骨へのカルシウムの沈着や、骨代謝にかかわる酵素の活性化などの働きで骨を強くするのが、以下の4つの栄養素。とり方を知っておきましょう。
多く含むのはひきわり納豆
ビタミンK
(1日の目安量150㎍)
●納豆を多く食べる地域は大腿骨骨折が少ない
ビタミンKは骨にカルシウムを沈着させる作用があり、丈夫な骨の維持に重要な栄養素。「また、オステオカルシンの生成にも不可欠。ビタミンKが多い食品の代表が納豆で、納豆の消費量が多い地域ほど、全国平均を1としたときの大腿骨近位部骨折の割合が低いというデータも。ビタミンKの1日の目安量は150㎍で、納豆1パックで240㎍を補えます」
- ・納豆1パック/40g→240㎍
- ・小松菜1/4束/95g→200㎍
- ・ブロッコリー1/4株/60g→96㎍
- ・乾燥わかめ/5g→33㎍
- ・きゅうりのぬか漬け1本/80g→88㎍
ビタミンKは小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や、乾燥わかめにも多く含まれます。意外なものではきゅうりのぬか漬けにも多く含まれます
骨代謝にかかわる酵素を活性化
亜 鉛
(1日の推奨量8㎎)
●骨粗しょう症の改善効果があることも明らかに
細胞の代謝の際に働く酵素を活性化させるのが亜鉛。「骨代謝によって骨が形成されるときに働く酵素の活性化にも、亜鉛が必要。また、最近の研究では骨粗しょう症を改善する効果があることも認められました。1日の推奨量は女性は8㎎。牡蠣、帆立貝、ウナギ、牛肉、鶏レバー、卵、ごまなどの種実類、大豆製品などに多く含まれています」
- ・牡蠣1個→2.2㎎
- ・帆立貝1個→2.7㎎
- ・牛肉/100g→5.6㎎
- ・卵1個/50g→2.6㎎
カシューナッツ、納豆やきな粉や豆腐などの大豆類、チーズ、焼きのりなどに含まれます
不足すると骨がもろくなる
マグネシウム
(1日の推奨量290㎎)
●カルシウムとともに働き、間接的に骨の健康を守る
骨の弾力性を高めて丈夫にするのがマグネシウム。「マグネシウムはカルシウムとコンビで働き、骨や歯を丈夫にします。筋肉や神経などで働くマグネシウムが不足すると、それを補うために骨のマグネシウムとカルシウムが一緒に溶け出してしまうので注意。1日の推奨量は290㎎。納豆、ナッツ、海藻、緑黄色野菜などに多く含まれます」
- ・そば(ゆで)/200g→54㎎
- ・アーモンド/30g→93㎎
- ・いりピーナッツ/30g→60㎎
- ・干しひじき/10g→64㎎
- ・玄米ご飯/120g→50㎎
マグネシウムが多いのは納豆、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類、干しひじきや乾燥わかめなどの海藻類、そば、玄米、胚芽米など
骨密度を高める効果がある
カロテノイド
(1日の推奨量は決められていない)
●彩りのよい野菜や果物を意識して取り入れよう
カロテノイドは野菜や果物などに含まれる黄や橙(だいだい)、赤などの色素成分。「カロテノイドの中でも、にんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜に多いβ-カロテン、トマトのリコピン、みかんに多いβ-クリプトキサンチンは骨密度を高めることがわかっています。色素なので1日の推奨量は決められていませんが、意識して取り入れましょう」
にんじん、かぼちゃ、トマト、みかんなどに多いカロテノイド。こうした彩りのよい野菜や果物を、いつも食卓に並べることを意識して
日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症・アンチエイジング分野の第一人者
イラスト/本田佳世 取材・原文/和田美穂