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【脱!昭和の健康常識】夏の夜でもエアコンは体に悪い——そんな根性、むしろ危険!

扇風機をつけて寝ると死ぬ!? エアコンつけっぱなしは体に悪い!? そんな都市伝説がまことしやかに語られていた昭和の時代。でも今、それを守っていたら熱中症で命にかかわるかも! エアコンつけっぱなしは「悪」ではなく「命を守る手段」へ。機能性医学の専門医、斎藤糧三先生が改めて解説!

昭和の夏の夜は、風鈴と団扇でしのいでいた

 

こんにちは。斎藤糧三です。
「機能性医学」を専門に、日本機能性医学研究所の所長を務め、表参道のクリニックで診療しています。

 

蚊取り線香の香りに包まれて、縁側で団扇をパタパタ。蚊帳(かや)を吊って、風鈴の音に耳を傾けながら寝る…。そんな風景が夏の夜の定番だった子どもの頃。

 

エアコンなんて贅沢品だし、扇風機をつけっぱなしにして寝るなんて「死ぬぞ」と言われた時代です。「風が直接当たって体温が奪われる」とか「朝起きたら冷え切っていて危険だ」とか。

昭和の健康常識 昭和の常識 OurAge 熱中症 エアコンつけっぱなしは良くない

 

でもあれ、ほとんど都市伝説です。

令和の夏の暑さは、もう「命取りにもなるレベル」。

だいたい昔と今じゃ、気温が違いすぎます。昭和40年代、東京の夏の平均最高気温はせいぜい30℃前後。ところが今は6月でも35℃超え。梅雨入り前から熱中症で運ばれる人が出る時代です。

 

熱帯夜も当たり前。夜になっても室温が下がらず、寝ている間に脱水・軽い熱中症になる人も珍しくありません。

 

「窓を開けて寝れば涼しくなる。そのほうが健康的」なんていう時代は終わってます。はたまた「エアコンは嫌いだから、部屋にはつけていない」なんていう人、もはや危ない。

 

「つけっぱなし=悪」だったのは、昭和の機械のせい!

 

そもそも昔のエアコンや扇風機って、めちゃくちゃピーキー(=中間がなくて極端)だった。「ちょうどいい」が存在しなくて「冷える」か「止める」か、みたいな。

 

それじゃ寝苦しい夜に「つけっぱなし」するなんて、冷えて当然ですって。夜中に顔だけ極寒!

 

そもそもつけっぱなしをする前提じゃなかったわけです。

 

輪をかけて以前のエアコンは電気代も高かったので、節約家族なら「切りなさい!」と怒られるのも当然。だから「つけっぱなし=悪」というイメージがしみついたんだろうと思います。

 

でも、今は違います。

機械も変わった、気候も変わった。

使い方だけ昭和のままじゃ、体壊します。

記事が続きます

「夜はエアコンを消す」が逆にキケン!

 

今の正解はこうです。
夜はエアコン、つけっぱなしでOK!

むしろ消すほうが危ない。寝ている間に室温が上がって体に熱がこもります。体は冷やそうと汗をかき続け、水分がどんどん奪われる。

 

翌朝、だるい・頭痛がする・ふくらはぎがつって起きた…なんていう人は、たぶん「冷え」じゃなく「熱中症スレスレの状態」で寝ていた証拠です。

 

「冷えすぎ」対策は、温度じゃなく「風の当たり方」で

確かに冷えすぎも問題です。でも、それは風の当て方と温度のバランスの問題。

 

最新のエアコンは、微風や温度調節も自由自在。タイマーを切らずに、26〜28℃あたりでひと晩キープすればOK。

 

扇風機を使うなら、体に向けるのではなく空気の流れを作るように。涼しくするためというよりサーキュレーターとして使います。部屋の空気を回すだけで、体感温度はグッと下がります

 

室温28℃ってどうすれば?  「正しく冷やす」ための豆知識

 

環境省は「室温は28度」を目安として推奨しています。とはいえ、これはあくまで「冷房をつけたときの室温」であり、「エアコンの設定温度」とは異なるもの。

 

冷気がたまる位置や部屋の構造で実際の体感は大きく変わります。エアコンが温度を測っているのは「本体の周辺」なので、部屋の中央やベッド付近の温度とはずれるはず。

 

きっちり設定してみたい人は、温湿計を部屋に置いてリアルな温度を可視化。サーキュレーターを活用して、エアコンの風が当たりにくい場所にも空気を回すように心がけて。

 

そして、環境によっては寝るときは「除湿モード」もおすすめ。冷房より風が優しく、喉にも優しいはずです。

いちばん大事なのは「何度に設定したか」ではなく、「部屋にいる人がどう感じているか」を調整するスキル

 

昔の「我慢の夏」は卒業。体と脳がちゃんと休める温度管理を!

 

■まとめ■ 令和の常識はこれ!

昭和の常識:「寝るときはエアコンや扇風機を切るのが当たり前!」

令和の常識:「快眠と熱中症対策のためにエアコン・扇風機は、“つけっぱなし”がマスト!」

昔の日本の夏とは暑さの質もレベルもまるで別物。我慢は美徳じゃない。エアコンも扇風機も、正しく使えば、夏の睡眠はもっと快適になる! 「正しく使って、朝まで安全に」が新常識!

 

【教えていただいた方】

斎藤糧三
斎藤糧三さん
医師/日本機能性医学研究所所長
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1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット』(講談社)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニックSaito Farm

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イラスト/小迎裕美子  取材・文・画像制作/蓮見則子

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