世の中には乳がん患者の集まりや、勉強会などがたくさん存在しているのをご存じですか。このような集まりは定期的に最新医療を学ぶもの、同じような病気に悩む人が気軽に話を聞したり情報を得られる施設、などいろいろな種類があります。
私も乳がん手術直後などに参加させていただいたこともあったのですが、ありがたいことに私は症状もある程度安定して定期健診だけで済むようになり、そういった場から足が遠のいてしまいました。でも、いまだ症状が安定しなかったり、抗がん剤の影響が強かったり、再発の可能性もまだ高いという方々には、本当に必要な存在だと感じています。
でも、前回書いたように乳がんになったことを公表しない人も多いですから、なかなかそういった場にたどり着けないことも多いようで、残念でならない。そこで今回は私の知っている範囲ですが、そんな心強いサポートを紹介してみようと思います。
「マンマチアー委員会」~女性の乳房を守る応援団! 最新の医療情報が得られる~
NPO法人女性医療ネットワークが開催しているマンマチアー(Mamma Cheer)委員会です。乳がん治療や検診の相談をしたい方だけでなく、乳がんを経験していない一般女性にとっても興味深い情報提供やセミナーなどが行われています。 以前は参加倍率もなかなか高かったのですが、最近はzoomを使ってオンラインで行われるので、参加しやすいのではないでしょうか。
以前、私がリアル参加をさせていただいたときは、正直こんな高度な最新医療について説明してもらえるのかとびっくりしました。例えば乳房再建について、現在はこういう技術ではなく許可の関係でこういう形になっていてそのメリットはこうで、みたいな話を現役の医療関係者が説明してくれました。もちろん質疑応答もできますし、いろいろな不安を解消したいという、みなさんの活発な会話に圧倒された記憶があります。
実行委員メンバーのおひとり増田美加さんは、女性医療ジャーナリストとして活躍されており、OurAgeでも乳がんをはじめとするがんや、また女性医療に関する役立つ記事を多く書かれています。私の連載で医療面の情報確認をしていただいたこともあります。
マンマチアーのサイトにはこう書かれています。
「女性の乳房の健康を守る応援団です! 必要な女性にエビデンスある正しい“乳がん検診を受けてもらうために “ “乳がんで苦しむ女性を減らしたい”という思いをこめて、 女性たちが心も体も元気になるために応援します。」
「最新医療情報を得られる」メリットに加えて、周囲に話せる人がいなかったり、インターネットで不確かな情報を検索したりするくらいなら、こういう場を利用して「正しい知識を身につける」ことも不安を解消する一つの方法ではないかなと思います。
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「マギーズ東京」~眺めのいい場所で、不安やつらさを話してゆったり過ごす~
豊洲市場にほど近い運河沿いにある施設は「がんとともに生きる人やその家族や友人などが、ゆっくり話をしたり過ごせる場所」として活動されています。ただその場所で過ごすだけでなく、がんに詳しい医療スタッフがいて、医療知識のある友人のように相談にのってもらえます。寄付金で運営されており、利用はすべて無料で、予約なく気軽に訪れることができます。
実は私のランニングコースに近くて、よく横を通るのですが、まるでリゾート地のカフェのような外観に、当初はこの施設はなんのためのものだろう?と思っていました。施設の前には小さいけれどしっかり手入れされた花壇があり、季節によっていろいろな花がきれいに咲いている様子に、丁寧に運営されているのだろうな、と感じたことものぞいてみようと思った理由の一つでした。
正直、私は家族にも周囲にも乳がんを公表しているので、そこまで誰かにつらさとか不安を聞いてほしいという欲はなかったと思います。それでも病気や治療に関する具体的な話が通じないというフラストレーションのようなものはゼロではありません。そういうときに、客観的にフラットな会話ができてうれしかったのを覚えていますし、そういう時間が必要な人も多いのだろうなと感じました。
眺めのいい立地は、ちょっとした旅行気分も味わえます。(実際に豊洲市場に訪れるインバウンドの人々も多い場所です。)つらい時だけでなく、話を聞いてほしいだけとか気分転換を兼ねて訪れてみるのもいいかもしれません。帰りに豊洲市場に寄って安くておいしいお魚を買うのもいいですね。(地元の友人に聞いたところによると、刺身もいいけどうなぎのかば焼きがおすすめらしいです。)
病気になると誰でも不安になります。仲の良い家族や友人だからこそ、例えば再発の不安などなかなか言い出せない悩みもあるかもしれません。そんな時こういうサポートを上手に利用できることを知ってもらえたら、と思っています。