口呼吸をやめて、鼻呼吸に導く「ブクブク体操」
慢性上咽頭炎になると、頭痛、肩こり、咳ぜん息、倦怠感、アレルギーなど、体にさまざまな不調が現れることがあります。こうした不調がある場合は、まず慢性上咽頭炎を疑ってみるべきだといいます。
※体の不調に関しては第1回参照。
「慢性上咽頭炎の予防・改善に必要なのが、『口呼吸』の習慣を改め、『鼻呼吸』にすることです。鼻呼吸に導く方法のひとつに『ブクブク体操』があります。これは、口に水を少量含んでブクブクするだけなのですが、かなり効果があります。
※口呼吸の弊害に関しては第3回参照。
鼻呼吸をしている人の多くは、口を閉じて普通にしているときは、舌の先は上あごに当たっています。ところが、口呼吸が習慣になっている人は、舌先が下前歯について、舌の位置が後ろに下がっている傾向があります。
こうして、舌を下後方に引っ張っているのが舌骨舌筋です。『ブクブク体操』は舌骨舌筋の緊張を緩める効果があり、舌を正常な位置に導きます」(堀田修先生)
【ブクブク体操のやり方】

① 口に水を少し含み、鼻の下を膨らませて、首を少し後ろに反らして上を向きます。
② 口の中でしばらくブクブクして、最後に口を閉じたまま水を飲み込みます。これを5回繰り返します。
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「口をしっかり閉じたまま、ブクブクしている間は口呼吸ができないことに加えて、飲み込むときに舌の先が上あごについているので、自然と鼻呼吸を促すことになります。
ほかに、食事も口を閉じて嚙むように心がけるなど、日頃から口を閉じる習慣をつけることが大切です。
日常的に鼻呼吸ができるようになると、自然と呼吸が深くなり体が楽になります」
睡眠中の口呼吸を防ぐには「口とじテープ」が有効
起きているときには、鼻呼吸を意識することはできますが、寝ているときは意識できません。ひょっとすると就寝中に口呼吸になっていることがあります。朝起きて口の中が乾いている人は要注意です!
「それが疑われる場合は、『口とじテープ』がおすすめです」
【口とじテープのやり方】

紙絆創膏(テープ)を長さ5cm程度に切り、寝る前に口に対して縦方向に貼ります。鼻呼吸専用テープも市販されています。
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口とじテープを使用する際の、注意点などはあるのでしょうか?
「これは、鼻の通りがよいことが前提です。鼻が詰まっているときにはNG! しかしながら、紙テープなら、もしも寝ている間に苦しくなったら自然と外しているので、特に心配はいりません。ただし、はがれないように頑丈にしすぎないでください。
肌が敏感な人は稀に肌あれを起こすことがあるため、自分の肌に合うテープを見つけることも大切です。もしも、鼻に持病などがある場合には主治医にご相談ください」
【教えていただいた方】

防衛医科大学校卒業。2011年に仙台市にて、医療法人モクシン堀田修クリニックを開業。認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長。IgA腎症・根治治療ネットワーク代表。日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症が早期の段階であれば扁摘パルス療法により根治治療が見込めることを米国医学雑誌「AJKD」に報告。その後は同治療の普及活動と臨床データの集積を続ける。また、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。監修本『慢性上咽頭炎を治せば不調が消える』(扶桑社)など。ほかに著書多数。
イラスト/green K 取材・文/山村浩子


