断捨離が日常化してきた自分の中でも、やはり寝具の処分はある程度の覚悟がいります。今までに来客用の寝具を処分したり、長く使用していない物などは折を見て粗大ゴミとして処分してきました。
寝具にも旬の時期はあり、購入当時とは異なり機能が衰えたものや、使用する機会がほとんどないもの、さらに衛生的に気になるなど、お役目を果たしたと思えばそれは手放していい時期でしょう。
しかしながら寝具に限らず、簡単に何でも捨てるのは気が引けるのも確か。単純に捨てればゴミでも、何かに再生されればそれは資源になります。
日本のリサイクル率は高いとはいえず、ゴミの焼却率はOECD(経済協力開発機構。2024年現在38カ国が加盟)全体で22%なのに対して日本は80%近くを焼却しています(OECD調べ)。
買う → 使う → 捨てる。このサイクルを今までは繰り返してきた訳ですが、これからは少しだけ意識を変えていく必要があることを、今回あらためて大分にある工場で感じました。
枕をリサイクル?
私はふとん屋の娘です。新品の売り物に囲まれて育ちましたが、昔は古い真綿のふとんをよく引き取り「打ち直し」という形で工場でほぐし、綿の増量、そして外の布の交換を行いスッキリと新品同様にして依頼主に戻すことを何度も見てきました。
手間がかかるうえに素材の変化もあり、今でこそあまり一般的ではなくなりましたが、そのような中で、自社の「枕」をリサイクルして、また新しい枕に再生する取り組みが寝具メーカーのブレインスリープでスタートしたとお聞きして、工場見学のために大分まで行ってきました。
通気性、衛生面、そして何よりその独自の素材と構造で愛好家の多いブレインスリープの枕やマットレスは、純度の高いポリエチレン樹脂製。弾力を生む複雑な構造をしています。
このポリエチレン樹脂を加工し、何層にも硬さを変えた部分を頭部の当たる位置ごとに変えるなどして、見た目ではわからないほどの緻密な作業が施されている。しかも作業工程の大半が手作業というから驚きました。
名水にも選ばれた清らかな水で安定した水温の湧水を使い、その中からゆっくり出来上がってくる様子はなんだかとても神秘的で、まさに産み落とされる感じにも見えてきます。
こちらは、折り重なる樹脂が名水によって生まれてくる瞬間の写真です。
手で1個1個をカットし、断面は購入した人が触った時に滑らかに感じるように調節したり、接着剤なども一切使わず、そして最後の最後まで目視と手の感覚で検品するなど一貫して商品への「自信」が手渡しされている感じがしたのです。
だからこそ、今回のエコサイクルプロジェクトのように使い終わった枕やマットレス(同素材に限る)を「おかえりなさい」の気持ちで受け入れ、また新しい製品へと生まれ変わらせることができるようになったのでしょう。
SDGsやリサイクルと言われてもなかなか進まないこともあるけれど、自分の愛用の枕があって、また同じものを購入するなら、その度に使用済みを引き取ってもらえる循環型社会が望ましいのは確かだと思います。
ブレインスリープのエコサイクルプロジェクトは、使用済みのものを細かく粉砕するところから始まります。
枕の寿命は通常2~3年といわれているのですが、同社の枕では耐久年数は約2年を想定しているそうです。心地よく眠るためにまずは寝具環境を見直して、さらに地球環境まで思いを馳せて眠れば、きっと壮大な夢が見られるのではないでしょうか。
では、今宵も良い眠りを。
眠りの力があなたを変えるネムリノチカラ代表、快眠コンシェルジュのヨシダヨウコでした!