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遺伝子的に熱中症になりやすい人がいる!

暑さに弱く、毎年暑くなると体調を壊したり、熱中症になってしまう人はいませんか? その原因は遺伝子にあるかもしれません。暑さに弱いタイプの人の注意が必要なケースやシチュエーションについて、熱中症・脱水症に詳しい、医師の谷口英喜先生に伺いました。

熱中症になりやすい遺伝子とは?

暑さに強い人と弱い人がいる…というのは、周りの人を見ていても気づくことでしょう。例えば、普段から長時間エアコンの効いている部屋にいるなど、環境的に暑さに慣れていない人は、比較的弱いかもしれません。

 

そんな人は徐々に暑さに慣れる訓練をする暑熱順化(しょねつじゅんか)が役に立つと谷口英喜先生。

 

実は、それだけでなく、遺伝子的に熱中症になりやすい人がいるそう。

 

※暑熱順化については第2回参照。

 

猛暑対策 暑さに弱い 遺伝子 熱を出している イラスト

 

「それはCPT2という遺伝子で、私たちすべてが持っています。しかしながら、日本人の1~2割はその遺伝子の配列が少し違います。この配列の違うCPT2を持っている人は、極端に暑さに弱いのが特徴で、熱中症になりやすいことがわかっています。

 

通常の人は体温が40℃を超えてから臓器不全を起こしますが、38℃程度でも起こってしまうことがあります。熱中症に限らず、インフルエンザなど高熱が出る病気でも重症化するリスクが高いのです。

 

もしも過去に、高熱でインフルエンザが重症化したり、毎年、熱中症にかかるようなら、一度、遺伝子検査を受けてみるといいでしょう。配列の違うCPT2の保持者であるのなら、それを自覚して、熱中症や感染症の予防を人一倍しっかり行ってください」(谷口英喜先生)

 

「暑さ負債」に要注意!

普段ならこのくらいの暑さに負けることはないのに、頭がクラクラ、体力が続かない…などと感じたことはありませんか?

 

「体調は日々変わります。例えば、暑さで体力を消耗した日があっても、栄養や休養をしっかりとれば、一晩寝ることで自力で回復させています。しかし、連続の猛暑に、栄養の偏りや睡眠不足などが重なると、一晩で回復できなくなります。こうして少しずつ疲れがたまっていくことを、暑さ負債と呼んでいます。

 

暑さ負債は自律神経のバランスが乱れた状態です。これが続くと、体温調整がうまくできず、大汗をかいて脱水症状から熱中症になるリスクが高まります。

 

自律神経を整えるためには、質のよい睡眠を確保することが重要です。まずは快眠を得られる環境づくりを心がけましょう。寝るときのエアコンはタイマーで切れるようにセットせず、朝まで連続運転にしておくほうがベター。エアコンが切れたあとは急激に温度と湿度が上がり、快眠を妨げられます。エアコンは一定の温度に保ち、もしも寒いと感じる場合は、設定温度を工夫したり、着るものや掛け布団で調整するのがおすすめです」

 

記事が続きます

暑さを感じない環境でも熱中症になる!

熱中症は、名前のとおり暑さが体にたまって起こる病気だと思っていませんか?

 

「もちろん中度~重度になると、体から熱を逃がせなくなり、体温が上昇します。しかし、熱中症の始まりは、体の水分が足りなくなる『脱水症』です。

 

暑い環境下にいると、汗をかいたり血管を拡張させるなどして、体温調節をします。その過程で、適切な水分補給がされないと、体の水分が足りなくなってしまいます。

 

このことからわかるように、熱中症の原因は暑さだけではありません。

 

※熱中症になるメカニズムについては第1回参照。

 

屋外で熱中症にかかりやすい環境として、よく挙げられるのはプールや海辺です。子どもはプールで遊んでいるとき、夢中になって適切な水分補給をしないことがあります。定期的に設けられている休憩時間にも、それが終わったらすぐにプールに飛び込めるようにと、日陰で休まずに、炎天下のプールサイドにずっといる子もいます。

猛暑対策 遺伝子 ビーチ 女性 イラスト

海でも同様です。時々、水に入っているとそれほど暑さを感じませんが、泳いでいるときも体は汗をかいています。大人の場合は、炎天下で甲羅干しをしたり、お酒を飲むケースも多いですね。こうなると、脱水症から熱中症を起こすリスクが高まります。

 

また、真夏の車の中も注意が必要です。エアコンが効いて涼しくても、窓からの太陽光の赤外線で体温が上がってしまうことがあります。ドライブには休憩時間を組み込み、駐車中は窓に赤外線まで遮る日よけシェードなどをつけて、車内の温度が上がらないように対処しましょう。

 

いずれの場合も、適切な水分補給を行い、直射日光を遮って休憩をとることが必須です」

 

谷口英喜
谷口英喜さん
医学博士
公式サイトを見る
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済生会横浜市東部病院患者支援センター長。福島県立医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部麻酔科に入局し、2011年に神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授。2016年より現職。現在、東京医療保健大学大学院客員教授、 慶應義塾大学麻酔科学教室非常勤講師を兼任。専門は麻酔学、集中治療学、周術期管理、栄養管理、経口補水療法、脱水症対策など。著書に『熱中症からいのちを守る』(評言社)など多数。テレビや雑誌、Webでも活躍。 谷口英喜先生 著書 書影

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

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