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熱中症を防ぐのは、今から始める暑さに強い体づくり

昨今はゴールデンウィークあたりから気温が上がってきます。それに伴い、熱中症の報告もちらほら始まります。実は、夏に向けて、今から暑さに強い体をつくっていくことが大切なのだとか。その方法について、熱中症・脱水症に詳しい、医師の谷口英喜先生に伺いました。

暑さの中でも元気な人と、すぐにバテてしまう人がいます。確かに、暑さに強い人と弱い人がいるようです。特に暑さに弱い人は、今からしっかり対策を!

 

「熱中症の予防は夏だけでなく、一年を通して習慣にして、暑さに強い体をつくっていくことが大切です。ポイントは大きく3つあります。『体温コントロールができる体にする』『水分補給ができる体にする』『保水できる体にする』ことです」(谷口英喜先生)

 

体温コントロールができる体にする

「私たちの体には、体温を調節する仕組みがふたつあります。ひとつは汗をかくことで、汗が皮膚上で蒸発するときに気化熱を奪って体温を下げます。もうひとつは血管を広げて熱を逃します。体温調節にかかわる割合は、汗をかくことで約1/4、血管拡張で約3/4です。

 

しかし、こうした体温調節も体が暑さに慣れていないと上手にできません。体を暑さに慣れさせることを『暑熱順化(しょねつじゅんか)』といいます。これには数日~2週間かかるので、本格的な暑さになる前から準備する必要があります。

 

対策1 暑さに慣れる

その方法のひとつが、軽く汗ばむ程度の運動を日常に取り入れることです。

ウォーキングなら1回30分を週5日程度。ジョギングなら1回15分を週5回程度です。

 

猛暑対策 今からの体づうり サウナ イラスト

サウナを取り入れるのもいいでしょう。ただし、水分補給なしで行ったり、体重が減るほどのやりすぎは、体によいことはありません。水分補給をしっかりして、無理のない範囲で行いましょう。

また、サウナでなくても、日頃から湯船につかる習慣をつけるだけでも効果的です

 

対策2 自律神経のバランスを整える

「体温調節の際、汗をかくときには自律神経の交感神経が、血管を拡張するときは副交感神経が働きます。体温調節をスムーズに行うためには、日頃から自律神経のバランスを整えておくことが重要です。

 

睡眠不足、運動不足、不規則な生活、エアコンの効いた環境にずっといるなどの生活は、自律神経を乱します。

 

特に朝には朝日を浴びて、背伸びやストレッチを行い、朝食を抜かず、せめてコップ1杯の白湯でもいいので、何か飲食物を体に入れましょう。こうすることで体が活動モードになり、セロトニンというホルモンが出て、その約15時間後にメラトニンが分泌され、快眠に導いてくれます。

 

こうして、規則正しい生活習慣を実践して、自律神経を整えておくことが、熱中症予防につながります」

 

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水分補給ができる体にする

熱中症予防には、脱水症にならない体をつくっておくことが重要です。

そのためには、今から水分補給の練習をしておくといいそう。「水分補給に練習? 」と思う人もいるかもしれませんが、日頃から水を飲み慣れている人がいる一方で、なかには冬場は水分補給を控えている人もいるからです。

 

対策3 水分は1日8回に分けてとる

「普段、水分をとり慣れていない人は、夏になって暑いからといって、いきなり水を大量に飲んでも、体が上手に吸収してくれません。胃腸を慣らすためには、春の連休(ゴールデンウィーク)くらいから、水分補給の練習をしておくことをおすすめしています」

 

水分補給の上手な方法とは?

「水を1日8回に分けて飲みます。1回分の量は約180㎖(軽くコップ1杯程度)。
飲むタイミングは、起床時、朝食時、10時頃、昼食時、15時頃、夕食時、入浴前、就寝時の8回です。

 

特に、夜中のトイレを避けるため、寝る前に飲むことを控える人もいますが、そんな人は下記を実践してみてください」

 

〇寝る前の水分摂取量を90~150㎖程度に減らす
〇5分間ほどかけてゆっくり飲む
〇冷水ではなく、常温か白湯にする
〇就寝中に目が覚めたら、その時点でもう1杯飲む
〇朝、起きたときにすぐに1杯補給する

 

「これらの水分量はあくまで目安です。必要量は人により違います。自分に合った水分量や種類、温度などを見つけることが大切です」

 

対策4 欠食をしない

「1日の水分補給の全体の半分を飲み物から、もう半分は食事からとるのが目安です。食事を1食抜くと、その分、約500㎖の追加の水分補給が必要です。

猛暑対策 体づくり 朝食

食事を抜くだけで、脱水症状を起こすこともあります。特に朝食は水分補給と自律神経を整えるためにとても重要。食事を抜かないように心がけてください」

 

記事が続きます

保水できる体にする

飲んだ水分ってどこに貯蔵されるのでしょうか? その大きな貯蔵先が筋肉です。

 

対策5  筋肉量を維持する

「熱中症と筋肉が結びつかない人もいると思いますが、筋肉は水分を体に蓄えておく、貯蔵庫の役割を果たしています。

 

飲んだ水分の約4割が筋肉に蓄えられます。一生懸命に水分を補給しても、蓄える筋肉がなければ体から出てしまいます。

 

筋肉を急に増やすのは難しいのですが、筋肉を落とさないように努力することが大切です。そのための手軽な方法としては、できるだけ座っている時間を短くする、ウォーキングやスクワットなどを取り入れることです

 

対策6 栄養バランスを整える

「筋肉を維持するためには、普段からタンパク質をしっかりとることが大切です。1日の理想の摂取目安量は体重1㎏につき1g(体重が60㎏なら60g)です。

 

また、熱中症予防には、暑熱順化を促してくれるビタミンC、暑さによる疲労感をやわらげるビタミンB群も意識してとるといいでしょう。

 

タンパク質は特にロイシンというアミノ酸が筋肉の合成を助けます。ロイシンが豊富なのが肉や魚。疲労回復を促すビタミンB群は豚肉や赤身の魚に多く含まれます。

 

ビタミンC補給として、特におすすめなのがキウイです。キウイはビタミンC以外にも、ビタミンB群、汗とともに流れてしまうカリウム、マグネシウム、カルシウムなども含んでいます。

 

食事はバランスが重要なので、多種類の食材をまんべんなくとるのがいいのですが、特に暑いときは、これら3つの栄養素タンパク質、ビタミン、ミネラルを意識するといいでしょう」

 

谷口英喜
谷口英喜さん
医学博士
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済生会横浜市東部病院患者支援センター長。福島県立医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部麻酔科に入局し、2011年に神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授。2016年より現職。現在、東京医療保健大学大学院客員教授、 慶應義塾大学麻酔科学教室非常勤講師を兼任。専門は麻酔学、集中治療学、周術期管理、栄養管理、経口補水療法、脱水症対策など。著書『熱中症からいのちを守る』(評言社)など多数。テレビや雑誌、Webでも活躍。 谷口英喜先生 著書 書影

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

 

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