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11月7日 冬の始まりの「立冬(りっとう)」は衣類で温度調節を! 

自然界の万物が活動を潜める冬の季節の到来です。体感的にはまだ秋の名残がありますが、陰の要素が徐々に強まっていきます。そんなときはどのようなことに注意したらいいのでしょうか? 漢方専門店・薬日本堂の薬剤師で漢方スクール講師の齋藤友香理さんに伺いました。

首を温めて風邪(ふうじゃ)から体を守る!

「立冬」という名のとおり、木枯らしが吹く冬の季節の到来です。この日から立春(2月の上旬)までの、おおよそ3カ月間が冬になります。

二十四節気 立冬 イメージイラスト

「この時期は日ごとに日が短くなり、『地始凍(ちはじめてこおる)』というように大地に霜が降り始めます。そして、『山茶始開(つばきはじめてひらく)』『金盞香(きんせんかさく)』というように、サザンカやスイセンの花が咲く季節です。

 

冬の時期は自然界のすべてのものが活動を潜め、エネルギーの消費を抑えて『貯蓄』する方向に向かいます。東洋医学的な陰陽の考え方では、陰の要素が深まるので、静かに過ごすのがポイントです。

 

五臓の中では『腎』との関係性が強い季節。『腎』は生命力に関係し、生殖機能、泌尿器、耳、髪などを担っています。寒さからこの腎が弱まる傾向があるので、しっかり体を温めてあげることが重要です。

 

この時期は、日中はまだ暖かさを感じる日もありますが、昼と夜の寒暖差が大きくなります。少し体を動かすと汗ばむこともあり、そのくせ木枯らしが吹くと急に寒くなります。

 

体温調節が上手にできないと、風邪ひきやすくなります。寒さの『寒邪(かんじゃ)』と空気が乾燥する『燥邪(そうじゃ)』が重なると、特に粘膜や皮膚にダメージを受けます。

二十四節気 立冬 スカーフの女性

『風邪(ふうじゃ)』は首の付け根から入るといわれています。頚椎(けいつい)の7番目(首を前に倒すと、首の下部に大きく突き出る骨)のすぐ下にある『大椎(だいつい)』のツボを温めるといいでしょう。

 

バスタイムでは湯船に肩までつかって首をしっかり温めたり、この季節には着脱して体温調節がしやすいスカーフやマフラーを活用するのもおすすめです」(齋藤友香理さん)

 

辛味食材で体を温め、潤いアップで邪気を追い出す

そろそろ温かい鍋やおでんなどが恋しくなる季節ですが、この時期はどんな食事を心がけたらいいのでしょうか?

 

「キーワードは辛味食材です。例えば、長ねぎ、しょうが、にら、大根など。唐辛子のような辛さではなく、薬味などに使われるこれらの食材は、邪気を体の外へ追い出す働きがあります。しっかり食べて、風邪や感染症などを起こす外界からの攻撃を払いのけましょう。

 

体を温めて元気を補う食材である、サケ、エビ、鶏肉もこの時期におすすめです。まさに鍋やおでんは最適な料理といえます。

 

ほかに、潤いを補う、れんこんやゆずは風邪のひき始め、特に喉の健康を守るのに役立ちます。料理に使うだけでなく、れんこん茶やゆず茶ならさらに手軽。上手に活用するといいでしょう」

 

二十四節気の養生法とは?

旧暦の1年を24等分して、季節の移り変わりとそれに伴う生活の知恵を結びつけた「二十四節気」の養生法。この考えは紀元前の中国で生まれ、日本でも古くから親しまれています。

二十四節気 表

二十四節気はまず1年で昼の時間が最も長い日を夏至(6/21)、最も短い日を冬至(12/21)と決め、そこに昼と夜の長さがほぼ同じになる日である春分(3/20)と秋分(9/22)を加えて、1年を春夏秋冬の4つの季節に区分。さらにその中を、気温の変化や気象現象、動植物の様子などで6つに分けたものです。(詳しくは第1回参照)

※日にちは国立天文台発表の2024年のもので、年により多少前後します。

 

「二十四節気は長年の生活経験や知識で導き出した、農作業の目安にするための『気候・天気の予報』であり、それに従った養生法は、『人は自然の一部で、自然と調和して生きることが大切』という考え方に基づいた健康管理の知恵です。これらは漢方の陰陽論や五行説ともつながっています」

 

 

【教えていただいた方】

齋藤友香理
齋藤友香理さん
薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師
公式サイトを見る
Instagram

東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務め、多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら外部セミナーも担当し、漢方を学ぶ楽しさを広めている。また「養生を指導できる人材」の社員育成、『薬日本堂のおうち漢方365日』『薬膳・漢方検定  公式テキスト』など、書籍監修にも多く携わっている。

 

イラスト/河村ふうこ 取材・文/山村浩子

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