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健康寿命の要、脚の健康にもミネラルが大事! ミネラルバランスを整えて100歳まで歩ける脚に

人生100年時代を元気に楽しく、はつらつと過ごすために欠かせないのが脚の健康。骨折を予防し、関節の痛みやしびれなどのトラブルをなくし、スムーズに歩ける脚を維持したいものです。毎日の食事を見直してミネラルバランスを整えることが役立ちます。

♦更年期を境に、骨密度は大きくダウン

 

50代を過ぎると、加齢、栄養不足、身体活動量の低下、さまざまな病気との関連などから、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態となり、この状態をサルコペニアと呼びます。サルコペニアは、特に高齢者の身体機能障害や転倒のリスク因子になり得るとされています。

 

転倒により骨折すると、さらに活動の低下がおこり、サルコペニアが進行するとフレイル状態(虚弱状態)となり、認知症や要介護状態になりやすくなります。

 

骨を丈夫にすること、そして、転倒による骨折リスクを減らすために筋肉を維持することが大切です。また転んでも骨折しにくい強い骨を維持することが大事です。

(イメージphoto/Bruno Nascimento on Unsplash)

 

女性の骨量は、40代に入ると減少し始め、女性ホルモンであるエストロゲン分泌が急激に低下する閉経前後の50歳頃から、さらに急激に減少します。

というのも、女性の場合、骨の代謝を調整する役目を担っているのが、エストロゲンだからです。

 

骨は、破骨細胞(古い骨を吸収する細胞)と骨芽細胞(新しい骨を形成する細胞)の両方がバランスよく働いて適切な骨量を維持しています。

 

このバランスを調整しているのが女性ホルモン、エストロゲンです。

閉経によりエストロゲンが減少すると、破骨細胞の働きが強くなり、骨量が減少すると考えられています。

 

そこで、閉経後は、閉経前よりもいっそう意識して、骨をつくる栄養素を積極的にとることが重要です。

 

カルシウムをしっかりとって丈夫な骨に

 

骨の材料としてよく知られるのがカルシウムですが、その吸収率は食品によって異なります。

 

牛乳・乳製品は約40%と高く、小魚・大豆・大豆食品は約30%、海藻類は約20%、ほうれん草は約18%です。

 

■カルシウムを多く含む食品

シシャモ、アサリ、ひじき、干し海老、煮干し

ほうれん草、モロヘイヤ

昆布、わかめ、青のり

乳製品

大豆、高野豆腐、きな粉、

ごま、アーモンド、チアシード

 

また、カルシウムは、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKと一緒にとると効果的です。

 

ビタミンDは鮭やしらす干しをはじめとする魚類に多く含まれます。

しいたけにも含まれており、日光に当たることで増える性質を持っていることから、生よりも乾燥しいたけにより多く含まれます。

 

ビタミンKは納豆や青菜類(キャベツ、ブロッコリー、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草)、海藻(わかめ、のり)に多く含まれます。

 

また、カルシウムとともに、マグネシウムも骨格をつくるために欠かせない栄養素。

 

マグネシウムは、大豆食品(豆腐、納豆、油揚げ、きな粉など)や海藻類(ひじき、昆布、青のり)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)に含まれています。

 

カルシウム2:マグネシウム1で摂取するのが、よいといわれていますが、サプリメントで摂取する時には、ご自分のミネラルバランスをチェックしてからの摂取をおすすめします。

 

多くのサプリメントはこのバランスで作られることが多いのですが、体内のカルシウムとマグネシウムのバランスによっては、カルシウム過剰になってしまうことがあります。

カルシウム過剰はマグネシウムの吸収を阻害します。

 

また、砂糖を多くとると、体内でカルシウムを消耗してしまうので、甘いジュースやスイーツのとりすぎには注意を。

 

さらに、カルシウムには、神経の興奮を抑えて精神を安定させる働きがあります。

ストレスがかかるとカルシウムを多く消費することになり、カルシウム不足につながるので、適度なストレス解消も心がけましょう。

 

♦脚にトラブルがあれば、ミネラルバランスも見直して

 

そのほか、中高年になると、関節に痛みがあるなど、脚にトラブルを抱える人も多くなります。

 

こうした脚のトラブルのもととして、そこに重大な疾患が潜んでいないか、まず、専門医を受診し、特に問題がなければ、ミネラルバランスの乱れがないかも疑ってみましょう。

実はこういう場合、自己判断でよかれと思って飲んでいるサプリメントが、不調の原因になっているケースがあるのです。

 

<関節の痛み> 

考えられる要因:セレンの過剰摂取

関節リウマチや、中高年女性に多い変形性関節症など、関節に痛みを覚えたり、朝方に関節のこわばりを覚えたりする病気は数多くあります。

専門医を受診して、特に異常がないという場合に、疑ってみるべきはセレンの過剰摂取。

 

セレンは食事から摂取する分にはとりすぎることはまずありませんが、さまざまなサプリメントに少量ずつ含まれている場合があります。

いろいろなサプリを服用していると、セレンを重複して摂取することになって、知らないうち中毒症状を起こしたという海外の例もあります。

飲んでいるサプリメントそれぞれの成分と、その含有量をチェックしてみましょう。

 

<関節リウマチ> 

考えられる要因:マンガン、リン、マグネシウムの不足

手や脚の関節の痛みに悩まされている人は多いようです。その中でも特に多いのが、「関節リウマチ」。

はっきりとした原因はわかっていませんが、関節や骨の慢性炎症性自己免疫疾患です。

脂質の代謝に必要なマンガン、リン、マグネシウムの不足も一因と考えられています。

 

<手足のしびれ>

考えられる要因:銅の不足、亜鉛の過剰摂取

手足のしびれが起きる場合、おもに脳や脊髄、頸椎の病気、糖尿病などが考えられます。

精密検査を受けてもこれらの疾患がないのであれば、銅が不足している可能性も疑ってみましょう。

 

通常、不足することはあまりありませんが、先天性銅欠乏症やセリアック病では不足します。

また下痢が長く続いたり鉄剤を服用したりしている場合などは、不足することが稀にあるといわれています。

 

ほかに亜鉛のとりすぎも考えられます。

亜鉛を過剰摂取すると、銅や鉄の吸収が妨げられるからです。

サプリメントには亜鉛が含まれるものが多く、結果として亜鉛をとりすぎていることもあります。

 

 

【教えていただいた方】

登坂正子
登坂正子さん
医学博士。日本循環器学会認定循環器専門医。日本抗加齢医学会専門医。
公式サイトを見る

東京女子医科大学卒業。医療法人 淳信会 ホリスティキュア メディカルクリニック院長。米国コロラド州NTI認定栄養コンサルタント。米国PHYTOMEDIC LABS認定栄養&酵素セラピスト。産業医。 2014年、米国ベストドクターズ社日本支部から「医師が自分自身や家族が病気になった場合受診したいベストの医師」として、Best Doctors in Japanに選出される。

取材・文/瀬戸由美子

 

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