生じるケースが増えています。この部分だけを過度に刺激することは慎みましょう。また一方で、デスクワークなどで長時間同じ姿勢で座り続けることで起こることもあります。いずれも梨状筋の緊張が誘発理由です」

 

梨状筋症候群になりやすいのはこんな人

● 過剰なストレッチをする
● 激しい運動をする
● 日常的に重いものを持つ
● 長時間同じ姿勢をとる
● 肥満

 

 

整形外科で原因の診断と痛みを取る治療を!

坐骨神経痛と思われる痛みを感じたら、一度は整形外科を受診して、痛みを起こしている原因を検査しましょう。問診で痛みの状況を把握して、必要に応じてレントゲン検査やMRIなどの画像検査を行います。

 

「医療機関でできることは、炎症を起こしている場合は消炎鎮痛剤の内服薬、湿布薬など。痛みを軽減するためには、神経ブロック注射ステロイド注射、周辺の筋肉をほぐす低周波療法、筋膜の癒着を剝がすハイドロリリースなどを行います。

 

ハイドロリリースとは、超音波画像で患部を確認しながら、筋膜へ直接薬液を注射して、筋膜の癒着を剝がす療法です。筋肉の動きがよくなり、痛みやこりなどの症状を改善します。

 

ひどくなると、症状を起こしている病気(腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなど)に応じて、手術療法を行うこともあります」

 

 

 

セルフケアではハムストリングスにアプローチ!

坐骨神経痛の改善のためのストレッチのひとつは、ハムストリングスを伸ばすことです。ハムストリングスとは太もも裏にある、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の筋肉群の総称。

ストレッチ1

坐骨神経痛 ストレッチ01

① 床やベッドにあお向けになり、両手で片脚の膝上のあたりを持ちます。

 

坐骨神経痛 ストレッチ02

② 股関節を90度に曲げ(床に対して垂直にする)、足先を反らせたまま、膝を伸ばします。膝は伸ばせる範囲でOK。これを10回程度。脚を替えて同様に。各10回×3セット。

 

 

ストレッチ2

坐骨神経痛 ストレッチ03

①床やベッドにあお向けになり、左膝を曲げます。その膝の上に右足のくるぶしあたりを乗せます。

 

坐骨神経痛 ストレッチ04

②息を吐きながら、左脚を床から離し、右脚の太ももを体に引き寄せます。右のお尻と太ももの裏が伸びているのを感じます。これを左右の脚同様に、各5~6回繰り返します。

 

痛みがひどいときは行わないこと。痛みがないときに行い、発症予防に役立てましょう。

 

【教えていただいた方】

武田淳也
武田淳也さん
医師、米国国家認定ピラティス教師
公式サイトを見る
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「整形外科 スポーツ・栄養クリニック」(福岡、東京・代官山)理事長。日本で初めて医療にピラティスを取り入れ、独自の「カラダ取説」プログラムの普及に尽力

 

イラスト/かくたりかこ 構成・文/山村浩子

 

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