やっと解明されてきた! ビタミンDの驚きの効果
ここ10年ほどで、世界中でビタミンDに関する研究論文が急増! つまり、これまで知られていなかったビタミンDの役割が、ようやく明らかになってきました。
ビタミンDがほぼすべての身体の機能にかかわり、ビタミンDこそが健康寿命を左右する…ということは第1回でお伝えしました。今わかっているだけでも、たくさんの作用があります。
ビタミンDが花粉症をはじめとする現代病にかかわっていることを告げる本を、すでに2012年に出していた斎藤糧三先生。
「ビタミンDの骨を強くする働きは有名でしたが、それに加えて、免疫を正常に働かせる作用もあることを知ったのは2007年。アメリカの機能性医学学会でのことでした。
そこで『もしかすると、花粉症はビタミンD欠乏症のひとつなんじゃないのかな?』と気づいたんです。その後、花粉症の症状がひどい関係者にビタミンDを摂取してもらったところ、なんと症状は1時間ほどで軽減。
その効果に驚くと同時に感服し、改めて“花粉症の解決策”として、ビタミンDの啓蒙と普及に努めようと思いました」
花粉症の予防と治療のためには、高濃度ビタミンDサプリメントが必要になり、自ら開発したのも2009年のこと。そう、斎藤先生にとって「花粉症にビタミンD」はもはや常識なのですが、まだ知らない人も多いかもしれません。
それでも、その頃から、ビタミンDによって花粉症の症状が改善された論文、ビタミンD欠乏を改善してアレルギー性鼻炎が軽減する、アトピー性皮膚炎が緩和する、という論文も続々出て、いよいよビタミンDと花粉アレルギーの関係が解明されてきました。
ビタミンDが花粉症に効果的な理由とは?
「4年ほど前に、テレビ番組『林先生の初耳学』に出演して、ビタミンDで花粉症は治るのか、という検証をしたんです。
花粉症のタレントさんはじめ、8人ほどが参加したんですが、まず、ビタミンDの血中濃度(第2回参照)を測ってみたら、全員がビタミンD欠乏状態でした。
そこでビタミンDは紫外線によって増えるので、日焼けサロンに通ってビタミンDの血中濃度が高くなるのか、症状は軽減するのかを実験したわけです。
すると2週間で全員が症状改善しました!
でも、それは日焼けマシンで紫外線を浴びるという強引なものだったので、女性には現実的ではありません。日々コツコツと、日光浴と食事でビタミンDを増やす。足りなければサプリメントでとる、が基本のスタンスですね」
では、なぜビタミンDをとると、花粉症の症状が軽くなるのでしょう?
「花粉症の発症の原因は、免疫機能が過剰反応を起こしているからです。免疫機能の過剰反応を抑えて、免疫機能が正常に働くようサポートするのが、ビタミンD。ビタミンDは、免疫細胞の正常化に有効という研究報告が数多くあります。
つまりビタミンDが不足すると、免疫機能が低下します。風邪やインフルエンザなどの予防にもビタミンDが効果的といわれるようになったのは、免疫機能を正常化してくれるためです。
また、ビタミンDは炎症を抑える働きもあります。これにより、アレルギー症状が軽減される可能性が期待できる。
花粉症などのアレルギー症状には、腸内環境の乱れが大きく影響しますが、ビタミン Dは腸内フローラの多様性を支え、腸内環境をよくしてくれる作用も。しかも、ビタミンDは粘膜の強化にも役立ちます。
ここまでの働きをしてくれれば、花粉症の症状、つまりくしゃみや鼻水、鼻づまりなどを解消してくれることは容易に想像がつくでしょう?」
もちろん花粉症の程度や、一人一人の体質によって症状の軽減には差があります。
それでも、ビタミンDは食事や散歩(日光浴)で増やすことができるのです。処方薬や市販薬と違い、食品であるサプリメントでも手軽に摂取できるので、薬を飲みたくない人でも試してみる価値はあるでしょう。
ビタミンDで花粉症の症状が改善した女性たちの声
30代から毎年花粉症に悩まされ、3月の子どもの行事(保護者会や卒業式)では、お別れが悲しくて泣いていると思われるほど、いつも涙と鼻水がつーっと出続けていました。
鼻が詰まるので苦しく、アレルギー薬と柔らかティッシュが手放せない。それでも薬は眠くなるので、車を運転するときなど飲めない日もあります。
数年前、ビタミンDのサプリを紹介されて、花粉シーズン前の秋くらいから摂取。飲み始めたその年は、けっこう症状が楽になったと感じていました。翌年、もう少し早めに飲み始めたら、症状がほとんど気にならなくなったんです。
今では一年中ビタミンDを飲んでいるので、花粉症の薬を買ったりすることもなくなりました。
息子も毎年アレルギー科で目薬と鼻炎薬をもらっていましたが、ビタミンDを飲ませるようになってから、クリニックに行くほどではなくなりました。時々目のかゆみが出るときに、市販の目薬を使う程度ですんでいます!
スギ花粉に反応する私は、2〜3月メインの花粉症。15年ほど前から年々悪化し、昼間はぼんやり集中力に欠け、夜は鼻詰まりで苦しくて眠れない。目がかゆいし、肌あれもあり、耳鼻科でアレルギー薬と点鼻液を処方してもらっていました。
2017年、斎藤先生のビタミンD本を読み、その年の花粉シーズン前から飲み始めました。最初の1〜2年はまだ症状がひどいときもあり、薬を併用。それでも諦めずに飲み続けていると、年々症状が軽くなり、今では薬が不要に!
現在は、季節を問わず毎日100µg(4000IU)を飲んでいます。花粉が大量飛散する日は、くしゃみが出たり目がかゆくなりますが、それも我慢できる範囲。もう鼻詰まりはまったくありません。
以前は時々、飲むのをサボる時期もありましたが、コロナ禍になって免疫力アップのためにも毎日ビタミンDをしっかり摂取。風邪も引かなくなり、体調はいいと思います。花粉の飛散量が多いといわれる年は、逆に効き目が楽しみです。
私の場合、40年以上の年季が入った花粉症でした。毎年12月頃から3月までは目がかゆいし、夜中に鼻が詰まって苦しくて起きることもあり、毎朝ティッシュの山。
市販薬は粘膜がカラカラに乾くので無理。耳鼻科にも通い、アレルギー薬を出してもらったけれど、1年目は効いたものの、2年目は全然効きませんでした。
5年ほど前、「花粉症にはビタミンDだったのか!」と知って、さっそくサプリメントを飲み始めました。
最初は1日100µg(4000IU)飲んでいたと思いますが、それでだんだん症状が治まっていきました。2年目で“完治”といえるほどになったので、それ以来一年中、半分の量でOKに。
まわりの花粉症の方々にもビタミンDをすすめています。一人、目のかゆみはビタミンDでは改善しなかったという知人もいましたが、それ以外はたいてい、鼻の症状がなくなっているようで、これはホンモノだと感じています。
【教えていただいた方】
1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニック、Saito Farm
ビタミンDイラストキャラクターイラスト/内藤しなこ 木イラスト/Shutterstock 取材・文・画像制作/蓮見則子