骨盤まわりの硬くなっている筋肉や関節をストレッチで緩めると、骨盤底筋を動かしやすくなる
骨盤底筋がうまく動かせないと感じている人は、まずはストレッチをするといいそう。その理由を北條さんに伺いました。
「骨盤まわりの筋肉や関節が硬くなっていると、骨盤底筋が動きにくいので感覚をつかめず、正しいトレーニングができているか不安になる方が多くいます。
まずはストレッチで緩めるのがおすすめです。
特に緩めるとよいのが、お尻、裏もも、内ももの筋肉や股関節です。
運動不足や普段の姿勢などによって、これらの部分が硬くなっている人が多いので、まずは緩めることが大切。以下がこれらの部分を緩めるのに効果的なストレッチです。これらのストレッチを行ったうえで骨盤底筋トレーニングを行うと、動かしやすくなり、骨盤底筋を効率よく動かせるようになるでしょう」(北條由紀恵さん)
以下が、北條さんおすすめのストレッチ。すべて行うのが理想的。
硬くなったお尻・股関節の筋肉を緩める
<お尻と股関節のストレッチ>
①あお向けに寝て、右膝を立て、左足首を右のももにのせます。左膝はなるべく横に開きます。
②両手で右脚を抱え、息を吐きながら手前に引き寄せて5〜10秒キープ。このとき、左のお尻の筋肉が伸びるのを感じましょう。反対側も同様に。
内もも、股関節、坐骨までを伸ばす
<ハッピーベイビーストレッチ>
①あお向けに寝て、左右の膝を曲げ、両手を膝の内側から伸ばして、足裏を内側からつかみます。
②息を吐きつつ、両膝を伸ばしながらできる範囲で脚を開きます。自然な呼吸を繰り返しながら、①②の動きを10回ほど行いましょう。
裏ももを伸ばす
<ハムストリングスのストレッチ>
①床に座って右脚を真っすぐ伸ばして足首を直角に曲げ、左脚は内側に曲げます。両手を股関節のあたりに当てます。背すじは真っすぐに伸ばしましょう。
②目線を前に向けたまま上体を軽く倒して5〜10秒キープ。このとき、右の裏ももが伸びるのを意識しましょう。胸を張って、背中が丸くならないように注意。反対側も同様に。
背中から坐骨までを伸ばす
<ドッグ&キャット>
①よつばいになり、両手は肩の真下、両膝は股関節の真下にくるように置き、肩幅程度に開きます。これを基本姿勢として、肩とお尻の位置がずれないように次の②~③を行いましょう。
②息を吸いながらお尻の位置がずれないように、頭と尾骨が上向きの半円を描くようなイメージで体を反らせます。このとき坐骨を壁に押しつけるイメージで左右の坐骨を開きましょう。
③次に、息を吐きながら、手で床を押して猫のように背中を丸め、左右の坐骨を近づけます。頭から尾骨までが②と逆の、下向きの半円を描くイメージで背中を丸めましょう。この②〜③をゆっくり5~10回繰り返します。
硬くなったお尻周辺をほぐす
<お尻や坐骨周辺の筋膜リリース>
①フェイスタオルを用意し、中央で結びます。
②床に座って、左脚を真っすぐに伸ばします。右の坐骨の下にタオルの結び目がくるように置いて、坐骨に体重をかけて結び目をゴロゴロと転がし、坐骨まわりをよくほぐしましょう。反対側も同様に行います。テニスボールやフォームローラーなどを使ってほぐしてもOK。
これらのストレッチを行ったあと、この連載の第3回で紹介した骨盤底筋トレーニングを行ってみましょう。
骨盤底筋が動かしやすくなるのを感じるはず。
それでもまだ動かしにくく感じる人は、上記のストレッチを続けて、骨盤底筋トレーニングの前に行うことを習慣に。
徐々に動かしやすくなっていきます。
【教えていただいた方】
2011年より医療施設の骨盤底筋トレーニング外来にて多数の患者に指導を行った後、2018年に「骨盤底筋トレーニング YUI」を開業。尿もれや骨盤臓器脱など、骨盤底の緩みに悩む多くの女性をサポートする。現在は、骨盤底筋のトレーニングだけではなく、骨盤調整や筋膜の施術など、サービスの幅を広げる。日本女性骨盤底医学会所属。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/広瀬あつこ 取材・文/和田美穂